第43話

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2026/01/16 22:00 更新


走っている途中、道端に倒れた自転車が目に入った。
不法投棄だろう。フレームは錆び、長い間放置されていたことが一目でわかる。
あなた
……っ
考える暇はなかった。
───これに乗れれば。



ほとんど飛びつくように跨がり、ペダルを踏み込む。
脚が悲鳴を上げる。肺が痛い。


それでも止まれなかった。ただ前へ、前へと必死に漕ぐ。

あなた
(……これからどうしよう…はやく七海くんを助けないとなのに……)

そんな事を考えながら、
しばらく漕いでいると、緑色の箱が見えた。

あなた
……!

公衆電話。
あなた
……電話…!

自転車を投げ捨て、ボックスへ駆け込む。
扉を乱暴に閉め、受話器を掴んだ、その瞬間。



あなた
……えーと……


指が止まった。
あなた
誰に……かければ…


家?それはダメだ。
距離も、今の状況も、全部が噛み合わない。
夜蛾先生は……今日は任務があると言っていたし。

あなた
(ど、どーしよ……)


焦りが胸を締めつけ、喉が詰まる。



そのとき───ふいに''ある人''の声が蘇ってくる。




.
.
.



悟
「お前は、俺の電話番号は暗記しろ」
悟
「……お前、弱いし、鈍臭いし。なんかあったら、すぐに俺に電話しろ」

.
.
.

あなた
……五条くんっ


ポケットから財布を出して、10円玉を入れる。
受話器を握る手に、無意識に力がこもる。


間違えないように。
それでも一刻も早く。


記憶に刻み込まれた番号を、震える指で、急いで押した。

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