第41話

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2026/01/14 22:00 更新
あなた
〝玉犬〟!
呼び出した瞬間──
鬼の一体が、呪霊本体の前に飛び出した。
呪霊(鬼)
呪霊(鬼)
キキキ……!

七海くんの呪具と、玉犬の攻撃を、身を投げ出すように受け止める。

あなた
……え?
あなた
(……本体の犠牲になった?)

状況がよく分からず、困惑してると七海くんが口を開く。
七海建人
七海建人
あなたの名字さん
七海建人
七海建人
…今ので、手のカウントが減りました
あなた
……っ!
慌てて手の甲を見る。
『3』だった数字が──『2』に変わっていた。
あなた
(……今ので触れた、扱い……)
理解が、遅れて追いつく。
あなた
(玉犬と、私が……術式上、同一として認識されてる……)

呪霊(鬼)
呪霊(鬼)
キキキ

鬼が、歪んだ声を立てて笑う。
あなた
(……最悪だ)
あなた
(……これ、私の術式と……相性が、悪すぎる……)

鬼の動き、呪霊本体との距離、減ったカウント。
頭の中で、情報だけが次々と重なっていく。
あなた
(……というか、ここで、もし私が死んだら)

ふと、別の考えが割り込んだ。
あなた
(…悲しんでくれる人とかいるのかな?)

ここ1週間、ずっとこんな事ばかり考えている。
考えれば考えるほど、自分の存在価値が分からなくなってくる。
あなた
(……ダメだ)

そんなことを考えている場合じゃないのに。
自分でも分かっているのに、思考が止まらない。

七海建人
七海建人
……数も多い
七海建人
七海建人
鬼に触れずに本体を攻撃するのは、現実的ではありません。ひとまず、この場から離れて作戦を───

七海くんの声が、遠ざかっていくような気がした。
あなた
……


七海建人
七海建人
……さん!


七海建人
七海建人
あなたの名字さん!

七海建人
七海建人
あなたの名字さん!!


呼ばれていることに気づいた瞬間───
あなた
……え?

視界が、突然揺れた。

七海くんに、強く突き飛ばされたのだ。
あなた
────っ!
体勢を立て直した瞬間、見えたものに、息が止まる。


七海くんが──
私の代わりに、鬼に触れられていた。
あなた
……な、七海くん……!
遅れた声が、ようやく喉から出た。
七海建人
七海建人
……あなたの名字さん
七海建人
七海建人
私のことはいいから、早く逃げてください
あなた
……っ
あなた
……ごめんなさい!私のせいで…
あなた
一旦離れる!でも……必ず、後で助けるから!


返事を待つ余裕はなかった。
私はそのまま背を向け、地面を蹴って走り出す。


──振り返らなかった。



.
.
.



加賀実
加賀実
……へえ
七海の背後で、加賀実の声が静かに響く。
加賀実
加賀実
彼女の身代わりになるなんて。良かったんですか?
七海建人
七海建人
……

七海は、絡まってきたツタに抵抗する気配もなく、
前を見据えたまま答えない。
加賀実
加賀実
彼女は、まだ、カウントは二回も残っていたでしょう?
加賀実
加賀実
君が身代わりになる必要なかったのでは?

しばらくの沈黙。
それから、七海は短く息を吐いた。
七海建人
七海建人
……別に
七海建人
七海建人
彼女を、信じただけです。あんたには関係ありません
その言葉を最後に。

呪霊
呪霊
キキキ……!
七海の身体は、呪霊本体から伸びたツタに絡め取られ──抵抗する間もなく、そのまま呪霊の腹の中へと引きずり込まれていった。

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