第40話

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2026/01/14 10:26 更新

呪霊の身体から、触手のようなツタが伸びた。
それは、私と七海くんへ──ゆっくりと、逃げ場を塞ぐように迫ってくる。

七海建人
七海建人
……っ
あなた
……っ!


ツタが私の腕に触れた瞬間、
首元に当てられていた刃が、ふっと離れた。
あなた
……え?
加賀実
加賀実
……

加賀実さんが、私から距離を取る。



ツタは、私と七海くんの身体に軽く触れただけで、
何事もなかったかのように、すぐ引き返していった。

あなた
(……あれ?)


攻撃──では、ない?
そう判断した直後だった。

七海建人
七海建人
あなたの名字さん!これ…
あなた
……なにこれ

七海くんの手の甲に、淡く光る文字が浮かび上がっている。

──『2』




同時に、私の手にも。

──『3』



数字が浮かび上がった瞬間、
理解とは別のところで、‘’ルール‘’が頭の中に流れ込んできた。




「」
──強制開示── 

対象は、術式に参加中。

手の甲の数字は、猶予回数。
鬼への接触ごとに減少。

数値がゼロになった場合、回収。

鬼は呪霊本体から生成。
本体が存続する限り、鬼は尽きない。

呪霊本体への接触は制限外。
接触による対象移行、可能。


あなた
…っ!こ、これは……

加賀実
加賀実
この呪霊はですね
背後で、加賀実さんが落ち着いた声を出した。
加賀実
加賀実
“捉えられる恐怖”から生まれた存在のようです。ゆえに、そういった術式を持ったのでしょう


あなた
(この呪霊の術式は……''鬼ごっこ''!)

頭に流れ込んできた情報を理解した瞬間、
背筋が冷える。
あなた
(手の甲に浮かんだ数字の回数だけ、“鬼”に触れられたらアウト……)



加賀実さんは、私と七海くんを見ると感心したように口を開く。
加賀実
加賀実
呪力量によって、カウント数が違うみたいですね
加賀実
加賀実
『2』と『3』とは……お二人とも若いのにすごいですね。相当な呪力量ですよ
七海建人
七海建人
……あんた、呪霊の味方なんてして何のつもりですか?


七海が加賀実に詰め寄ろうとした──そのときだった。

呪霊
呪霊
ゴホッ……うぇぇ……


呪霊の口が、ぐにゃりと歪む。


中から、次々と“何か”が吐き出される。


あなた
(これが……ルールの説明で言っていた…)



──鬼。


あなた
……

先ほど、頭の中に流れてきた“鬼”は、これで間違いないだろう。


本体よりも小さく、身長は百二十センチほど。


呪霊(鬼)
呪霊(鬼)
キキキ…


歪んだ笑みを浮かべたそれらが、地面に降り立った。

見た感じだと、呪霊自体は、それほど強くないだろう。問題は、呪霊本体から出された“鬼”の方だ。


あなた
(鬼が……五体、か)




加賀実
加賀実
ほら、鬼が生まれてきましたよ?私に構ってる暇なんてないんじゃないですか?
七海建人
七海建人
……っ!

加賀実の言葉に七海の顔が歪む。
あなた
(……つまり、三回)
あなた
(この鬼に触れられたら、私は──取り込まれる)
七海建人
七海建人
あなたの名字さん
七海建人
七海建人
開示された術式情報によれば、鬼に触れるのはアウトですが……本体に触れること自体は、セーフです
冷静に状況を整理しながら、彼は続ける。
七海建人
七海建人
こいつらから逃げながら、本体の呪霊に攻撃をしましょう
あなた
……うん
私は七海くんの言葉に頷くと、手を合わせる。
あなた
〝玉犬〟!

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