呪霊の身体から、触手のようなツタが伸びた。
それは、私と七海くんへ──ゆっくりと、逃げ場を塞ぐように迫ってくる。
ツタが私の腕に触れた瞬間、
首元に当てられていた刃が、ふっと離れた。
加賀実さんが、私から距離を取る。
ツタは、私と七海くんの身体に軽く触れただけで、
何事もなかったかのように、すぐ引き返していった。
攻撃──では、ない?
そう判断した直後だった。
七海くんの手の甲に、淡く光る文字が浮かび上がっている。
──『2』
同時に、私の手にも。
──『3』
数字が浮かび上がった瞬間、
理解とは別のところで、‘’ルール‘’が頭の中に流れ込んできた。
背後で、加賀実さんが落ち着いた声を出した。
頭に流れ込んできた情報を理解した瞬間、
背筋が冷える。
加賀実さんは、私と七海くんを見ると感心したように口を開く。
七海が加賀実に詰め寄ろうとした──そのときだった。
呪霊の口が、ぐにゃりと歪む。
中から、次々と“何か”が吐き出される。
──鬼。
先ほど、頭の中に流れてきた“鬼”は、これで間違いないだろう。
本体よりも小さく、身長は百二十センチほど。
歪んだ笑みを浮かべたそれらが、地面に降り立った。
見た感じだと、呪霊自体は、それほど強くないだろう。問題は、呪霊本体から出された“鬼”の方だ。
加賀実の言葉に七海の顔が歪む。
冷静に状況を整理しながら、彼は続ける。
私は七海くんの言葉に頷くと、手を合わせる。















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。