第39話

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2026/01/12 22:00 更新

加賀実
加賀実
着きました。この先です

加賀実さんが指を指した方向へ、視線を向けた瞬間──



呪霊
呪霊
蜻ェ蜉帙′谺イ縺励



言葉にならない気配が、空気を歪ませた。
あなた
……なに、この呪霊
七海建人
七海建人
__植物?



それは、異様な姿をしていた。
頭部は巨大な花の形をしており、花弁の中心には裂けた口がある。白く並んだ歯が、不気味に覗いていた。


両腕の先には、人間とよく似た形の手。
まるで何かを差し出すように、手のひらをこちらへ向けている。



そして──
半透明の腹部。その内部に、人影が見えた。
あなた
……人?

息を呑む私の横で、七海くんが目を細める。
七海建人
七海建人
……十人ほどいますね。この付近で行方不明になっている人数と、おおよそ一致します
あなた
じゃあ……これが犯人で間違いないね


その瞬間だった。

呪霊のお腹の中。
袋状になった内部で、人間の''手''が、ぴくりと動いた。
あなた
……うわっ!
七海建人
七海建人
…生きてますね。
七海建人
七海建人
弱ってはいますが、意識が、まだあるようです
あなた
じゃあ……呪霊を祓えば、助けられるってことだよね?
七海建人
七海建人
はい。おそらくは



七海くんが、呪具に手を伸ばした──その時。








加賀実
加賀実
待てっ!!!!

鋭い声が背後から聞こえる。





あなた
……え?



七海建人
七海建人
あなたの名字さん!危ないっ!




七海くんの声が聞こえたと同時に、
私の首元に突きつけられた、一本のナイフ。


あなた
……!



加賀実
加賀実
……
加賀実
加賀実
う、動くな……!



息が止まる。

刃を握っていたのは、先ほどまで先導していた窓──加賀実さんだった。


あなた
(……相手は、窓…)


頭のどこかが、冷静に状況を整理する。


相手は呪術師ではない。
体術だけでも、抑え込める可能性は高い。









けれど──

あなた
(ここは、崖の近く……)


足元は不安定で、すぐ先は切り立った斜面だ。
もし力加減を誤れば、相手を崖の下へ落としてしまうかもしれない。



──だから、動けなかった。

不用意に踏み込むより、
この場を保つほうが、まだ安全だと判断したのだ。


七海建人
七海建人
……あなたは、何者ですか

七海くんが冷たい声で問いかける。

加賀実
加賀実
ただの窓ですよ。事情があって、この呪霊に協力しているだけです。

そう言うと、ナイフを私の喉元に当ててくる。
加賀実
加賀実
……この人を傷つけて欲しくなければ、あなたの携帯を渡していただけませんか?


七海建人
七海建人
……チッ
七海くんは舌打ちを打つと、地面に携帯を投げつける。
加賀実
加賀実
そのまま、動かないでくださいね。



次の瞬間。

呪霊の身体から、触手のようなツタが伸びる。



七海建人
七海建人
……!
あなた
……っ



──それは、私と七海くんへゆっくりと近づいてきた。

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