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第69話

私と大輪の花
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2025/08/16 09:00 更新




ある日ぽっちゃり猫を助けたら




よその世界の執事の主になった











これは 私と執事たちのお話

















あなた
イザベラ、また背が伸びたか?




イザベラ
そうでしょうか?





朝の支度をテキパキとこなして

私の髪の毛を楽しそうに梳いているイザベラを

鏡越しに見やれば、

少しだけ小首を傾げたイザベラの髪がサラリと揺れる。




初めて会った時よりも大きくなったイザベラは

身長だけでなく見た目も立派なレディだ。





そもそも西洋人顔であるので

年よりも大人びて見えるのは確かなのだけれど・・・









あなた
最近ちょっと雰囲気が違う気がするんだ




ムー
え?そうですか?





朝食後にナックと屋敷の掃除を始めたイザベラを

廊下の影からこっそり観察してムーに囁けば

ムーが丸い目をもっと丸くして首を傾げた。





普段フラグとか気にするくせに

イザベラの変化もわからないのだろうか。





あなた
なんか急に大人びてないか?




ムー
まぁイザベラちゃんもお年頃ですし




あなた
なんかその達観した言い方はムカつくな












ボスキ
・・・何してんだあなた様





あなた
ボスキ




後ろからかけられた声に顔を上げれば

邸の修繕中なのか、手にいくつかの工具を持ったボスキ。




そういえばイザベラはボスキを慕ってたな?










あなた
ボスキ、
最近イザベラ変わったと思わないか?





ボスキ
は?・・・あぁ、
結婚の話か














あなた
は・・・・





はぁぁぁぁあ?!

どこの馬の骨だ私は何も聞いてないぞ!!!







あなた
ボスキなんだその情報は!確かなのか?!
というか相手は誰だちゃんと私を倒せるくらいじゃないと認めないぞ私は!!!



ムー
あなた様急に頑固オヤジみたいになりましたね!
ボスキ
一般人には無理だろ


あなた
やかましいわっ!!






ガシッとボスキのポニテを掴めば

珍しくきょとんとした表情をしたボスキが

少しだけ笑って肩を竦めた。







ボスキ
別にイザベラの年ならそういう話が出てもおかしくない




あなた
はぁ?!まだ14、5だろ!早いぞ!!





ボスキ
15なら適齢期だろ





当然のように言うボスキに一度言葉を飲み込む。







私の世界の感覚ならまだぜんっぜん!早いのだけれど

この世界の常識はわからない。



そもそもハナマルのとこの子たちも

15歳くらいで1人前として働き先へ自立した。






成人の観念に関しては何も言えないのだ。









あなた
・・・・それでも、イザベラは私の妹分だぞ








ボスキ
あなた様










ボスキに呼ばれてギュッと唇を噛む。


若干睨み上げてる目つきにはなるが妥協しろボスキ。







━━━納得いかないのだ








ボスキ
あなた様、イザベラは普通の人間だ
ずっと一緒にこの邸にはいられない








あなた
・・・・・っ






ボスキ
イザベラの家族だと言うなら、
彼女が幸せになれるように背中を押すべきだ






ムー
ボスキさん・・・・・









あなた
っ・・・・ボスキの・・っ


















あなた
・・・っ長髪ポニーテール!!!


ムー
いや見たまんまっ!!?













・・・・と、まぁ

ボスキにプチ八つ当たりをしたのが1週間前。















主催者
ようこそおいでくださいました!
悪魔執事の主様





目の前で腰低く挨拶をしている接待役とやらに

対応しているベリアンの後ろで無言で腕を組んだ。






東と中央の親善使節として

東の大地のフガヤマに到着したのがつい先ほど。



フガヤマでは夏の期間祭りを開催していると、

宿泊先の旅館の窓から見下ろす街並みは

夏の温泉街みたいに街全体が夏祭りの雰囲気だ。






それは別にいいのだけれど。








あなた
・・・・・・・





アモン
どうしたんすか?珍しく機嫌悪いっすね




ボスキ
イザベラを今回留守番にさせたからな






今回全員で来るようフィンレイに言われたから

イザベラも、と誘おうと思ったら

ベリアンとルカスにNOと言われたのだ。




イザベラも大丈夫、と留守番にまわって

正直とても複雑だ。





3日間の観光スケジュールを話していた接待役に

ベリアンが丁寧にお断りをして退出させてから

さて、と私に向き直った。







ベリアン
あなた様、今回は親善使節としての依頼ですので観光を楽しんでくださいね




あなた
ベリアン




ベリアン
イザベラのことは心配いりません、グロバナーからの護衛もおります・・・いつものあなた様らしく、元気に過ごされてください





ラムリ
そうですよあなた様!イザベラはしっかりしてるし、もう立派に仕事も留守番もこなせますから!
ナック
えぇ、ラムリよりしっかりしておりますよ♪ご安心くださいあなた様




あなた
ラムリ・・・ナック・・・
そうだな、まずはここでの依頼をこなそう




ルカス
ふふふ・・・・お土産を買っていってあげると、絶対喜びますよあなた様





主にイザベラの教育に携わっていた3階組の

信頼感の厚さに一度深呼吸して頷く。



いまさらどうこう言っても変わらないので

イザベラとは帰ったら話をしようと決めて顔をあげた。







ハナマル
じゃあ我らがあなた様の機嫌が治ったとこで、
滞在中あなた様の世話役やりたい人〜




軽いハナマルの言葉が終わる前、

早押しクイズ並みに勢いよくあがった挙手に

ムーがわぁ、と呑気に感嘆した。




あなた
さすがに全員で移動は大所帯すぎるぞ?





フルーレ
1番手を挙げるの早かったの俺ですよね??
ロノ
誰も早いもの勝ちとは言ってないだろ・・・
アモン
それ言い始めると揉めるやつっすね
ラト
ちなみに、フルーレの後ろにいた私のほうが早く手をあげましたよ
フルーレ
そんなの誰も見てないだろ!



ハナマル
ほらほら旅行先で兄弟喧嘩するやつは留守番してもらうぞー





いつもみたいな討伐や貴族の依頼じゃない分

和やかな修学旅行みたいな雰囲気に、

ボスキが愉快そうに笑った。





ボスキ
じゃあここは公平にあなた様に決めてもらうか?






あなた
ん?私が?




ハウレス
ふむ、いい案だなボスキ・・・
さぁあなた様!!遠慮せず俺と昼も夜も常に一緒にいましょう!!



あなた
なんでそんなに選ばれる自信があるんだハウレスは・・・・




フェネス
ボスキ!
あなた様にそんな負担かけちゃ駄目だろう?




ユーハン
ふふ・・・フェネスさん、それはハウレスさんと過ごすことがですか?選ぶのがですか?







穏やかな雰囲気を出しつつ、

ハウレスに辛辣なふたりにベリアンが苦笑して

結局各階の執事たちが半日ずつ交代することになった。






毎回そうだからそんな気はしてた。














ミヤジ
あなた様、屋台をまわろうか
フルーレ
見たことない食べ物がいっぱいですね!



まず地下組と縁日に繰り出せば

焼きそばやらとうもろこしやら

夏祭りの定番のお店がたくさん並んでいて

懐かしいなとフルーレ作の浴衣の裾をひらりと揺らす。





ラトは東の大地出身だけれど

孤児院やら監獄やらでお祭りを知らなそうだしな・・・





焼きもろこしを買いに行ったフルーレとラトを見送って

隣に立っているミヤジを見上げた。






あなた
ミヤジ、怪我はもう大丈夫なのか?
ミヤジ
あぁ、あなた様が応急処置もしてくれたおかげで通常より回復は早かったみたいだ




ふむ。



ならこのお祭りに乗せられて

殺気増し増しの集団も捌くのは訳ないな??













あなた
おっと足が滑った




人混みに紛れて体当たりしようとしてた野郎に

体をひねって前へ足払いする。



急に転んで人混みのざわめきが一瞬止まる。


それでも祭りの雰囲気にすぐざわめきは戻っていき

ずべっとすっ転んだ見知らぬおっさんに

にこりと笑顔を向けて足でナイフを踏みつけた。






あなた
年ごろの女性に後ろから抱きつくのは暴漢行為として正当防衛を主張させてもらうぞ





ムー
あなた様!





あなた
祭りはこういう頭が湧いたやつらが増えるんだ、気を付けろよムー





ミヤジ
あなた様、それは私が丁重に話をしよう






がしっと頭を鷲掴みしたミヤジが

にこやかに屋台の裏へ暴漢を引きずって行く。




人前で出来ない話って怖いなと

他人事のように思いながらムーを右手で掴み寄せ

斜め後ろから伸びてきた手を捻り上げて息を吸った。





あなた
きゃー!!!痴漢っっ!!!




???
なっ・・・・!!







住民
痴漢だって?!
住民
なんてやつだ・・!祭りの時に!
住民
だれか捕まえな!!








ハウレス
あなた様の神聖なお尻を触るなど万死に値するわ!!!






屋台のおっちゃんやおばちゃん、

住民に囲まれて引こうとしたおっさんが

イノシシのように爆走してきたハウレスに

宙高く殴り飛ばされる。



お祭りの雰囲気のせいなのか

やいのやいのと喝采を浴びて

まんざらでもなさそうなハウレスが

またもや裏の林へ引きずっていき、


人混みをかき分けて戻ってきたフルーレが

とうもろこしを片手に首を傾げた。





フルーレ
おまたせしました! 
・・何があったんですか?



ラト
クフフ・・・・
あ、ほらミヤジ先生も戻ってきましたよ



あなた
ミヤジ、なんなんだこいつらは
さっきから視界の端をうろちょろと


ミヤジ
おまたせあなた様
フルーレくんとラトくん買い出しありがとう




とうもろこしをフルーレから受け取る。





まだちらほらと向けられる視線に

ラトがちらりと周りを見やって

それから私の持っているとうもろこしをかじった。





フルーレ
あっ・・!ラト!それはあなた様のっ



ラト
パセリのほうが美味しいですね・・・


あなた
ラト、口の端についてるぞ




とうもろこしのカスを手で取ってあげれば

ガシリと取った手を握られる。


じっと手を見つめたあと、

おもむろにラトがカスを摘んだ指を

パクリと自分の口に咥えた。






あなた
ん?





フルーレ
なななな何してんだよラトっ!!!



ムー
ひゃー!!




テンション爆上がりのフルーレとムーに

我関せずなラトがちゅう、と指を吸って

摘んでたとうもろこしと、

タレまでしっかり舐めて口と手を離した。





あなた
・・・そんなに美味しかったか??



ラト
ん・・・普通でしたね



そのわりに全部食べてたけどな?







真っ赤な顔でラトをぽかぽか殴ってるフルーレに

尻尾をボワッと逆立てたムーと苦笑してるミヤジ父さん。



やたら注目を集める3人と一匹を引き連れて

場所を移動すれば、

今度はわたあめやらチョコバナナやら

甘いいい匂いにムーの目がキラキラした。






あなた
ムー、一応チョコはやめたほうがいいからな?死ぬぞ



ムー
わ、わかってますよ・・・!
でもいい匂い・・!




フルーレ
あ、あなた様りんご飴ですよ!



ムーとフルーレの視線の先には

ツルピカに光る真っ赤なりんご飴の屋台があって

目が合った屋台のおっさんがニカッと笑った。










店主
おめでとうございまーす!!お客様が記念すべき1000人目のお客様です!!





あなた
・・・・・は?




店主
記念に無料でこちらのりんご飴をプレゼント致します!!
ムー
えぇ?!うわぁラッキーですねあなた様!






カランカランと福引みたいな鐘を鳴らして

他のより少し大きいりんご飴を持ち上げた店主に

周りいた数人がわぁ、と拍手をする。



にこにことりんご飴を差し出した店主に

一歩近づこうとしたラトの浴衣を摑んで

でかいりんご飴を受け取り、

相対するように首を傾げてにこりと笑った。








ミヤジ
あなた様、





あなた
ありがとう、だが気持ちだけで結構だ
私の奢りだと思って店主が食べるといい



店主
ぐほっ!!!




りんご飴を持った手をそのままカウンターで返し

店主の口を塞ぐように突っ込んで

そのままグリグリと押し付ければ


よくわからないうめき声をあげて

身をよじっている店主におや?と首を傾げた。






あなた
そんなに美味しかったのか、良かったな




ラト
クフフ・・・・悪い人ですねぇ
私の主様に美味しくないものを食べさせようとするなんて





ムー
えっ、あれ美味しくないんですか?!














そもそも、私は買うなんて言ってないな



押し売りダメ絶対 だ











ナック
美味しく食べられないものを売るなんて良くないですねぇ・・・よくお話を聞かなければ



ルカス
まったくだね、食べ物を売る店としてしっかり自覚して貰わないと




目をギラつかせているラトの腕に抱きついてる私に

後ろから聞き覚えのある声が降ってくる。



顔だけ後ろに向ければ

しっかり浴衣を着こなしたナックとルカスがいて

一歩前に出たラムリが

ぴょんと私とラトの横に並んだ。







ミヤジ
もうそんな時間か?
ルカス
えぇ、ここからは我々3階の執事とまわりましょうね、あなた様





ミヤジ
では私たちはこのままそこの店主と話をしよう、あとは頼んだぞルカス



フルーレ
はいっミヤジ先生!
よーく話をする必要がありますからね!
ラト
クフフ・・・・話で通じますかね・・・








みんな裏の林大好きだな








ガサゴソと、店主を屋台裏の林へ

連行していったミヤジたちを見送れば

横にいたラムリが猫のように伸びをした。







ラムリ
ふふっ・・・!
やぁっとあなた様のそばに来れた!
ナック
えぇ、
やはり執事は主の側に仕えてこそです




珍しく同じ意見のラムリとナックに

ルカスが編み込んだ長い髪を揺らしてふふっと笑う。





そういえばあんまり気にしてなかったけれど

今回の浴衣衣装はみんな髪を三つ編みにするんだな





比較的短い髪のラムリとナックも

器用に一房編み込まれている。

この髪型、個人でセットしてるのかなと

ナックを見上げていれば

にこりと笑ったナックがスッと私の手を取った。










ナック
人混みも増えてきましたので
私の手をお取りください


ラムリ
ちょっとナック!
それボクが言おうとしてたのに!













ナック
それとも・・・・去年の夏のように
抱き上げて差し上げましょうか?







あなた
・・・・ん、ナック抱っこだ
ラムリ
えぇっ?!ズルいナック!!






きょとんとしたあと、

小さくはにかんだナックの首に手を伸ばして

プンスカしているラムリにムーを預ける。




ぐんっと持ち上げてくれたタイミングで

ナックの後方に、持っていた巾着をブンッと振り抜けば

手にキラキラのおもちゃを持った大人が

3人ほど後方へ倒れ込んだ。












あなた
良い大人がおもちゃのナイフでテンションあげるな、修学旅行中の男子かっ




ナック
ふふふっ・・ほんとですねぇ
いい大人なんですから人混みでのマナーは守らないと♪




ムー
あれ、ロノさんにバスティンさん・・??
倒れた人連れてっちゃいましたね・・・
ルカス
ふふっ・・・病人の介抱は彼らに任せて私たちは屋台をまわりましょうね





ルカスたちと遊技場区画をまわり、

ナックがカタヌキ屋で無双したり

ムーが金魚すくいでテンションがあがりすぎて

店主に本気で嫌そうにされたりしながら

盆踊りの櫓近くまで移動する。



途中でも何人か体調不良者を捌いたのだが、

櫓に興味を示したラムリに誘われて上がれば

櫓の上からは四方からの視線がよりわかりやすくなった。








あなた
各方向に10人はいるか・・・・



ムー
はいっ!たくさんの人が輪になって踊ってて楽しくなっちゃいますね!
ラムリ
ふふっ・・・!下はみんなに任せてボクたちも華麗に踊りましょう!あなた様!









盆踊りより下の掃除のほうが得意なんだが・・・









盆踊りはうろ覚えながら、

軽やかに踊るラムリと、

ゆるキャラと勘違いされてるムー共々




夜が更けるまで 盆踊りは続いた。
























( ストレス発散にちょうどいい・・・・! )






大輪の花バージョンの夏です
うちの主様は本領発揮です




夏休み時間過ぎるの早すぎ・・・!

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