第68話

私と星の村 後編
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2025/07/17 09:00 更新




ある日ぽっちゃり猫を助けたら



よその世界の執事の主になった









これは 私と執事たちのお話


























あなた
・・・・おぉ・・・



日も暮れて、なるほど星の村だな、と

思うような星空が広がると

家から多くの人が出てきて星に祈り始める。




これがミヤジとベリアンが言ってた風習か




でも日本だってやれ七夕だの

やれ流れ星に願い事だの、

星に個人的な願い事をする風習があるしな。





でも1年に1回のデート中カップルに

お金持ちになりたい的な願い事とかってどうなんだ?




は?知らないよ って

嫌がられそうだと思うんだけどな









ムー
あなた様、絶対星に関係ないこと考えてますね?



あなた
いや一応関係はある







最近以心伝心だな、ムー











感慨深げに星に祈る住民を見るテディたちを引っ張って

ベリアンとミヤジが待つ宿に戻れば

ベリアン母さんとミヤジ父さん作の

スパイシー南国料理が出来上がっていた。




とてもおいしいそうだけども

ミヤジ、それは激辛料理ではないだろうな??















ベリアン
あなた様、食後のお茶です




あなた
ん、ありがとうベリアン




あんまり匂いの強い食べ物は得意じゃないので

ちびちび夕飯を食べてみんなと解散したあと。




私の部屋にきたベリアンが

紅茶と小さめのスコーンをくれた。



夕飯のあとのデザートにしては重量感だ





ベリアン
先程の夕飯はお口に合わなそうだったので
・・・スコーンをお持ちしました


あなた
気付いてたのか・・・完食したのに
ミントとか匂いの強い葉っぱは苦手なんだ






だって草食べてる虫の気分になるし






ベリアンにバレてるなら

ミヤジにもバレてそうだな、と


ちょっと視線を逸らせば

ベリアンがふふっと穏やかに笑う。


遠慮なくスコーンをかじれば 

一度目を伏せたベリアンが

ふと息を吐いた。






あなた
なんだ、またお悩みベリアンか?
何話も引きずるのはやめれ




ベリアン
い、いえ・・・!リアソンくんにも、あなた様に会わせてあげたかったなと思いまして・・・





あなた
いまベリアンの肩にいるけどな






ベリアンの肩にそっと寄り添っている水色の光に

ボソリと呟けば、聞こえなかったベリアンが首を傾げる。



なんでもない、と首を振って

なんか語り始めたベリアンに、

スコーンをかじりながら顔を向けた。








ベリアン
たまに・・・夢に見るんです
亡くなっていった仲間たちの・・・・





ん、ベリアンみたいなタイプはきっと憑きやすい








本人は深刻なのだろうけども

夢枕に立つのはれっきとした催促だからな。

帰ったらこっそり部屋に塩でも盛っといてやるか。




あんまりベリアン母さんを困らせるなと、

水色の光を指で軽くつつけば

サイダーゼリーみたいにリアソン(仮)が揺れた。











あなた
ベリアン、一応言っておくがそれはベリアンを恨んでる訳ではないからな




ベリアン
え・・・・・・?




あなた
ベリアンが1番自分たちのことを覚えてくれてるから顔を出しにくるだけだ、マナー係で必ずみんなに関わるしな




あとオカンだし









その通り!と言わんばかりに跳ねる光に、

悪魔と契約してるくらいなんだから

霊感的なものありそうなのになと頬杖をついた。


















あなた
ミヤジ、いるか?



ベリアンから、

リアソンはミヤジ一派だったと聞いて

ミヤジの部屋へ行くと

ミヤジは窓へ向かって目を閉じていた。



立ったまま寝てるのかと

膝カックンしに背後に忍び寄れば

めっちゃくわっと目を見開いたミヤジに捕まった。






普通にトラウマになりそうだ







あなた
ミヤジ、
完全に狩りの時の動物の目だったぞ







ミヤジ
すまないね、あなた様やラトくんが背後に立つ時は反射的に構えてしまうんだよ




あなた
それ謝ってないな?





なぜか私についてくるように光リアソンが

私の頭からミヤジの頭へ移る。



その故人を考えてると寄ってくるってホントなんだなと

身長差のある顔を見あげて首を傾げた。








あなた
ベリアンたちがミヤジのことを心配してるぞ







正確にはベリアンとリアソンだな






ミヤジ
あぁ・・・・そうか
私がリアソンくんの故郷にきて落ち込んでいると気遣ってくれてるんだね







ミヤジいわく、

リアソンは負傷したミヤジとルカスの代わりに

ひとりで天使と戦いに行き、負傷し亡くなったそうだ。






ミヤジ
彼は口調は尊大だったが正直で誠実な子で
・・・最期は、微笑みながら息を引き取ったんだ





自分がもっと早く駆けつけていれば

自分がもっと強かったなら、と後悔しているのだと。








・・・・・・・ふむ。






あなた
たら、ればはかり言っていても何も変わらないだろ








ミヤジ
あなた様、





ミヤジの手を引っ張って座らせる。



そのまま目線の高さになった頭を

犬みたいにわしゃわしゃして

目を丸くしているミヤジの顔を両手挟んだ。






あなた
悲しむのはいい、追悼するのもいい
だけどそれを引きずるのは違うと思うぞ








あなた
亡くなった仲間がみんな、
不幸だったなんて決めつけるな




中には絶望して亡くなった者もいるとは思う。





だけどそうじゃない者もたくさんいるのだと。











慰霊の日に見た賑やかな執事たちもそうだけれど

意外とみんな楽しそうなんだけどな。





一度目を伏せたミヤジの腕が背中にまわって

ミヤジのほうへ引き寄せられる。







ミヤジ
・・・そうだね
話さずに決めつけるのは、私の悪い癖だ





顔をあげてふわりと微笑ったミヤジに


一瞬動きを止めた光リアソンが、

あわあわしながらぱっと消えた。






なんか誤解されている気がする。






























光リアソンに気遣われるような展開も当然なく

いつも通り早寝早起きをした翌日。






ベリアンやミヤジ、テディにユーハンは

ルカスからの差し入れで一緒に飲んでいたらしいが

まぁ真面目な4人なので誰かが二日酔いとかならずに

いつも通り朝から爽やかなスマイルで

宿の女将さんを悩殺して出かける準備を終えていた。





今日は天文台と墓参りだ。





ただ、夜に行くらしく

昼間はミヤジやベリアンと出かけるらしい。

 


星が関係するから天文台はともかく、

夜に墓参りって肝試し感覚なのだろうか













ミヤジとベリアンに民族的な化粧を顔に描かれて

昨日とは違う露店を見て周り、

あっという間に2度目の夜が来た。








ユーハン
あなた様、お手を





あなた
お手?



風化した天文台を前に

反射的にユーハンの手にお手をすれば

ふふふ、と笑いながらぎゅっと手を握られて

隣でやっぱり反射的に手を上げかけたテディを見上げた。






あなた
テディ、待てだ
・・・・それにしても星を大事にする風習なのに天文台はほったらかしなんだな




ミヤジとベリアンが簡単に調べてくれている天文台は

もう数百年も放置されてるかのようにボロボロだ。





ショックを受けているベリアンたちを他所に

マイペースに上の階へ上がっていく光リアソンに

ひとつ頷いて、外れかけていた扉を開けた。






ベリアン
あなた様?



あなた
上まで行くぞ




ミヤジ
・・・・そうだね、せっかくここまで来たのだし・・行ってみようか




案内してくれる光リアソンについて観測所まで登れば

村から見上げるより満天の星が広がっていて

プラネタリウムみたいだなとぼんやり思う。



星に感動しているテディをすり抜けて

光リアソンが向かう先には煉瓦に描かれた星マーク。




なるほど、1番近い星だな、と

煉瓦に手をかけた。




ムー
・・・・あなた様、よくわかりましたね?



あなた
まぁ案内人がいるしな・・・・
あ、ベリアン、ミヤジ、日記だ




疑わしげなムーに、

そういえば猫って霊が見えるとか聞くけれど

全然光リアソンに反応しないなと首を傾げる。



野生じゃないと鈍くなるんだろうか・・・






ベリアン
これは・・・・・!







リアソンの日記には、



悪魔執事として仲間といれて幸せだったこと。


星となり見守りたい相手がいることに感謝していること。




そして多くの悪魔執事の仲間が

今を生きている仲間を見守っていることが書かれていた。







ベリアンたちに想いを伝えられて

満足そうな光リアソンは、

最後に一度だけ私のほっぺに触れて



星空へ還っていった。











ベリアン
リアソンくんがいたのはハウレスくんたちが来るよりもっと昔なので、300年ぶり、でしょうか・・




リアソンの墓にルカスからのワインを供えて

ベリアンが懐かしそうに話しかける。




本人は日記を渡せて満足したようなので

とっくにいないけれど、

しんみり空気を壊さないようにお口はチャックだ。








その時だった。





あなた
あ・・・
ムー
あなた様見てください!





墓地の周りの砂漠がいっせいにピンクに色づき

お墓の周りがあっという間に花畑になる。





魔法みたいな変化に目をパチクリすれば


ベリアンがふふっと笑い声をあげた。









ユーハン
ベリアンさん?




ベリアン
やっと思い出しました・・・
リアソンくんが私に見せたいものがあると、
雨が降った数日しか見れない特別な景色なのだと・・








空は満天の星空と


その下に舞うピンクの花びらに






水色の星がきらりと光った気がした。




















(この世界は地球温暖化になりませんように)







主様にぎゅうしたミヤジに
このまま大人な展開になるかもしれない!と
気を利かせて撤退した気遣いリアソンです


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