ある日ぽっちゃり猫を助けたら
よその世界の執事の主になった
これは 私と執事たちのお話
コツン、コツンとベリアンが足音を響かせて
地下への階段を降りていく。
きちんとお掃除されていて、
柔らかいろうそくの光で照らされている地下は
普段だったら落ち着く景色だけれど、
今の私(あとムー)にとっては
説教のカウントダウンだ。
ベリアンが先頭に行き、
しっかりがっちりミヤジに手をエスコートされて
他の執事たちより前で歩かされる。
1番後ろで最後に入って
素知らぬ顔で鍵を出そうと思っていたのに・・!
ムーとコソコソしているうちに
あっけなく地下倉庫の前まで来る。
食堂より窮屈だけれど
執事たち全員が入ったところで
ベリアンが例の動く棚を横にずらした。
ちっ・・・・!
ハウレス鼻血だよわぁ大変手当てしに行こう作戦が・・っ
なんかドヤァ・・としているハウレスを
死角から蹴り飛ばして壁側に寄った。
ベリアンが大きな棚を横にずらして
鉄の扉があらわれる。
そうして本棚の前に立ったベリアンが
ぴたりと優雅な動作を止めた。
くふふ、と首を傾げて
悪びれなく笑っているラトに
ベリアンが目を見開く。
そして、困りましたねと小さく呟いたベリアンに
ムーとふたりではいっと手をあげた。
ムーとアイコンタクトをして
サッと本を隠した近くへ移動する。
ちゃっかり隣についてきて、
興味なさそうに積み上がった本をみていたラトを見上げた。
隠していた本をパッと持ち上げれば
こちらを向いたベリアンがあっ、と声をあげる。
・・・・若干ミヤジとルカス、ボスキの視線が
ちくちく鋭い気がするがスルーだ。
ベリアンが2本の鍵を使って開けた部屋は
相変わらず真っ暗で先が見えない。
先に入って明かりをつけたベリアンに呼ばれて
この間よりよく見える部屋に入れば
相変わらず人形みたいなお兄さんが
ただ静かに一点を見て座っていた。
あ、そうか
ムーは見るのは初めてだったか
リアクション係をムーに任せて
ひょい、と座っている人、ベレンを覗き込む。
ベリアンによると悪魔化してしまったので
ベリアンの悪魔の力を使って
ベレンの悪魔化を遅くしているらしい。
一度につき一人しか出来ないらしいが、
2000年続けるとか規模が違う。
この間は暗かったし人形に見えたが
光の中で見ると確かに人だ。
なんだか後ろでシリアスな空気なんだが
今ベレンの耳をもふもふしたら怒られるだろうか。
シーンとしてしまった部屋に
わきわきした手をぎゅっと握って振り返った。
そもそもお前たち、
主がいるのめっちゃ久しぶりーっ
的なこと言ってなかったか?
その間悪魔の力どうやって解放してたんだ
某スーパーサイヤな人たちみたいに怒りで解放してたのか?
なんとかなったな、と
ムーとアイコンタクトを交わして
地下倉庫を出ようとベレンから離れれば
ぐんっと腕を掴まれてたたらを踏んだ。
掴んでいる手を辿れば
さっきと同じ無表情で一点を見ているベレンで
どういうことだと無言でベリアンを見れば
いつも伏せ目がちの目を限界まで見開いたベリアンが
ふらりと乙女のようによろめいた。
ぎゅうぎゅう握られてミヤジにヘルプすれば
ハッとしたミヤジがベレンの手を掴んで
けっこう渾身の力で引き剥がしてくれた。
・・・・この間掴まれなくて良かった!
ぎゅうぎゅう掴まれてた手を
ルカスにゴシゴシ消毒されて
ミヤジとハウレスが無言で私とベレンの間に立った。
・・・・・ベレン、
お前寝てるだけなのに敵対されてるぞ
にっこり笑ったおじいちゃん組に
隣にいたムーが無言でぽんと私の肩を叩いた。
(・・・・誤魔化せたと思ったのに!)
(はいはい、じゃあ行きますよ)
(・・・・・あなた様、ファイト!)
(ムーだけ逃さないからなっ・・・!)
・・・・ベレン夢??
ハウレスも頑張ればカッコ良い執事ができます












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!