第61話

私とベリアン
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2025/06/02 09:00 更新





ある日ぽっちゃり猫を助けたら




よその世界の執事の主になった








これは 私と執事たちのお話





















ムー
・・・・・で、
そのあとどうしたんですか?









私の部屋で

器用に肉球で紅茶を注ぐムーが

いつもより声を潜めて首を傾げる。








昨日意図せず大人の扉を開けてしまった私は

ムーから受け取った淹れたての紅茶を飲んで

うん、と頷いた。








あなた
あれはみんなに言えないなと思って
厳重に隠し直しといたぞ




ムー
・・・・・隠し直した?






あなた
鍵の本を見つかりにくいように
本棚以外のとこに分散しておいた





フルーレだってアンティークドールを隠してたからな。



きっとベリアンだって

ドールを隠したいはずだ、




うん、私気がきく。







ムー
・・・それベリアンさんに入ったことバレるんじゃ・・・




あなた
・・・・しまった!
っておい、なんだその目は!
ムー
ナンデモアリマセン




あなた
でもあのドール大きかったな?
それに人みたいに肌が柔らかかった




ムー
あなた様・・・男性用のドールってそういうものなんですよ




ふぅ、と急に達観したような顔つきになったムーに

はぁ?と首を傾げる。


お前猫のくせに人間事情詳しいのか





あなた
高クオリティってことか?
人形はもふもふがいちばんだろ



パンダとかくまとか






ムー
お子様のあなた様とは用途が違いますから!




あなた
用途?
ムー
えーと・・おもに夜使うとか・・?
あなた
一緒じゃないか
夜に抱っこして寝るんだろ?



あんな人みたいに大きい人形

一緒に寝たら窮屈そうというか・・・


むしろこっちが抱っこされそうだけど





あなた
・・・は!
それいいな!




ムー
はい?




あなた
めっちゃ大きいぬいぐるみに
埋もれて寝てみたい




ムー
それハウレスさんが聞いたら人形の格好して布団で待ってそうですね!










あなた
・・・・・サラッと怖いこと言うなよ
それに私が好きなのはぬいぐるみだ




ドールは綺麗だなとは思うが

人型過ぎてその辺の魂が入りやすいからな。


私とは相性が悪いのだ。











まぁベリアンのはひとまず内緒で、

あとで鍵は戻しておこうと

ムーの紅茶を飲みきったところで

コンコンとドアがノックされて顔を向けた。





ムー
どなたですか?





ルカス
あなた様、いまお時間よろしいですか?


あなた
ルカス





ドアから顔を覗かせたルカスは

あの日ミヤジと仲直りできたのか

今までより穏やかな笑顔でにこりと笑った。





ルカス
監獄の調査が終わったのですが
そのことについてお話したいことがあります



あなた
監獄の?



ムー
それ、ボクも聞きたいです!




はいっと手を挙げたムーに

苦笑したルカスがいいですよ、と頷いて

それから空になった紅茶のカップをみて

おや、と目を瞬いた。




ルカス
あなた様が淹れたんですか?



ムー
ボクが淹れました!
ルカス
ムーちゃんが?



あなた
ん、ちゃんと美味しかった




えへんと胸を張るムーに

ルカスがにこやかに頭を撫でる。



うん、ちゃんと紅茶だったぞ


毛も入ってなかったし。












ルカスに手を引かれて食堂に行けば

ベリアンとミヤジが待っていて

古参おじいちゃんメンバーにおっとと顔に笑顔を貼り付けた。






・・・・・大事な話って言ってたな?






ムー
あなた様・・・お説教メンバーですよ・・!
ま、まさかもうバレたんじゃ・・・!
あなた
狼狽えるなムー
堂々と顔をあげて笑え




コソコソ話している私とムーをよそに

ベリアンがにこやかに紅茶を淹れる。



今飲んできてお腹たぷたぷなので

添えられていたクッキーを一つ貰えば

ルカスがさて、と口を開いた。




ルカス
ベリアン、ミヤジも、集まってくれてありがとう、後で他の皆にも伝えるのだけれど、まずはこのメンバーにと思ってね



あなた
話があるのはルカスか




ならセーフだな!






あからさまにホッとして揺れてるムーの尻尾を

ベリアンたちから見えないように抑える。


犬ほどではないけれど

感情に左右される尻尾はかわいい。

隠し事には向かないけどな。




ベリアン
それで、大事な話とはいったい・・・?


ルカス
グロバナー家が災禍の監獄で証拠品を押収したのは覚えてるね?
ベリアン
えぇ、数千年前に書かれたと思われる資料や手記が大量に見つかったとか・・・
ミヤジ
ふむ・・なにか気になるものでも見つかったのか?天使に繋がる証拠とか



ルカス
いや、残念ながらそうじゃない
見つかったのは過去の遺物というべきか・・これだ




かたんとルカスが机に置いたのは古びた箱。




ムーと一緒に覗き込めば

ルカスが箱の中身をみてほしいと手に取った。





ベリアン
・・・・っこれは・・!







あなた
・・・・・また鍵?




古い箱の中には

箱とちぐはぐなキラキラした漆黒の鍵。


鍵自体が宝石にみえるくらい

細部まで細かい紋章や模様がついている。




これお高いんでしょー?

と通販番組みたいなフレーズが頭を過ぎれば

私とムーの後ろから覗き込んだベリアンが

ハッと息を飲む気配がした。








ルカス
・・・・やはりかベリアン、
君はこれを知っているね?




やはり?と首を傾げるムーに

ルカスが鍵の紋章を指差せば

ミヤジがハッとしたように近くに寄る。



悪魔と契約した時の紋章だという模様に

ルカスがしっかり頷いた。




ルカス
私は医者だからみんなの体のことはよく知っている・・・それはベリアンの紋章だ




ルカス
なぁベリアン、君はその鍵の正体を知っているんじゃないか?





ベリアン
・・・・どうして・・これが・・





ルカスやミヤジの声も耳に入っていない様子で

ただ鍵を呆然と見ているベリアンに

ふむ、と一拍間をおいて


サッと箱ごとベリアンの視界から取り上げた。






ベリアン
っあ・・・・!




あなた
ベリアン、ルカスが聞いてるぞ
この鍵のこと知っているのか?


ベリアン
ぁ・・・・あなた様・・





ルカス
ベリアンこの鍵を知っているなら教えて欲しい・・それとも私たちには話せないことか?





なんとなく手に取ったけれど

見た目通りちょっと重たい箱と鍵に

ベリアンがもう一度視線を寄越す。



そうして、

ベリアンを見つめるルカスとミヤジに

ゆるりと頭を振った。





ベリアン
ち、違いますっ・・・ただ、ずっと探していたものだったので・・・
ルカス
君はこの鍵を探していたのか?






ベリアン
それは・・・お父様、
いえ、ゴエティア様がお作りになった鍵です



ルカス
ゴエティア様?




ルカスとミヤジが目を見開いて

ムーがうーんと首を傾げる。



おじいちゃんたちがずっとシリアスモードなのに

ムーのリアクションでいまいち締まらないな、と

なんとなーく鍵を指でクルクルまわせば

ベリアンから目をそらさずに

ミヤジにそっと手を止められた。






すまん、真面目すぎて退屈なんだ






あなた
ゴエティアってエスポワールに祀られていた御神体だろ?でもベリアン、何をした人か知らないって言ってたじゃないか・・・まさか













あなた
ベリアン、
お前ゴエティア様の隠し子か?


ベリアン
っ違います!!
い、いえ違わない・・?っわ、私たちはゴエティア様が引き取ってくれた孤児なんです



ちゃんと話に参加してますアピールをすれば

珍しく動揺しているベリアンにがしっと腕を掴まれた。



別に記者じゃないんだから

英雄には隠し子がいた!?とか

そんなスクープ作らないぞ?




ベリアンがルカスに宥めれて、

(ついでに私はミヤジにこら!とガチめに叱られて)

ふぅ、といつもの冷静さを取り戻したベリアンが

改めて真剣な表情をした。









ベリアン
・・・執事のみなさんを集めてください
私が今まで話してこなかったことを話します、この鍵のことも、ゴエティア様のことも



ルカス
ベリアン・・・・わかったよ
ミヤジ
では私たちが手分けして・・・



あなた
よし、私の出番だな!?



頷いたルカスとミヤジに

すちゃっと自作のメガホンを取り出す。



あ、と若干引き攣ったムーが

肉球の手で耳を塞ぐより素早く息を吸った。








あなた
全員5分後に食堂集合ーー!!










私の声がデビルズパレスに響いてきっちり5分後。








朝食の時間以外で全員集まった食堂に

ミヤジにどうだと胸を張れば

苦笑いして頭をポフポフされた。




うん、これでさっきのチャラだな!






ロノ
急に全員集合なんて・・
なにがあったんすか?
フルーレ
ロノ、なにかイタズラでもした?
バスティン
つまみ食いがバレたか?
ロノ
どっちも俺じゃねーしっ!





ボスキ
ベリアンさんもルカスさんたちもいやに緊張しているな
ハウレス
ここ最近は落ち着いていたと思っていたが・・・
アモン
重苦しくて息が詰まりそうっす
フェネス
たぶん何か重要な話があるんだと思う・・




1階、2階組のひそひそに

きょろ、と食堂全体を見回す。


みんなの緊張をほぐす為に

出番かと息を吸い込めば

吐き出す前にミヤジの大きな手で口を塞がれた。




あなた
むぐっ!むがむっ・・!


ミヤジ
あなた様、あとでおいしいものを作ってあげるから今は静かにしているんだよ
あなた
むぃ・・・・



ムー
ミヤジさん、あなた様の扱い上手ですね!





ちがうぞ

私が譲歩してあげてるんだ






大人しくミヤジの腕に捕獲されていれば

緊張した様子のベリアンがふぅ、と息を吐いた。





ベリアン
皆さん集まってくださりありがとうございます、今から皆さんにお話したいことがあります・・・私の過去についてです






ベリアンが話したのは

さっき少し出ていたゴエティア様とのことだった。



ベリアンはゴエティア様の孤児院にいたこと。

ゴエティア様はひとりで天使と戦っていたこと。



そして、1番最初に悪魔と契約をしていたのは

ゴエティア様だったこと。




ベリアンは悪魔と契約した3人目だったこと。




ベリアンが悪魔執事になった前後の記憶は曖昧だが

ずっと2人目の悪魔執事がこの邸にいたこと。
















ハウレス
この邸に・・?



ベリアン
はい、フェネスくんたちが以前言っていた地下の空間、あそこに彼はいます
あなた
むぐぅぅ!?









まだ、鍵の本戻してない!!













ご案内します、と立ち上がったベリアンに


冷や汗ダラダラのまま

ムーと目を合わせた。

















(あ、私次回お説教確定・・・)

(諦めないでくださいっ)


(あなた様、ムーくんさっきから何してるんだい)




((ぎくぅっ・・・!))





いいコンビな主様とムー。

ミヤジの中では主様は
バカな子ほどかわいい、の問題児です



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