第60話

私とルカス
623
2025/05/30 09:00 更新



ある日ぽっちゃり猫を助けたら




よその世界の執事の主になった









これは 私と執事たちのお話















フィンレイ
あなた、来たか



あなた
来たぞ





ベリアンから話を聞いた翌日、

ルカスとふたりでグロバナー本邸に来た。






今回の件でルカス、フィンレイ双方から

しっかり話をしたいとのことだったので

いつもの会議室には私たちだけだ。





最近忙しくてジジイ共と遊んでないが

あいつらそろそろポックリ逝ってないだろうか。




今度花火を入れたびっくり箱とか送ってみようか







フィンレイ
・・・・・やめなさい



あなた
ん、あれ?口に出てた?





フィンレイが微妙な顔をしてるので

半分しか本気じゃないよ、とちゃんと訂正すれば

苦笑しているルカスが私に椅子を引いた。





ルカス
あなた様、こちらへどうぞ





フィンレイ
ではさっそくだが・・・




椅子に座るなりルカスとフィンレイから

今回の計画について改めて説明される。




サルディス家が悪魔執事を超える存在を作ろうと

災禍の監獄でこどもたちに人体実験をしていたこと。

戦争に発展しないよう敢えてラトを引き渡し

悪魔化させて監獄を潰そうとしたこと。


その計画が失敗しないよう、

私たちに、ミヤジに偽の情報を伝えたこと。






ひと通り話したルカスは

目を伏せてふ、と息を吐いた。





ルカス
あなた様、申し訳ございませんでした
ですがサルディス家が覇権を握れば邪魔な悪魔執事も、その主であるあなたも必ず処刑されてしまう・・・私は、それだけは阻止したかったのです





あなた
ルカス





はぁ、とため息をついてルカスを呼んで

私よりずっと大きい体を縮こませているルカスを

下から覗き込んで首を傾げた。






あなた
知ってたけど


ルカス
え・・・・



正確にはミヤジ何か企んでるなーくらいだったけど







あなた
そもそもいつも私に同行させるのに置いてった時点でおかしいなと思うぞ?





ルカスとフィンレイが最善だと思ったのなら

結果的にラトも無事だったんだから

ぐだぐだと文句をいうのは時間の無駄だしな。




それに、だ。






あなた
謝るのはラトとミヤジにだろ?








ルカス
で、ですが・・・・・ぶふっ!!
あなた
でもじゃない!!



なんかもごもごしてたので

イラッとして一発ビンタをお見舞いする。




おいフィンレイ、そっぽ向いてるけど

笑ってるのバレてるからな?




がしっとルカスの服を掴んで

もう一度目を合わせた。




あなた
ミヤジとラトに伝わるまでちゃんとごめんなさいしろ、1回でダメなら100回謝れ


ルカス
あなた様・・・・




あなた
お前たちには時間があるだろ?
ラトもミヤジも、生きてるんだから

ルカス
っ・・・・はいっ




今度はしっかり返事をしたルカスに

よし、と拳をおろせば

隠れて笑っていたフィンレイがごほんと咳払いした。








フィンレイ
まとまったか?
私からも補足なんだが、今回はサルディス家を潰すのともうひとつ目的があった
あなた
もうひとつ?




フィンレイ
あぁ・・・知能天使と繋がっている人類側の裏切り者を炙り出すことだ






ルカス
私たちはサルディス家が知能天使と繋がっているのではないかと疑っていました、そうでなければハウレスの妹や執事の墓など知り得るはすがない
フィンレイ
まぁ結果的に・・・サルディス家は限りなく白だったが・・





フィンレイの話が終わり、

一礼したルカスが先に馬車を手配しに行く。



ふたりきりになった時点でフィンレイを見上げた。







あなた
監獄から押収した資料に、ラトの名前はあったか?
フィンレイ
いや・・・・?
人体実験の対象に名前など求めないだろう、記録はすべて番号だったな



あなた
やっぱりそうだよな・・・?




眉をあげたフィンレイに首を傾げる。






あなた
フブキもラトを番号で呼んでいた
なんでラトが3719だとわかったんだ?







あなた
ラトの胸には3719のタトゥーがある
・・・・でも、普通じゃ見えないとこだ






どこそこのスパイが邸に侵入して

他の執事やラトに気付かれないように

着替えや風呂を覗くなんて出来るのだろうか。




同じ執事ならともかく。





もちろんデビルズパレスに

執事たち以外の人間だって行き来はする。

立ち入り禁止のわけではないし

なんなら総出の依頼があれば

邸の警備にきてくれる顔馴染みの衛兵だっている。





頭を駆け巡る邸の関係者に

一度目を閉じて頭を捻った。




いまここで考えたって答えはでない。







あなた
めんどくさいことばっかだな
とりあえず様子は見ておく
フィンレイ
あぁ、頼んだ
だが君の身の安全が最優先だから余計なことはするなよ




間髪入れずに返ってきた言葉に

おや、と目を丸くする。





なんだフィンレイ

最近会ってなかったからデレ期か?




フィンレイ
悪魔化を解けるあなたがいなくなれば悪魔執事たちも今後拘束される可能性があるからな




あなた
素直に心配だからって言えばいいのに





フィンレイ
本心だ



あんまり真面目だとハゲるぞ





肩を竦めるフィンレイをジト目で見上げて

廊下から響いてくるルカスの足音に踵を返す。



ドアのところでそうだ、と

フィンレイに振り返ってにこりと笑った。





あなた
私はフィンレイが好きだからな
ちゃんと今日は寝るんだぞ




フィンレイ
・・・・・・・・!




























ルカス
あなた様、今日はお付き合いくださりありがとうございました
あなた
うん、これで今回の件報告したってことでいいか?いいな?




また報告書書くのめんどくさい









馬車に揺られて少し、

遠くのほうにデビルズパレスの屋根の先が見えてきて

いつもの笑顔のルカスを見上げる。





いつもの笑顔、に見えるけども・・・・






あなた
ルカス、帰ったら速攻ミヤジのとこ行け
ルカス
う・・・・・




あなた
こういうのは勢いが大事だろ
さっき決めたんだから今日帰ったらすぐだ




時間が経てば経つほど

にげる言い訳探しそうだしな、ルカス。




視線が定まらないルカスに

返事は?と声のトーンを低くすれば

3拍くらいおいて、はいと返ってきた。







そのへんの返事の速さは 


ハウレスやテディを見習ってくれ


あいつら反射で返事するからな







ムー
・・・で、ルカスさんは行ったんですか?



あなた
行かせた
今ごろミヤジと屋上で告白タイムだ
ムー
へぇ〜・・・・・・・!



あなた
ムー覗きはだめだぞ
ムー
し、しませんよ!?さすがにっ!




目に、ちょっと見に行きたいと

書いてあるムーに一応釘を差して

地下への階段を降りる。



帰ってきた報告をしに

ベリアンを探しているのだが

いつもの1階にはいなくて

ベリアンがよくいる、

地下倉庫まで降りてきたわけなのだが・・・・





あなた
・・・・いないな?
ムー
いないですね



コンコンとノックしても返事はなく

開いたドアから覗いても部屋に人の気配はない。


どこに行ったんだろうと首を傾げれば

ムーがガシッと私の腕を掴んだ。




ムー
入りましょう!



あなた
・・・・・・は?


ムー
フラグの匂いがします!!




あなた
地下倉庫にか?
ムー
だって皆さん共同部屋ですよね?!
ベリアンさんだって1階にロノさんたちとの部屋があるのに・・よくひとりでここにいるんですよ?
あなた
それは・・・そうだな?
ムー
それにフェネスさん言ってたじゃないですか!何か隠してるんじゃないかって・・・







そんな期待した瞳で見られても困るんだが・・・






あなた
まぁ・・・確かに何か隠してる感じはあるな



ムー
ですよね!?








わくわくしているムーと

廊下の様子を確認してそっと部屋に入る。




・・・・ふむ?




あなた
整ってるな、さすがベリアン
さてどこかなー・・男子はよくベッドの下に本を隠すんだろ?地下倉庫はベッドないしな
ムー
なんでエロ本前提なんですか!
そんなに見たいんですか!?


あなた
うちの兄たちはセーラーフェチとブラコンで、そういうの持ってなかったからな、本当にベッドの下に隠しているのか興味はある・・・・特に変な荷物はなさそうだな?



中身は興味ないし





なぜかホッとしたようなムーに

一度床から立ち上がって本棚を見る。


その中から分厚い本をいくつか手に取れば

そのうちの2冊の本は見た目より軽かった。







あなた
・・・・これだな



ムー
えー・・・えっ!ほんとに鍵があります!
すごいですねあなた様!




本には、2本の鍵。






あなた
なんだ鍵か・・・・
ムー
残念そうにしないでください!
重要アイテムですよ?!



別に残念ではないぞ


ちょっとがっかりしただけだ・・・・





鍵なんて興味ないので帰ろうかな、と手を上げかけて

廊下から近づいてくるベリアンの足音に顔をあげる。



まだ地下組の部屋のほうだな?




あなた
ムー、ベリアンが来る
私が探しているとか適当に言って2階のほうに引き離してくれ
ムー
えぇっ!?


あなた
この部屋で捕まったら3時間お説教だぞ?





ムー
ぅぅうっ・・・
後でちゃんと教えてくださいね!





ムーがサッと部屋から出て、

少し離れたところでベリアンを呼ぶ声がする。



念の為大きな棚の横に隠れていると

徐々にベリアンとムーの話し声が遠ざかり

部屋の外が静寂に包まれる。


そろそろいいか、と

棚に手をついて立ち上がった時だった。








あなた
・・・・む?



がこんと棚がずれて、

壁ではなく鉄の縁が見えた。





あなた
・・・・わかりやすいな?






このドアの先に隠している本って

相当やばいのではないか?








帰るときは絶対痕跡を残さずにしようと

鍵を使ってドアを開ける。


ギィと重い音をたてて開いた先は、

灯りが何もない暗闇。



しばらく目を凝らせば

そこは小さな部屋で、

何かが椅子に腰掛けているのが見えた。






あなた
・・・人?人形?





黒髪に、ベリアンみたいに

一部だけ緑色のメッシュが入った男の人。




黒髪に黒い獣耳と、

長い尻尾も生えている。






じいっと見ても

瞬きもしない人に手を伸ばしてみた。








あなた
あったかい・・・・・



















━━━━ 結論


ベリアンは変な本は隠してませんでした。



















(はっ!これが男が欲しがるドールか!)

(・・・・・・・・・・・)



(・・ってムーいないからツッコミいないわ!)







だんだんムーに毒されてく主様。

主様とムーがわくわくしてる同時刻
ルカスはミヤジに告白してます、たぶん。

プリ小説オーディオドラマ