第59話

私とミヤジとユーハン
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2025/05/27 09:00 更新




ある日ぽっちゃり猫を助けたら




よその世界の執事の主になった








これは 私と執事たちのお話



















あなた
そういえば、あいつどうした?





ミヤジ
あいつ・・・・?





きょとんとしているミヤジを

ミヤジの足元でごろんと寝返りを打って見上げれば

髪を降ろしていつもよりお色気お兄さんのミヤジが

不思議そうに首を傾げる。




しっかりミヤジのベッドに張り付いて・・・いや、

看病していたフルーレとラトが

ミヤジと同じように首を傾げて仲良しだなと思った。










フルーレ
もしかして・・・
サルディス家の当主ですか?
あなた
そうそう、私簀巻きにしたあとラトとミヤジのことしか頭になかったからすっかり忘れていたな、と思って



ラト
くふふっ
私もあなた様のことしか興味ありません



フルーレ
グロバナー家の兵に捕まったんじゃないですか?あの後グロバナー家の調査隊が入って、こどもたちも保護したそうですし・・・



あなた
そうか・・・





ミヤジ
あなた様、あんまりゴロゴロ転がると背中に響くからやめなさい
あなた
私はもう治りかけてるから大丈夫だ
ミヤジこそ若くないんだから安静に・・・ってなんで怒ってるんだ?




フルーレ
あなた様・・・・・・
ラト
ふふっ
ミヤジ先生は何歳でもミヤジ先生ですよ




にこりと笑顔のまま首根っこを掴まれて

ぽいっと椅子に戻される。

座り直してベッドに向き直れば

上からのしりとラトが乗ってきて



鼻と鼻が触れる距離で

さらりとピンク色の髪が視界に流れた。






ラト
あなた様の背中、ルカスさんがいないので私がみてあげますよ?
フルーレ
ラト!何やってんの!
ラト
傷が残ってたらちゃんと舐めてあげます・・・ね?いいでしょ?




あなた
いや嘘だ
ラトは絶対血を舐めて喜ぶだろ





ラト
おや、バレてましたか
フルーレ
っラト!!




けろりと悪びれないラトに

フルーレがキャンキャンと子犬のように説教して

いつものデビルズパレスだなぁと小さく笑う。


そろそろお父さんのストップが入るかな、と

ミヤジをみれば、ぱちりと目があった。






ミヤジ
あなた様・・・・・・
あなた
ん?




ミヤジ
君が傷口を塞いだのだと聞いた
・・・君の、血で



あなた
あぁ、この間ルカスの怪我を舐めたら治せたんだ、だから血でもいけるかなーと思って




主パワーだ

私すごいな?





言いづらそうなミヤジに首を傾げて

服の下から覗く包帯にふと視線が留まる。


そういえば緊急で無理やり塞いだだけだから

きちんと治ってなかったのか。




ん、と考えて

よいしょ、とミヤジのベッドに乗った。
  




ミヤジ
っ・・・あなた様?




あなた
ミヤジすまん、中途半端だったな?
ミヤジ
は・・・・



鳩尾より少し上、

包帯を少し引っ張れば

ぼこりと不自然に凸凹の薄い皮膚がある。


痛くないかな、と指で触って

顔を落とした。





ミヤジ
っ・・・?!な・・っ




そーっと痛くないように慎重に舐める。


上でミヤジが息を呑んだ気配がして

痛かったかな、と目を向ければ

きゅっと眉を寄せたミヤジに

真っ赤な顔で頭を押さえられた。




ミヤジ
っこ、こら・・・
っ女の子がそんなことやめなさい!
あなた
・・・・・痛かったか?



ミヤジ
い・・・・たくは・・ないが!


あなた
じゃあもうちょっと我慢して



ミヤジ
っ・・!!




ぺろ、と傷口を舐め

そろそろどうかな、と見やれば

ボコボコしていた皮膚がつるりとしたものに戻り

ミヤジの褐色肌の筋肉質な体になる。





あなた
ん、我ながら万能だな、私



ミヤジ
っ・・・ぅぐ・・あなた様っ・・!




あなた
んー?



ラト
ずるいですあなた様
あなた
・・・・ラト?




ミヤジの傷の治り具合に

いい仕事したな!と達成感に体を起こせば

ぷくりと頬を膨らませたラトが横に立った。










ラト
あなた様、私も全身怪我をしてますよ?



あなた
ん?あぁ・・・そうだな



確かに全身実験をされていて

痛々しい包帯があちこちあるラトは

にこりと笑って包帯を外し始めた。





ラト
あなた様、舐めてください 全身





あなた
え、なんかこわっ・・



はだけたままじりじり迫ってくるラトに

悪寒を感じてサッとミヤジの後ろに隠れる。



横の3階の医務室の窓から

カサリと音がした気がしてふと振り向いた。










ハウレス
ゆ〜る〜さ〜ん〜・・・・・・っ!!












両手に枝を持ち

目から血の涙を流している変態がいた。






あなた
こわっ・・!!





ラト
おや、どうしました?鼻からではなく目から血が出ていますよ?ハウレスさん



ハウレスが鼻から血を出すのはもう自然なんだな





心から不思議そうなラトに

鬼泣きのハウレスがゆらりと窓を跨いで入ってきて

石から戻ったフルーレが青い顔ながらも

サッと私とミヤジの前に立った。



フルーレ
は、ハウレスさん!そのっ・・





ハウレス
っずるいですあなた様!!俺だって着いていきたかったのを執事らしく我慢してたのに俺のレーダーによるとルカスさんとユーハンにあんなことやこんなことされてミヤジさんとひとつになった上にラトに背負われて帰るなんて羨ましい通り越して恨めしいのを必死に我慢して留守番していたのに・・・!俺もあなた様の血を輸血されたいです!!!






・・・・・・・・







ラト
うふふっハウレスさん絶好調ですね



あなた
え、すまんなんだっけ?
長すぎて着いていきたかったとからへんまでしか聞いてなかった
フルーレ
あなた様、それほとんど聞いてないです




ラト
ではハウレスさん私と模擬戦しませんか
勝ったらあなた様に舐めてもらえますよ
あなた
は?舐めないが
ハウレス
なるほどいいだろう裏庭に行くぞラト!
あなた
いや、だから・・・
ラト
いってきますあなた様♪
くふふ・・・っ・・ぁあ楽しみですね


フルーレ
ちょ・・っふたりとも!!
ミ、ミヤジ先生っ俺もいってきます!
ミヤジ
あぁ、頼んだよフルーレくん






あなた
おーい・・・・・





普通負けたほうが怪我するんじゃないのか?





嵐のように突入して

嵐のように去っていったハウレスに

遠くのほうでフェネスの悲鳴が聞こえる。



ドカンパリンと、

今はグロバナー邸に行っていて不在のベリアンが聞いたら

速攻雷が落ちそうな音にそっと窓を閉じた。





あなた
ラトが戻ってきたら急に賑やかだな


ミヤジ
ふふ・・それだけラトくんがみんなに馴染んでいたということだろうね・・・あなた様
あなた
ん?





ベッドの上で体を起こしているミヤジが

一度深呼吸をして、

泣きそうな、嬉しそうな、


不思議な笑顔を浮かべた。





ミヤジ
ありがとう・・・・
私は・・・・死にたくなかった







あなた
ミ・・・・

ミヤジ
ラトくんを助けたいのはもちろん本心だった
その為に約束通り私の命を差し出すのが1番効果的なのも・・








ミヤジ
だが、いざラトくんを前にしたら躊躇ってしまった・・・君の顔が浮かんでしまった・・





腕を引かれてミヤジの手が背中にまわる。



私の胸元に顔を伏せたミヤジが

息を吐き出すように呟いた。






ミヤジ
まだ・・・・そばにいたい
・・・・・・・死にたくない





あなた
ミヤジ・・・・・





















あなた
死にたくないのは当たり前だろう


ミヤジ
は・・・・・っ?!・・ぐっ・!





今だけ少し見下ろす頭にべしんとチョップして

顔をあげたミヤジに首を傾げる。

今悪魔化してて耳が生えてたら

思いっきりワシャワシャするのに・・すごく残念だ。





あなた
死にたいやつは強くなれないし誰も守れない
命を差し出して死んだあとに、その大切なものを狙うやつがいないなんて誰が断言出来るんだ


ミヤジ
・・・・・・それは・・





あなた
大切な者を守りたければ生き抜け
お前の命はお前だけのものじゃないんだろ?




詳しくは知らないけども。


誰かの命を犠牲にして生かしたって

ルカスと喧嘩してたじゃないか。


まさか忘れてないよな?と問えば

は・・・と、息を吐いてミヤジが頷く。




うむ、

大人になっても素直に反省出来るのは良いことだ。




少し強まった腕の力に

よしよし、と頭を撫でれば

顔をあげたミヤジが不意に耳元に顔を寄せた。






━━━━ありがとう あなた






あなた
ぅひぁ・?!?!




耳に触れた低音にぞわっと鳥肌がたって

ミヤジの顔を押しのければ

ぐっと引っ張られてミヤジが私ごと後ろに倒れた。




ミヤジ
ふふふ・・・
やっぱり まだ死ねないな



あなた
っ良かったな!
で、なんで私を巻き込むんだ
ミヤジ
あなた様とラトくんたちが
私に未練を残させるから


あなた
はぁ?ラトと一緒にするな
私のほうが精神的に大人だろ!
ミヤジ
ふふっ・・・・そうだな




私をお腹に乗っけたまま笑っているミヤジに

これ、ルカスが見たら

怒られるの私だな、と体を起こせば

ドアが開く音より先にバキッと何かが壊れる音がした。







あなた
・・・・・・・・ん?







ユーハン
あなた様、何をしているんですか




ユーハン、


なんで疑問形ではなく断定なんだ








あなた
私じゃないぞ!?


ユーハン
そんなところに乗ってはいけませんよ
さぁ降りてください、ベリアンさんに呼ばれてます




壊れたドアノブを横に置いたユーハンに

ぐいっと持ち上げられて横抱きにされる。



肩に担ぐでもなくこども抱っこでもない持ち方に

おぉ・・と声を上げた。





あなた
すごい、ナチュラルにお姫様抱っこしたな?執事たちにこんなヒロインぽく抱っこされたの初めてだぞ
ユーハン
・・・それは、私喜んでいいんですか?


あなた
基本は担がれるか肩にいるからな 
あ、ミヤジはまだ安静にしてるんだぞ?





ミヤジに念押しして、

ユーハンとベリアンのところへ行けば

ベリアンからラトの件からここ数日の経過報告を受けた。



サルディス家の人体実験や実情を

フィンレイから公表し、東の大地は

反サルディス家の複数の組織からなる

イースト諸侯同盟連合の貴族たちが治めていくこと。




そして、


中央の大地に輸送する途中でフブキが逃走し

行方知れずとなっていること。





あなた
なんだ、思ったよりあいつ根性あるんだな


ムー
ってなんで感心してるんですか!
その・・・ユーハンさん・・大丈夫ですか?




え、だって見るからに

貴族のワガママ坊っちゃんぽかっただろ?


自分の計画崩されたら挫折するかなと思ってたぞ。




静かなユーハンを見上げれば

ふぅ、と息を吐いたあと

ゆっくり顔をあげてベリアンを見た。






ユーハン
ありがとうございます、ムーちゃん
ですが私は大丈夫です、彼への憎しみや怒りは収まったわけではありませんが・・




ユーハン
ですが、私は自身の復讐より世界の平和のために天使と戦いたい・・・そしてあなた様、貴方に幸せでいてほしいのです



あなた
うん?




急にユーハンがこちらを見て

目をぱちくりすれば

きゅっと手を取られる。




ユーハン
サルディス・フブキは何年、何十年経っても
必ず捕まえて罪を償わせます・・・あなた様、







ユーハン
何百年、何千年経っても貴方のそばに・・・



あなた
ぴぎゃっ・・・!!
ムー
ぅにゃお・・!!





ぐいっと引かれて

ミヤジとは反対の耳元にユーハンの口が触れる。











ユーハン
フフフ、やっぱり耳が弱いんですね
私もミヤジ先生に負けませんよ





晴れ晴れとしたユーハンの笑顔と


その後ろで、

目をキラッキラさせてるムーが印象的だった。
















ミヤジとユーハンと。


主様に他意はありません。獣耳ならともかく・・。


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