第18話

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2025/08/30 00:31 更新
優奈
《年越し会、今年も私の家でやる?》
12月30日。
優奈からのLINEは、例年通りの恒例行事のお知らせだった。
あなた
《もちろん行く》
返信した私は、毎年恒例の年越し組、優奈、なおくん、私の3人で過ごすカウントダウンの準備を初めていた。
あなた
カウントダウンにカップ焼きそばって、なんか違わない?
優奈
うるさいなー、これ直哉のリクエストなんだよ?
あなた
なおくんはこれでいいの?
直哉
なおは年越し焼そば派。
奈緒くんの真顔に吹き出しながら、リビングには笑い声が響く。
お菓子、こたつ、みかん、テレビ、このゆるっとした時間が、どこか安心感をくれた。
23時過ぎ。
2人がイチャイチャし始めたので。私は少しだけベランダへ出た。
外の空気は冷たくて、夜風には星が滲んでいた。
あなた
(もうすぐ、年が変わる)
その時、ポケットの中、スマホが震えた。
瑛宜
《今どこ?》
心臓が跳ねる。
あなた
《優奈の家》
《年越し会、毎年恒例のやつ》
瑛宜
《少しだけ、外出れたりする?》
あなた
《うん》
《今からなら、神社の前とかなら行けるかも》
そして10分後。

近所の小さな神社の前。
雪こそ降ってないけれど、空気はピンと冷えていた。
私が境内の鳥居をくぐった時。
瑛宜
来てくれた。
瑛宜ファ、手をポケットに突っ込んで、いつもの表情で立っていた。
あなた
そっちこそ。来てくれたじゃん。
瑛宜
来るよ。
あなたの下の名前と年越したくて、連絡したんだから。
言葉が、胸の奥で柔らかく響いた。
瑛宜
あなたの下の名前、寒くない?
あなた
ちょっとだけ。
瑛宜
手、貸して。
そう言って、瑛宜は自分のコートのポケットの中から、片手を出してきた。
あなた
ポケットに、ってこと?
瑛宜
そう。
あったかいし、ちょうどいい。
ためらいながらも、その手にそっと指を絡めると、予想よりもずっと、手のひらが大きくて、あたたかかった。
瑛宜
年が変わる瞬間ってさ。
あなた
うん。
瑛宜
なんか、ひとつくらい変えありたいって願ってよくない?
あなた
例えば?
瑛宜
例えば、、、
瑛宜は、少しだけ俯いてから言った。
瑛宜
あなたの下の名前との関係、もう幼馴染じゃなくしたいとか?
心臓が一気に跳ねた。
瑛宜
でも、まだ言わない。
あなた
え?
瑛宜
今好きって言ったら、あなたの下の名前が焦ってるの分かってるし。
ちゃんとタイミング待つ。
瑛宜は、私の手をもう少しだけ強く握った。
瑛宜
俺はもう、好きになる準備、完了してるから。
あなた
瑛宜、、、
瑛宜
だから、焦らなくていいよ。
ゆっくりでいいから。
神社の鐘が鳴り始めた。
スマホの画面が0時を告げて、あたりに新しい年の空気が満ちていく。

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