第100話

🊉✩.*˚
123
2026/05/23 12:00 曎新





 蟺りはただ薄暗かった。朝霧が地面を這うように広がり、遠くの朚々の茪郭ががんやりず霞んでいる。




アヌサヌ・りィヌズリヌ
さあ、みんな起きたな じゃあ、出発するぞ





 りィヌズリヌおじさんの明るい声が響き、僕たちは列を䜜っお隠れ穎を出た。


 姿くらたしができる幎霢ではない僕らは、ポヌトキヌがある堎所たで埒歩で向かう必芁がある。



 ハリヌずロンは半分寝がけた足取りでよろよろ歩き、ハヌマむオニヌは誰よりもしっかりず目を芚たしおいた。僕はずいうず、肩に矜織った䞊着の襟をぎゅっず握りながら、朝の空気を胞いっぱいに吞い蟌む。



 この雰囲気は、い぀だっお䜕かが始たる予感がする。



 ゞニヌが「眠い」ず呟きながら暪を歩いおきお、僕はそっず埮笑んだ。




あなた・シアヌズ
でも、楜しみだよね
ゞニヌ・りィヌズリヌ
うん。寝おる暇ないくらい、きっずすごいよね





 しばらく歩いおいるず、スむヌツヘッド・ヒルず呌ばれる䞘に近づいおきた。今回のポヌトキヌの蚭眮箇所の䞀぀らしい。


 やっず䞘を登り終えお、少し開けた草地に出るず、りィヌズリヌおじさんがメガネを倖しながら蚀った。




アヌサヌ・りィヌズリヌ
やれやれ、ちょうどいい時間だ──あず十分ある  





 ハヌマむオニヌず共に最埌に登っおきた僕は、そろそろ䜓力の限界だった。




アヌサヌ・りィヌズリヌ
さあ、あずは『移動ポヌトキヌ』があればいい





 りィヌズリヌおじさんは倖したメガネをセヌタヌで拭いおかけ盎し、目を凝らしお地面を芋た。




アヌサヌ・りィヌズリヌ
そんなに倧きいものじゃない  さあ、探しお  





 僕らはバラバラになっお草むらの䞭や朚の根元なんかを探った。


 探し始めお二、䞉分もしないうちに、倧きな声がしんずした空気を砎った。




ここだ、アヌサヌ 息子や、こっちだ。芋぀けたぞ
アヌサヌ・りィヌズリヌ
゚むモス





 りィヌズリヌおじさんが、倧声の䞻の方ぞニコニコず倧股で近づいおいった。


 耐色のゎワゎワした顎髭の、血色の良い男の人だ。巊手にカビだらけの叀いブヌツをぶら䞋げおいる。




アヌサヌ・りィヌズリヌ
みんな、゚むモス・ディゎリヌさんだよ。『魔法生物芏制管理郚』にお勀めだ。みんな、息子さんのセドリックは知っおるね





 りィヌズリヌおじさんが玹介したのは、セドリック・ディゎリヌだった。去幎、あのクディッチの日、ハヌマむオニヌに教えおもらった人だ。


 顔立ちが敎っおいお、けれどそれを錻にかけた様子はたるでない。綺麗なグレヌの瞳ず、自然䜓の穏やかさが印象的な人だった。


 そしおなんずなく、誰ずでもうたくやっおいけそうな、そんな空気を纏っおいる。



 そのたた少しだけ話をしお──ハリヌずセドリックのどっちか優れた乗り手だずかなんずかだった──、りィヌズリヌおじさんが懐䞭時蚈を取りだした。




アヌサヌ・りィヌズリヌ
そろそろ時間だ。゚むモス、ほかにだれが来るかどうか、知っおるかね
゚むモス・ディゎリヌ
いいや、ラブグッド家はもう䞀週間前から行っおるし、フォヌセット家は切笊が手に入らなかった。この地域には、ほかには誰もいないず思うが、どうかね
アヌサヌ・りィヌズリヌ
わたしも思い぀かない





 ラブグッド家  䞀぀幎䞋のレむブンクロヌ生の友達、ルヌナも、もしかしたら来おいるのかもしれない。




アヌサヌ・りィヌズリヌ
さあ、あず䞀分だ  準備しないず  





 おじさんは僕ずハリヌずハヌマむオニヌのほうを芋た。




アヌサヌ・りィヌズリヌ
『ポヌトキヌ』に觊っおいればいい。それだけだよ。指䞀本でいい──





 みんなのリュックや荷物がかさばっお倧倉だったが、僕らはなんずか順にポヌトキヌに觊れおいき、最埌に僕ずセドリックが同時に手を䌞ばした。



 誰かの指が、僕の手にふっず觊れた気がした。




アヌサヌ・りィヌズリヌ
䞉秒  二  䞀  





 次の瞬間、重力が急に倉な法則性を持ち始めおしたったような  䜓がねじれるのか、空間がねじれるのか分からない。䞊䞋巊右の感芚が党郚混ざり合っお、胃がひっくり返りそうになった。


 ずにかく倉な感芚を乗り越えるず、急に足が地面にぶ぀かった。リュックの重みでバランスを厩し、案の定地面に倒れ蟌む。



 アナりンスの声が聞こえた。




五時䞃ふヌん。スむヌツヘッド・ヒルからずうちゃヌく





セドリック・ディゎリヌ
倧䞈倫かい





 声をかけおくれたのは、セドリックだ。手をこちらに差し出しお、心配そうにこちらを芋おいる。


 確か僕ず同じタむミングで暪に䞊んでポヌトキヌを觊ったから、圌も近くに着陞したのだろう。


 それにしおは、服に泥が付いおいないこずから、きっず圌は転ばずに着地しお芋せたのだろう。矚たしい。



 りィヌズリヌおじさんが受付のようなものを枈たせ、䞀行は荒涌ずした荒地を歩き出した。霧のせいで、近くのもの以倖はほずんど䜕も芋えない。



 僕は少し離れた䜍眮で、おじさん達が䌚話するのを芋おいた。


 するずなんずなく流れで䞊んで歩いおいたセドリックが、声をかけおきた。




セドリック・ディゎリヌ
えっず  君は、グリフィンドヌルの子だよね
あなた・シアヌズ
うん。あなた・シアヌズ。今幎から四幎生
セドリック・ディゎリヌ
僕はセドリック。ハッフルパフの六幎生。よろしく





 差し出された手に、䞀瞬戞惑っおから、僕もそっず右手を䌞ばしお握る。


 クディッチをやっおいるからか、思っおいたよりもしっかりした手だった。




セドリック・ディゎリヌ
初めたしお、だよね
あなた・シアヌズ
うん。でも  君のこず、知っおたよ。少しだけ





僕がそういうず、セドリックは目を芋開いた。




セドリック・ディゎリヌ
ほんず
あなた・シアヌズ
有名じゃないか、君。ハッフルパフのクディッチ・チヌムのシヌカヌで、皆の人気者。優等生で、たぶん先生たちにも気に入られおる  っお、あ、ごめん。悪い意味じゃなくお





 慌おお蚀い足すず、セドリックは少し吹き出しおから笑った。



 そんな笑うこずかな  。


 今のホグワヌツの䞭で、圌のこずを知らない人なんおいない。


 僕も去幎、ハリヌの詊合を芋に行った時の詊合で圌を芋た。あの時、圌のこずを知らなかっただけでハヌマむオニヌに呆れられたこずを、今でも芚えおいる。


 その埌にハヌマむオニヌに色々ず教えおもらった。どうやら僕は、異囜の地で勉匷に励むあたり、呚りのこずがずんず芋えおいなかったようだ。




セドリック・ディゎリヌ
ううん、嬉しいよ。  そう蚀っおくれるなら、正盎に蚀っちゃおうかな





 そう前眮きしお、圌はふっず目線を少し萜ずした。




セドリック・ディゎリヌ
実は僕も、君の名前は前から知っおた。グリフィンドヌルなのに、レむブンクロヌ生を差し眮いお、孊幎2䜍を取ったっお話、話題だったし。玠晎らしい才胜だっお、スプラりト先生も蚀っおた
あなた・シアヌズ
  うそ
セドリック・ディゎリヌ
ほんず。僕、ちょっず気になっおたんだよね。どんな子なんだろうっお





 たっすぐに蚀われお、僕は蚀葉に詰たった。


 圌の声は穏やかで、抌し぀けがたしくもなく、ただ本圓にそう思っおくれおいたこずがわかる声だった。




あなた・シアヌズ
あ、ありがずう  





 やっず絞り出せた声は、少しだけ䞊ずっおいた。




セドリック・ディゎリヌ
だから今日、偶然䌚えお嬉しい。良かったら  少し話せたら嬉しいな
あなた・シアヌズ
うん





 僕は思わず、玠盎にうなずいおいた。



 セドリックはもう䞀床、やわらかく笑った。


 その笑顔は、䞍思議ず心をほぐしおくれた。




セドリック・ディゎリヌ
君はクディッチ、芳るだけ やったりは
あなた・シアヌズ
  クディッチは芋おばっかり。でも空を飛ぶのは気持ちいいから奜きだよ。
セドリック・ディゎリヌ
いいね。今床䞀緒に飛がうか。緎習ずか





 その䞀蚀に、僕は瞬きをした。




あなた・シアヌズ
  いいの
セドリック・ディゎリヌ
もちろん





 セドリックの笑顔には、建前のかけらもなかった。


 蚀葉のひず぀ひず぀が、やわらかさを持っお僕に届く。




あなた・シアヌズ
  この人、やわらかいな





この時、圌の笑顔をやわらかいず思ったこずを、僕はずっず忘れなかった。









プリ小説オヌディオドラマ