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母親 、 過去 捏造
そう言う神覚者ライオ・グラウツは悪魔の五つ子の長男であるドゥウムに話しかけた。
それはマッシュ・バーンデッドが無邪気な淵源を倒したすぐ後。勿論、無邪気な淵源の時間魔法で生き返ったばかりの次男、三男、四男もその場に居た。
先程まで敵として戦い、負けた相手。そして同じく神覚者オーター・マドルとその弟子達、ドット・バレットとランス・クラウン。同じく神覚者レイン・エイムズとその弟、フィン・エイムズ。
彼らが戦った悪魔の五つ子の母親について、だ。
見るも無惨な姿になってしまったマゴル城、その中に彼らの母親と見られる人物の姿は無かったのだ。人間、生きていれば誰しも母親というものが居る。居ない事はありえない。
彼らの母親はどこに居る とライオは長男に問いただす。
そう、深刻な顔をしてドゥウムは顔を伏せた。聞いてはならぬ事だったか とライオは少し落ち込む。
一応マッシュも彼らの末っ子にあたる家族なのだ。断る理由はライオに無かった。
そうして連れてきたマッシュ、兄弟達を見るなり「誰」と口に出していた事は言うまでもないだろう。
少し間を置いた後、ドゥウムは語り出す。彼らの母親について…。その話をマッシュ含むその場に集まった悪魔の五つ子は顔を伏せ、耳だけ話に傾けた。
もぐもぐとこの場において場違いなプリンを食べながら三男エピデムは説明する。
確かに兄弟と言われても彼らは似ても似つかない姿、形だとは思っていたが…とライオは思う。
それもそうだろう、特段力の強い者。欲望に忠実であり、飽き性の者。プリンに異常な程の愛情を注ぐ者。常にハイテンションな者。強い承認欲求を求めすぎた故に、父親の本心に気づかなかった者。そして、自分より人を大切にする善良の心を持つ者。と、本当に家族なのかと疑う程、似ていないのだから。
信じられないという顔をするライオ。という事は …と兄弟達の顔を見る。
彼らは実の母親を見た事がないという事…気の毒だな… とライオは呟いた。
隣がうるさくなるだろうと見越したドミナは隣を無視し、僕達の教えについて話し始める。
話が進む度、彼らがどんな生活をし、どんな教えを習ってきたか…耳を塞ぎたい程に無惨な話だった。
と急に話に入ってくるドゥウム。先程の騒ぎはどうしたのかとドゥウムの後ろをチラリと見ればマッシュは拳を出し、次男のファーミンは横たわり、後ろで爆笑している四男デリザスタ。という構図が出来上がっていた。
マッシュの母親だけが痛めつけられていたな と思い出した様に顎に手を置くドゥウム。
平和一家とも言える家族を持つライオには内容が重すぎた様だ。
慣れというものはどれだけ恐ろしい事か…とライオは思う。
彼らは命令であれ幼少期から人殺しを行っていたという。
多少例外は居るものの、命令されてやった事だ。人殺しをした観点から言えば罪は重い物になるだろう。しかし、命令されてやった事も事実。
分かった とライオは事実を重く受け止めた。
𝑒𝑛𝑑 _ 。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!