ザワザワ…
朝練のあった部活の人達も準備を終え、教室がうるさくなっていた。
キーンコーンカーンコーン
ガラガラ…
最悪だ。この学園は転校生が"珍しいこと"で、有名な高校らしい。
だから私はここに入学した。もう転校生に "会わなくて"いいんだって。安心しきっていた
私の顔は今どんな顔になっているだろう。机に突っ伏しているから誰も見れない。でも…
きっと、意味が分からないくらいに怒っていて泣いているんだと思う。
でも、転校生に悪気なんてない。だって転校してきただけだもの…でも…でもッ!
この感情はどこに捨てたらいいのッ!
彼はウパパロンだと言った。
元気で明るく第一印象はいい人や面白そうな人という感じだ。
早く席替えがしたい。もうここに座りたくないよぉ。
こういう時は役に立つんだな。男子って。
私が全て悪いんだ。本当は隣の席だからいっぱい話したい。いっぱいふざけ合いたい。楽しく笑っていたい。
でもそんな私の本音を、記憶が邪魔をするの
記憶なんてなければいいのに。
こういうことは何度も思ったことがある。全部悪意があった。でも、今だけは幸せになる為に記憶がいらない。
お願いです。神様。私を過去から救って下さい。一生のお願いです。私を…私を…幸せにして?
こんな願いが通用するような世界ではない。
だから、私は過去に縛られて明日もきっと、彼に冷たく接する。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。