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第5話

STORY5
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2025/12/14 08:00 更新


あれから数日後。



すっかりこの家での生活にも慣れてしまい、今じゃ我が物顔で暮らしている。



家から出てないから変な事もないし、今の所落ち着いている。



だが、問題がひとつ発生した。





レコーディングが…できない…
どーしよぉぉ〜



そう。



事務所にいけないから、歌を撮りたくても撮れない。



けど、撮りに行って殺されたら元の子も無い。



さとみくん、なんか良い機材ないの?
馬鹿か、ここお前ん家やぞ
俺の家からは最低限しか持ってきてないわ
えぇ?やっぱ買うしかない??
んー、まぁありっちゃありか
よし、買お
決断はっや
…う゛、やっぱ値段が可愛くない、、



スマホを見ながら呻き声をあげるころん。



まぁ、命に比べたら安いんじゃない?とアドバイスすると速攻ポチっていた。



ちょろ、こいつ。



…それにしてもさ、そろそろなーくんも勘づいてきてるよね?
あぁ、まぁなんかおかしいとは思われてそうだな
これだけ事務所に顔だしてなかったら
どうにかするにしてもね…できないし
自分たちから行って爆死は避けたいしな




どうやって犯人にアプローチを取ろうか。



ころんを殺そうとした所を捕まえる?



____いや、これはころんにリスクがありすぎる。




…こっちで、調べるか?




ころん、ころんの命狙ってる奴の目星ってついてる?
え゛ー、いや。分かんないんよね
親戚なんて法事とかでしか会った事無いし
なるほなぁ…
まぁ、それだけ殺そうとしてるってことは、急いでるって事だよな
早くお金が欲しいのか?
…ん゛……あ、!


ころんがぱっと顔を上げる。


なんか思いついたか?!
うん、えっとね…確か
会社が倒産した親戚がいた気がする…
それは、自分が持ってる会社が、か?
そう
成程…借金を返す為…



考え込んだその時、家のチャイムが鳴り響いた。



なんか頼んだ?
ん゛ー、えっと
あ、ご飯かも!夕飯!
どこで頼んだ?
Uber。牛丼頼んだよ



インターホンで外を確認する。



…よし、牛丼の袋持ってるな。



通話のボタンをオンにする。



はい、あ、置いといて貰ってもいいっすか?



『はい』と返事が来て外に置く様子が見える。



…ころん、俺が取りに行く間見張ってて
あいあいさ〜


玄関へ歩いて、置かれた牛丼を回収する。


よし、毒味してくる
こっち入ってくんなよー



そう言って俺は個室に入る。




部屋には、前ころんが‘’自分に似ている‘’と言ったカナリアが鳥籠の中にいた。




猫と犬がいるからこっちに隔離したんだっけ。




ピーピーと綺麗な声で鳴いている、真っ白なカナリア。




何となく檻の鍵を開けて、扉を開けた。




すぐに室内を自由に羽ばたく。










___綺麗だな。










…おっと、毒味だったよな。




キッチンから持ってきたペットボトルをコップに移して、前に置く。






よし、頂きます



食べ進める。



…ん、特に怪しいものは入ってないな。



部屋から立ち去ろうとすると、カナリアが肩に乗ってきた。



ん?お前お腹空いたんか?
じゃ、一緒に餌んとこ行くか



取り敢えずそのままは危ないから、小さな鳥籠に入れて部屋を出る。



ドアを開けた瞬間。







ふと、甘い香りがした。



…ころん、毒味終わったぞ
後なんか甘い物食べた?





なんか、アーモンドみたいな…



そんな香りがする。



なんだよ、そんなもの食べるなら先に言ってくれよ。




…ころん?


辺りを見渡す。



ソファーにもたれかかっている彼の姿が見えた。


…あ、毒味終わった?
えっと、ホントに申し訳ないんだけどさ、食べれそうにないかも
ちょっと頭が痛くて…
頭?頭痛薬いるか?
うん、欲しいかも
えーっと、何処あるの?薬
えっとね、キッチンの奥の____



ころんがそう言いかけた時。



バタバタと、何かが暴れる音が聞こえた。


え…?



聞こえるのは、俺の手元から。



手元にいるのは____




カナ、ちゃん?

カナちゃん!!




鳥籠の中で、バタバタともがき苦しんでいる。



慌てて檻の扉を開けるが、出てくる気配はない。



ただ、痙攣している。







なんで。急に…?



さっきまでは普通だったのに。









…?!



もしかして___?!








俺はぱっと自分の口を覆った。




空いた手で、ころんの口も抑える。






ころん、息すんな!!
すぐここ出るぞ!!!
は?!なんで…?!
タピちゃん抱えろ!
なるべく息は吸わすなよ!!!




俺は別室に駆け込んで猫達を抱える。



ころんが猫アレルギーだから隔離してたんよな。



本当に、隔離しててよかった。



…ッ!!



廊下を全力で走る。



ドアの鍵を開けて、外へ飛び出した。



ころんもすぐに駆けてくる。






勢いよく、扉を閉めた。




ねぇ…何、何が起こったの?!




…毒だ
多分、毒があの部屋に撒かれた
は…?
カナは?無事か?
え…?
____あっ?!



ころんが慌てて、抱えていた鳥籠を見る。



檻の中で、ピクリとも動かないカナリアの姿があった。











カナちゃん…
しん、じゃった…










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