あれから数日後。
すっかりこの家での生活にも慣れてしまい、今じゃ我が物顔で暮らしている。
家から出てないから変な事もないし、今の所落ち着いている。
だが、問題がひとつ発生した。
そう。
事務所にいけないから、歌を撮りたくても撮れない。
けど、撮りに行って殺されたら元の子も無い。
スマホを見ながら呻き声をあげるころん。
まぁ、命に比べたら安いんじゃない?とアドバイスすると速攻ポチっていた。
ちょろ、こいつ。
どうやって犯人にアプローチを取ろうか。
ころんを殺そうとした所を捕まえる?
____いや、これはころんにリスクがありすぎる。
…こっちで、調べるか?
ころんがぱっと顔を上げる。
考え込んだその時、家のチャイムが鳴り響いた。
インターホンで外を確認する。
…よし、牛丼の袋持ってるな。
通話のボタンをオンにする。
『はい』と返事が来て外に置く様子が見える。
玄関へ歩いて、置かれた牛丼を回収する。
そう言って俺は個室に入る。
部屋には、前ころんが‘’自分に似ている‘’と言ったカナリアが鳥籠の中にいた。
猫と犬がいるからこっちに隔離したんだっけ。
ピーピーと綺麗な声で鳴いている、真っ白なカナリア。
何となく檻の鍵を開けて、扉を開けた。
すぐに室内を自由に羽ばたく。
___綺麗だな。
…おっと、毒味だったよな。
キッチンから持ってきたペットボトルをコップに移して、前に置く。
食べ進める。
…ん、特に怪しいものは入ってないな。
部屋から立ち去ろうとすると、カナリアが肩に乗ってきた。
取り敢えずそのままは危ないから、小さな鳥籠に入れて部屋を出る。
ドアを開けた瞬間。
ふと、甘い香りがした。
なんか、アーモンドみたいな…
そんな香りがする。
なんだよ、そんなもの食べるなら先に言ってくれよ。
辺りを見渡す。
ソファーにもたれかかっている彼の姿が見えた。
ころんがそう言いかけた時。
バタバタと、何かが暴れる音が聞こえた。
聞こえるのは、俺の手元から。
手元にいるのは____
鳥籠の中で、バタバタともがき苦しんでいる。
慌てて檻の扉を開けるが、出てくる気配はない。
ただ、痙攣している。
なんで。急に…?
さっきまでは普通だったのに。
もしかして___?!
俺はぱっと自分の口を覆った。
空いた手で、ころんの口も抑える。
俺は別室に駆け込んで猫達を抱える。
ころんが猫アレルギーだから隔離してたんよな。
本当に、隔離しててよかった。
廊下を全力で走る。
ドアの鍵を開けて、外へ飛び出した。
ころんもすぐに駆けてくる。
勢いよく、扉を閉めた。
ころんが慌てて、抱えていた鳥籠を見る。
檻の中で、ピクリとも動かないカナリアの姿があった。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。