温斗が帰ってから、数日。
また、いつもの生活に戻った。
朝起きて、学校へ行って。
授業を受けて、友達と話して。
放課後になれば家に帰る。
変わらない毎日。
ただ、ひとつだけ変わったことがある。
スマホを開く回数が、少し増えた。
別に、温斗から連絡が来てないか
気になっているわけじゃない。
……たぶん。
『……来てない。』
スマホを伏せる。
すると、すぐに通知音が鳴った。
h『今何してる?』
『……。』
思わず笑ってしまう。
『今帰ってきたとこ。』
h『お疲れ。』
『そっちは?』
h『仕事終わって、今宿舎。』
『そっか。』
h『今日学校で何かあった?』
『特にないよ。』
h『つまんねーな。』
『そっちが聞いてきたんでしょ笑』
h『それはそう。』
そんなくだらないやり取りをしていると、
後ろから友達の声がした。
〈あなた、何笑ってるの?〉
『え?』
〈さっきからずっとスマホ見てない?〉
『……別に。』
〈また「別に」って言った笑〉
『ほんとに何でもないって。』
慌ててスマホを伏せる。
友達は少し不思議そうに私を見る。
〈最近、なんか機嫌よくない?〉
『そう?』
〈うん。前よりちょっと楽しそう。〉
『……気のせいだよ。』
そう答えたけど。
自分でも少し分かっていた。
温斗が帰ってきて。
LIVEにも行って。
また直接話せるようになって。
昔みたいな時間を過ごした。
それだけで、毎日が少しだけ明るく感じる。
夜。
ベッドに入ってから、温斗とのトーク画面を開く。
最後のメッセージ。
h『また帰るわ。』
その文字を見つめる。
『……待ってる。』
小さく呟く。
送ろうとして_
やめた。
代わりに画面を閉じる。
そのとき、通知が鳴った。
h『おやすみ』
『おやすみ。』
短い返信を送る。
画面を伏せて、布団に潜る。
まだ、何も変わっていない。
私は温斗の幼なじみ。
ハルトはTREASUREのメンバー。
日本と韓国。
それぞれ違う場所で、それぞれの生活をしている。
でも。
少しずつ。
離れていた時間が、また埋まっていくような気がした。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。