南雲Side
今回のお掃除のターゲット達が中にいるらしいビル。
10階建てくらいだろうか。
意外とせっかちなのかな?
なるほど?
さあ、次は4階に行こう。
ザシュッ、
動きに無駄がない。滑らか。
返り血に塗れた姿があまりにも妖艶で美しくて。
僕って大佛ちゃんのこと好きだったり…???
………それはない。
僕はずっと…。ずっと…。
…………あなただけを愛しているから。
もうあなたの〝死〟は思い出したくない。
少々、無理やり話題を出す。
いつもより比較的に長い任務を終わらせて、喜んでいたのも束の間。
異変が。
〝どこか、部屋〟?
任務が終わりビルから出たばかり。
部屋なんてあるはずがない。
急にしゃがみ込む㊙さん。
うずくまりながら顔を伏せる。
声のトーンが低くなっていく。
特徴的な大佛ちゃんのレースが消えていく。
黒い服がスーツへと変わっていく。
想定外の〝その時〟が来てしまったようだ。
あれ、この声…何処かで……。
忘れもしない。忘れるはずがない。
亡くなったはずの大好きな貴方の声。
そんな、まさか、ね。
何やら決心したらしい。
立ち上がり、僕の方を向く。
それは紛れもない
アナタで。
嬉しいはずなのに、信じられなくて。
それは、あまりにも突然の出来事だった。
聞き間違いじゃないようだ。
赤尾の行方不明から1週間も経たないうちの出来事だった。
坂本くんも僕も、必死で2人を探した。
後は、2人が死んでいないことを祈るしかできない。
一向に手がかりも何も掴めないまま、1ヶ月が過ぎた。
最悪の知らせが届く。
1ヶ月間、寝られていなくて。
僕の身体は大分疲れ切っていた。
嘘だ、信じたくない。
いやだ、誰か嘘だと言って、
そんなの………受け入れられない。
あなたがいない世界で生きている意味なんてあるのかな。
それから数年後、僕と坂本くんはORDERに入った。
仕事をこなしつつ、赤尾とあなたの死因を探していた。
2人は死んだ。死んだはずだ。
それなのに、何処かで生きてるんじゃないかと無駄な期待をしてしまう。
だって、僕は〝遺体〟を見てないから。
もし遺体をこの目で見ていたなら、きっと死を受け入れることができたんだろうけど。
あれ、なんでだろう。
〝好き〟って言葉が出てこない。
殺し屋の仕事をしている上で、ターゲットの周りの女性に〝偽りの愛〟を向けることはあった。
その時は簡単に、愛がない〝好き〟を言うことができたのに。
あれ。僕泣いてる。
あぁ、違う。あなたを責めたいんじゃない。
本当は心の底から嬉しいのに………
なんで僕って素直になれないのかなぁ……















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。