「ねっむ」
朝6時いつも通りの時間に起きて、いつも通りの言葉を発した。
昨日の木蓮はなんだか大きくなってるような気がした。
「成長するの早いな。」
そう思った。
「おはよ〜」
お母さんにそう言いながら階段をおりたが返事がなかった。不思議に思った私はお母さんを呼んだ。
「お母さーん?まだ寝てるのー?」
?「ここには誰もいない」
知らない声が聞こえた。部屋の電気がついていないからよく見えない。
「だ、誰なの?」
?「この世界には誰もいない。君はあの木蓮
の力で助かってここにいる。」
「誰なの。どういうこと。意味わかんない」
知らない人がいるという恐怖心とともに言っていることがわからなくて声が震えた。
?「この世界には誰もいない。さっき言った
ように。君の母親も友達も先生も何もか
も。この世界にいるのは君だけだ。」
「こっちの質問にちゃんと答えて。誰なのか
って聞いてんの。」
?「花の国からやってきた者だ。」
花の国?聞いたことないそんな国。
「私になんの用?誰もいないってなんで。あ
の木蓮の花が何か関係してるの?」
?「私の名はアヤメ。花の国の王、サクラ様
に仕える者だ。あの木蓮は我が国の希望。
我が国を救う人間界の者の前にのみ現れ
る。そなたの前に現れたということはそな
たが我が国の希望。木蓮と同等の存在とい
うことだ。君が来てくれれば、花の国も
この国も救われる。詳しいわけは後で話
す。どうか私についてきてはくれぬか。」
私が国の希望?木蓮と同等の存在って?
わからないことだらけだけど、一つだけはっきりしてることがある。
「私が行けば全部元どうりになるってことだ
よね?」
アヤメ「そういうことだ。頼む。」
なんか面白そうだし、
「わかった。ついて行く。」
私の平凡な日常に変化が訪れた瞬間だった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。