第39話

最初の1歩。夢への期待。〜レナ〜
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2024/03/24 00:03
昨日は久しぶりに本当の意味で満腹になった。
マジでユナありがとう。
本当にただの女神。
サバイバル生活を豊かにしてくれることだろう。

昨晩、リアさんがトンカツに対してだけ「美味しい」とこぼしたのは、本当にそう思ったのか、ユナに気を使ったのか、なんとなくだったのかは分からない。
ただ、とにかくユナはあの無感情モンスター(リアさん)に「美味しい」の一言を言わせたことで、なんとなく満足そうだった。

これは私たちが思ってる以上に大きなことなのかもしれない。

人形にとっては。

ユナは味覚があるって事だよね…なんで、リアさんにはなくてユナにはあるんだろう。
1度人間として、たしかに生きたからなのか。

ユナは甘い物が好きだった。

それは、嘘偽りない事実だと信じたい。

この世界で過ごして数ヶ月経ってる要な気がするけど、
正直、受け入れられてないところもある。
ユナは私を、私たちをここに連れてくるために、私と仲良くなった。
親友だと思ってくれてた?
最初から利用するつもりだった。
ずっと嘘つき。

顔が綺麗なのも。
頭がいいのも。
性格が素敵なのも。
私が憧れてたもの全部作り物で

はーしんどい。

きっと元の世界ではまた裏垢で呟いてただろうな。
お互い様?
今ではスマホもないし、
抱え込むだけ。
でもいいんだ。

スマホもなければ嫌なものもこの世界にはないんだから。

異世界で広大な自然の中で冒険って素敵だと思ってる。

現実世界全部投げさせて都合がいいとさえ思ってる。

周り合わせて作り笑顔。
昔から得意なんだよね、私。

手のひらのハートマーク少し…大きくなってる?
リア
そろそろ行くよー!!
レナ
はーい!!
レン
うぃー
朝食食べたし着替えたし、いつも通り魔法の特訓かな。

だいたい色々できるようになってきたと思うよ。
そろそろ山の外に出ても…



連れてこられたのは森の深く。
リア
ふんふふーん〜
陽気に鼻歌なんて歌っちゃて、何をするのか、若干の緊張…じゃなくて恐怖を感じていた瞬間。

パリンッッッ!!

真横から、ガラスが割れたような大きくて高い音。
それと同時に風が吹いて辺りの木が揺れる。
レナ
何…?
レン
!?
リア
結界を解いたよ。
リア
ここから先は…








リア
魔獣化け物の住処。




レン
まじかぁ…
レナ
いよいよだね…
レン
マジ無理マジ無理…
ユナ
そろそろメインの戦闘技術をつけてもらわなくちゃいけないから…これがこの山での最後の試練だよ。
ユナ
頑張ってね。
リア
はい!!そろそろおさらい!!
リアさんがどこから出したか分からないホワイトボードを引きずり、ペンを持ちどこからともなく出したメガネをクイッと動かす。
「ふふん」と得意げな姿は

顔が国宝級にいいから正直可愛い。
でもとっても怖い。
リア
魔獣とは、魔力を手にした動物のことだよね〜
リア
レナちゃん特徴答えて。
レナ
は、はい
レナ
実際の生物と比べ、
大きさが違ったり、
色が違ったり、
形が違ったり、
生態系が違ったりします。
リア
そう、中には普通の生物と似ている種類もいるからしっかり見分けないと命取りだよ。
リアさんは、ポニーテールを揺らしてくるりと振り向くとホワイトボードに光の速さで見分けるポイントをまとめた。
リア
次は…魔獣が暮らす環境、レンくん答えて〜
レン
え、あぁ…異形の植物が育っている…だったっか?
リア
うん。ここから先はそんなとこ。あとは少し酸素の割合が高いのも特徴。
そんなもん分かるかい!!と思いつつ、少しワクワクしている。
強くなれたと思うんだ。
頭も良くなった気がするんだ。

自分の実力を試したいというか、これはまさしく欲だ。
リア
最後に、魔獣は元はウイルスみたいなものなんだよ。
リア
太古昔、そのウイルスが生物を取り込んだ。
それが魔獣の始まり。
リア
そして長い時間をかけてウイルスに感染した生物は化け物へと姿を変えた。
リア
ちなみに、死体にウイルスが入り込んだものをゾンビとか、スケルトンとかをアンデットと呼ぶ。
リア
奴らに目的はなく、意思もなく、ただ人間を見つけると攻撃したり捕食しようとする。
リア
ただ例外は、知能の高い「人間」がウイルスに感染した場合。
リア
それは意志と感情を持つが人間とは確かに違う。
リア
それを「魔族」と呼ぶ。
リア
だいたいはそんな感じ!!
なるほど…と素直に感じた。
こういう生物の授業は元から好きだったな。
リア
まぁこの山に魔族はいないけど、普通にとっても強い魔獣たくさんいるから、生きて帰ろうね〜
レン
具体的に…どのくらい強いんすか?
リア
この世界の…Aランク冒険者が死亡するレベルかな〜
あっ…終わった________________
ユナ
リアがいるから大丈夫よ
だよ!!
地獄みたいな顔しないで、ね?
レナ
ユナぁ〜!!
おっと危ない意識を失いかけた。
ユナの言葉で確かに安心したような気がすっ
ユナ
手足の1本、2本なくなっちゃうかもだけど
レナ
ユナ!?
レン
あぁ……
うん。嫌だ行きたくない。
痛いの慣れたけどまだそこまでは無理なんですけど。
いや聞いてないよ?聞いてない。
私たちそんな困難に立ち向かえるかっこいい主人公とかではないんですよ。
一気に冷や汗が出てきた。
どうしよう止まらない。

レンなんて完全に目のハイライト失っちゃってるよ!!
ユナ
あー……私も着いて行くし!!
リア
それはダメ。
ユナ
え?
リア
ユナに傷一つでも付くとかマジ無理だから!!
ユナ
いや、そういう訳にも…
リア
とにかくまだ無理だから。
ユナ
じゃあ絶対に2人を、私が治せるところまでの負傷で抑えてね
リア
分かってるよ〜
ユナさんそこは治せるところまでの負傷はするという意味ですね?

ユナが起きてからずっと思うけど、リアさんのユナに対する接し方は異常な気がする。
ユナだってリアさんくらいに強いのに。
この前だって、魔法の特訓の相手になってくれた時の、ユナが出したゴーレムは私たちじゃ手も足も出ないほどに強かった。

過保護すぎると言うか…依存というかなんというか…
人形の思考方向はよく分からない。
ただリアさんにとってユナは、相当大きな存在なのだろう。
ユナ
待ってるから。
リア
じゃあ、2人とも行くよ!!
リア
張り切ってこ〜!!
レナ
おー…!!
レン
お…おぉう
まぁ熊にも勝てたし、な…何とか…

世界を救うなんて大義を掲げてる以上、これくらい頑張るしかない!!

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