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第1話

九ミリの弾丸
34
2026/02/16 15:15 更新
















ぷらぷら、ぷらり。


























ばたばたばた。

























足が空を切る


























冷たい雨が叩きつけるアスファルト






















足がつかない
































あなた
……っ、が……、あ、……ッ!!














喉。



そこ一点に、私の全体重がかかっている。



首を絞められてる



犯人は、目の前で私を見下ろす太宰治だ。



白手袋に包まれたその右手が、私の喉笛をつかんでいた。



気管がひしゃげていく。



酸素は一欠片も入ってこない。



肺が焼けるように熱い。



宙に浮いた足は、揺れるだけでどこにも届かない。












太宰治
お前のせいで……! お前のせいで、織田作は!!






太宰が、心底虫酸が走るというように目を細めて吐き捨てた。



いつも余裕綽々という顔が、今は憎悪に歪んでいる。






あなた
(この、死にぞこないっ!!!!!)







あなた
(お前の親友・・が死んだからって、関係ない私に八つ当たりしてんじゃねえよ! )











声が出ない代わりに、私は太宰の腕を必死に掴んだ。



指先から血が出るのも構わず、太宰の腕に爪を立て、肉を引きちぎろうと掻きむしる。










あなた
っ、ぐ、ぁ…っ!!







太宰は私を吊り上げたまま、一際強く喉を締め上げると、



そのまま地面へ叩きつけた。







あなた
げほっ、ご、……っ、……っ!!





あなた
ひゅーっ、ひゅー






泥水の中に叩きつけられ、肺が無理やり外気を吸い込む。



ひゅー、ひゅー、と激しく息を吸って



生理的な涙がぼろぼろと溢れて



喉が潰れ、もう指一本動かない



それでも私は、這いつくばりながら泥を掴んだ。



こんな理不尽に殺されて、たまるか。











───────視界の端に、黒い革靴が近づいてくる。











あなた
(来るな、来るなっ!!!!!)



あなた
(クソッ、クソ!!!!殺される!!!)



あなた
(……呪ってやる、があんなら、あんたのその余裕そうなツラを絶望でグチャグチャにしてやる……!!)










血走った眼で、死神を見上げる




死神が、懐から銃を取り出すのが見えた













あなた
(見下すな、見下すなっ!!!!)










こんな、こんな最期なんて!!!!!









この、私が!?ありえない、ありえない!!!!!!!









最期に見るのが、こんなクソ野郎なんぞ!!!!!








…………これは、「運命」なんて生温いものではないのかもしれない








もっと悪意に満ちた、誰かの手による「嫌がらせ」?








そうでなければ、私がこんな終わりのはずはないッ!!!!!!!!








あぁ、神よ!!!!








クソッタレの神よ!!








もし次があるなら……貴様という存在も!!!!運命も!!!!









この私が引きずり下ろして、殺してやる……ッ!!!








脳内だけで響く絶叫。








私が今まで築き上げてきたプライドも、地位も、すべてがここで終わる。









許さない。絶対に許さない









神を殺す、唯一の人間として歴史に刻まれるがいいわ……!!











あなた
…………クソッタレェェ!!!!!!






太宰治
…………さようなら










────ぱぁん!!














脳天をぶち抜かれる



脳が爆ぜ、視界が真っ白に塗りつぶされる。



痛い、という感覚すら一瞬で消え去った。



視覚が死に、聴覚が途絶え、最後には太宰への憎悪さえも溶けていく。



私の命は、その銃声一発で、あっけなく​───────













私は、死んだ

















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