第10話

ふわふわり、ぐしゃぐしゃ。
864
2018/04/13 11:45
ジン
はぁ…
最近ため息をつくことが多くなった気がする…。
なんでだろ?自分でもよく分からない。
ため息をつく原因…といえば

テオの事を考えている時…かな?
なんで?だってテオといても別に楽しくないわけないし、むしろ楽しくて仕方がないって言うのに。
このため息はなんだろう?それからこのモヤモヤ。
心の中に少しずつ溜まっているそのモヤモヤは、いつか破裂してしまいそうで怖い。
ジン
んー…あ!そうだ!
テオの家の本に書いてあるかも!?
我ながら名案だと考えた。

よし、今日は特製ハーブティーでも持っていこうか。
✌🐎🐇✌🐎🐇✌
テオ
お、来たのか
ジン
今日はね!知りたいことがあって…!
かくかくしかじか………
テオ
俺ん家の本にそんなもの載ってんのかな?
ジン
多分載ってるはず!
ジンは自信満々に頷く。
まぁ好きなだけ漁ってくれればいい。
テオ
…今日は泊まってく?
ジン
んー……うん!そうさせてもらう!
彼はそう言って、俺の目の前に特製ハーブティーを置いて、図書室へ入っていった。
テオ
毎回美味そうなの持ってくるよな…
俺はハーブティーをカップに注ぎながら読みかけの本を手に取り、読み始めた。
✌🐎🐇✌🐎🐇✌
ジン
んー…本ありすぎでしょ!!
俺の声は広い図書室に虚しく響く。
探し始めて4時間。
図書室の窓から射し込む光は夕日のオレンジ色に輝いていた。
本はまだまだ沢山ある…。

これ見つかるかな?
ジン
てかなんでこんな本が沢山あるの…?
よし、次は上の方探そ!
そう言って梯子に手を掛けた時だった。
ジン
ん?…うわぁっっ…!?!?
バサバサっと上から大量の本が落ちてきて、
俺の頭に直撃する。

その衝撃で梯子から手を離してしまい、床に転落した。
ジン
いった…たたたっ
頭と尻に強い衝撃が走って思わず涙が出てくる。
めっちゃ痛い…
その時、ふと落ちてきたとある本に目をやった。

その本のページにはこの世界に存在する
「感情」について記されていた。
ジン
…もしかして
俺はその本を急いで手に取り、パラパラとページをめくっていく。
ジン
あ、
ページをめくる手をピタリと止めて文を読んでみる。
【恋】
異性に愛情を寄せること、その心。恋愛。
異性に思いこがれる。思いしたうこと
その他にも。

話しているだけで幸せになる。
異性のことを考えるだけで胸が苦しくてため息が出る。
理由もなく涙が流れる。などがある。
ジン
恋…?
「恋」という言葉を聞いた時、俺の心にやけにストン…と落ちてきた。
ジン
そっか…そうなんだ。


俺、俺…テオが好きなんだ
この胸苦しいけどふわふわとした感情の正体は「恋」

俺はテオの事が好き。
もっと知りたい、話したい、触れたい…

考えれば考えるほどテオの事が欲しくなる。
ジン
テオ…これ、恋っていうんだね…
図書室で1人、そう呟いた。
✌🐎🐇✌🐎🐇✌
テオ
おーい…もうかなり時間経ったけど…
篭ってから中々出てこなくて…心配で見に来てしまった。
テオ
おーい?ジン?
図書室をぐるっと回ってみると、ジンが本を抱えたまま眠っていた。
テオ
ははっ…疲れて寝ちゃってんじゃん…
俺は図書室を出て、薄い掛け物を持ってきて、ジンの体に掛けてあげた。
テオ
おやすみ、ジン
俺はおやすみの挨拶の代わりに、静かにジンの額にキスを落とした。
……To be continued

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