最近ため息をつくことが多くなった気がする…。
なんでだろ?自分でもよく分からない。
ため息をつく原因…といえば
テオの事を考えている時…かな?
なんで?だってテオといても別に楽しくないわけないし、むしろ楽しくて仕方がないって言うのに。
このため息はなんだろう?それからこのモヤモヤ。
心の中に少しずつ溜まっているそのモヤモヤは、いつか破裂してしまいそうで怖い。
我ながら名案だと考えた。
よし、今日は特製ハーブティーでも持っていこうか。
✌🐎🐇✌🐎🐇✌
かくかくしかじか………
ジンは自信満々に頷く。
まぁ好きなだけ漁ってくれればいい。
彼はそう言って、俺の目の前に特製ハーブティーを置いて、図書室へ入っていった。
俺はハーブティーをカップに注ぎながら読みかけの本を手に取り、読み始めた。
✌🐎🐇✌🐎🐇✌
俺の声は広い図書室に虚しく響く。
探し始めて4時間。
図書室の窓から射し込む光は夕日のオレンジ色に輝いていた。
本はまだまだ沢山ある…。
これ見つかるかな?
そう言って梯子に手を掛けた時だった。
バサバサっと上から大量の本が落ちてきて、
俺の頭に直撃する。
その衝撃で梯子から手を離してしまい、床に転落した。
頭と尻に強い衝撃が走って思わず涙が出てくる。
めっちゃ痛い…
その時、ふと落ちてきたとある本に目をやった。
その本のページにはこの世界に存在する
「感情」について記されていた。
俺はその本を急いで手に取り、パラパラとページをめくっていく。
ページをめくる手をピタリと止めて文を読んでみる。
【恋】
異性に愛情を寄せること、その心。恋愛。
異性に思いこがれる。思いしたうこと
その他にも。
話しているだけで幸せになる。
異性のことを考えるだけで胸が苦しくてため息が出る。
理由もなく涙が流れる。などがある。
「恋」という言葉を聞いた時、俺の心にやけにストン…と落ちてきた。
この胸苦しいけどふわふわとした感情の正体は「恋」
俺はテオの事が好き。
もっと知りたい、話したい、触れたい…
考えれば考えるほどテオの事が欲しくなる。
図書室で1人、そう呟いた。
✌🐎🐇✌🐎🐇✌
篭ってから中々出てこなくて…心配で見に来てしまった。
図書室をぐるっと回ってみると、ジンが本を抱えたまま眠っていた。
俺は図書室を出て、薄い掛け物を持ってきて、ジンの体に掛けてあげた。
俺はおやすみの挨拶の代わりに、静かにジンの額にキスを落とした。
……To be continued
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。