第19話

18話 自律の時間
2,841
2020/05/26 11:44
俺が自律思考固定砲台の前に行って彼女を見る。

昨日とは打って変わって可愛らしい感じだ。

いつの間にか教室にはクラスメイトが揃っていた。
『庭の草木も緑が深くなっていますね!』
『春も終わり近づく初夏の香りがします!』
彼女が喋っている間に

初夏の雰囲気をイメージしたBGMが流れる...

眠りそうな音楽だ...。
不破 優月
不破 優月
たった一晩でえらくキュートになっちゃって...
前原 陽斗
前原 陽斗
これ...一応固定砲台だよな?
彼女がニコニコしながら会話を聞いている。
(なまえ)
あなた
クークー( ˘ω˘ ) スヤァ…
全員
全員
こいつ!立ったまま寝ている!?
(なまえ)
あなた
(^ω^≡^ω^)ンア"!?
皆の声を聞いて目が覚める。

相変わらず眠くなるBGMが静かに流れている。
寺坂
何騙されてんだよ。
全部あのタコが作ったプログラムだろ。
寺坂
愛想は良くても機会は機械。
どーせまた、他の迷惑考えずに射撃すんだろポンコツ。
寺坂の心のない言葉が教会に響く。

驚いたことに彼女の体()が動き寺坂の方へ向く。

そして、彼女は誰もが見とれるであろうヒロインのように涙を流す。
『...仰る気持ちは分かります。
昨日までの私はそうでした。
ポンコツ...そう言われて返す言葉が見つかりません。』
彼女が涙を見せると、周りの女子達が寺坂を責める。

そして、学級委員の片岡さんが言葉を発する。

ちなみに、俺は寺坂の渋い顔を横目にカルマ達のいる方へ向かう。

カルマ達は何も言わず俺を受け入れてくれる。
片岡  メグ
片岡 メグ
この子の呼び方決めない?
“自律思考固定砲台”っていくらなんでも...
そして、皆があだ名を考え始める。

俺はその微笑ましい光景を見ている。

殺せんせーは、機械すらも生徒にしてしまうのがすごい。

だが、彼女は寺坂の言う通り殺せんせーが作ったプログラム。

彼女自身の思考なんてないんだ。
不破 優月
不破 優月
自律思考固定砲台だから、1文字とって律なんてどう?
優月ちゃんが意見を出す。

皆がそれに賛成した。

ちなみに、俺が優月ちゃんと言っているのは彼女と趣味が合うからだ。

おれ!ジャンプすき!!(小並感)
『...嬉しいです!』
『では“律”とお呼びください!!』
渚
上手くやっていけそうだね。
んー。どーだろーね。
寺坂の言う通り殺せんせーのプログラムどうり動いているだけ。
あいつがこの先どうするかは、あいつを作った開発者が決めることだよ。
カルマと思っていたことはやはり同じだった。

彼女に意思がある訳では無い。

きっと、開発者はこの状況を許さないだろう。

俺が開発者ならば、殺人兵器を作ったのに改良されて一般人と同じになったら

嫌だろう。


というか...
(なまえ)
あなた
カルマ...。
喋るの久々だね!!w
渚
あなたくん!?
メタイよ!!!???
だって...
サボってたもん。
(なまえ)
あなた
キャラ崩壊しすぎw
メタイ話はさておき...。←

今日1日はそれで終わった。


ーー翌日(´つヮ⊂)ピョオオwwww←


悪夢は再びやってきた。

俺が予想していた通りだった。

彼女は教会に来た時とほぼ同じになっていた。
『おはようございます。皆さん。』
彼女には昨日とは打って変わって機械音だけがなっていた。

感情なんてものは無くただ

『プログラム』通りに動いていた。
全員
全員
(元に戻っちゃった...。)
烏間先生
「生徒に危害を加えない」という契約だが
「今後は改良行為も危害とみなす」と言ってきた。
寺坂がガムテープを取り出し『自律思考固定砲台』を睨む。

すると烏間先生が彼に近寄りガムテープを取り上げる。
烏間先生
君達もだ。
彼女を縛って壊れでもしたら賠償を請求するようだ。
烏間先生はため息をついてみんなに向けて言う。
烏間先生
開発者の意向だ。
従うしかない...
烏間先生も打つ手なしという顔をしていた。
殺せんせー
開発者おやよりも生徒の気持ちを尊重したいのですがねぇ。
殺せんせーは困った表情で数学の教科書を広げる。

そして、「彼女」は貼ってつけたような笑顔で言う。
『...攻撃を開始します。』
『どうぞ授業に入ってください。殺せんせー。』
授業が始まる。

俺は彼女をよく見た。

全員が全員「自律思考固定砲台」を見る。

退化したということは...

またあの一日中続く射撃が...。

「自律思考固定砲台」は横の扉を開けた。

その時誰もが思った。

「来る」と...。

俺も含めて皆が弾から身を守るように構えた。
そして、弾が降り注いだ。




はずだった...。

俺の横にはとっても綺麗な花束が...。

俺は何が起こったのか分からず彼女を見つめる。

もしかして...。
『花を作る約束をしていました。』
昨日、クラスの女子たちと話していた内容だ。
開発者マスターは殺せんせーの改良のほとんどを』
『暗殺に不要とみなし削除・撤去・初期化しました。』
『ですが、私個人はその改良を暗殺に不可欠とみなし』
『関連ソフトの隅に隠しました。』
殺せんせー
...素晴らしい!
つまり「律」さん。貴方は!
彼女の顔にはさっきまでの貼り付けではなく、

きっと「自分自身」の表情の笑顔で答える。
はい。
私の意思でマスターに逆らいました。
全員の顔が見事に絶望から安心に変わった瞬間だった。

こうして、E組の仲間が1人増えた。

これからはこの28人で殺せんせーを殺すんだ。




そして、俺は絶対に律にオセロで勝つ!!

殺せんせーの暗殺と並行して頑張らなくては!!

ふと、横を見るとカルマが興味無さそうにボーとしている。
(なまえ)
あなた
カルマ。
今度、仲良し組で遊び行こ。
突然話しかけられてびっくりしていたがすぐに笑顔に変わり、

俺の頭に手を乗せてワシャワシャとする。
おん。
(なまえ)
あなた
この照れ屋め〜!!
イタズラの心をくすぐられカルマを一日中いじり続けた。

終いには無視されたのでジュースを奢って事なきを得た。

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