鳳えむside
あたしは重い体を起こして辺りを見回す。
目の前には綺麗な笑顔の朝比奈先輩がいた。
先輩はニコッと笑ってあたしの顔を覗き込む。
そう言いながらあたしは光ってるモニターを見る。
その文を見た瞬間ヒュッと寒気があたしを襲った。
【2人のどちらかが自殺しろ】
険しい顔で朝比奈先輩が言う。
……こわいな、死にたくないよ……
あたしは言い当てられたことにびっくりして目を見開く。
少し寂しそうな笑顔で言ってきた。
あたしがそう聞くと貼り付けていた笑みがスッと消えた。
あたしはそれにびっくりして肩を揺らす。
あたしは俯いて、どうしようかと考える。
机の上にはナイフが置かれていた。
これで、か……
あたしが驚いている間に朝比奈先輩はナイフを手に取る。
あたしは朝比奈先輩の腕を掴む。
ピンと空気が張り詰める。
朝比奈先輩の顔からいつもの貼り付けたような笑みが消えて、
無表情であたしの顔を見ていた。
そうだ。これはゲームなんだ。
どちらかが死なないと終われない。
もう、司くんや寧々ちゃん、類くんに会えない……?
朝比奈先輩が気の毒そうな目でこちらを見ている。
あたしはその時なんでそんな目で見られているのかわからなかった。
頬に生暖かい感触。
あ……あたし、泣いてるんだ。
あたしはズビッと鼻をすすって朝比奈先輩に強く抱きついた。
目を見開いてあたしを見つめてくる。
あたしは覚悟を決めて、呆然と立っている朝比奈先輩からナイフを取る。
その言葉をあたしは笑顔で言って、
自分の心臓部分にナイフを刺した。
朝比奈先輩side
私は呆然と立ち尽くしたまま鳳さんの名前を連呼する。
……私が、生きてしまった。
天真爛漫で、優しい、鳳さんには生きててほしかった。
胸がぎゅっとなって、
視界が少しずつ滲んでいった。
【 勝者 : 朝比奈まふゆ 】
[ 第2ステージ : 宵崎奏 vs 朝比奈まふゆ ]













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!