望月穂波side
わたしはゆっくり体を起こしながら考える。
そうだ……、たしかセカイに来た時に連れてこられて……
隣で宵崎さんが眠っていた。
……ということは、、
わたし達、2人か……
ゆっくりと瞳が持ち上がる。
そのままむくりと体を起こした。
そう言いながら辺りを見回す。
モニターには、
【2人のどちらかが自殺しろ】
という冷たくこちらを突き放すような文字。
沈黙がわたし達を包み込む。
目の前の机には銃が一つ置かれていた。
スッと宵崎さんは立ち上がって銃を手に取ろうと手を伸ばす。
わたしはそれを慌てて押さえる。
宵崎さんの細い腕がピタリと動きを止める。
言葉では表せないような声色で言った。
宵崎さんの顔をわたしは見つめる。
……綺麗、と思った。
そう思ってしまう程、優しい顔をしていた。
わたしは少し考えてみる。
辛いこと、悲しいこと……全部考えてみた。
そうだ。
宵崎さん、家に1人で暮らしているから
絶対何かあるとは思ってたけど、、
やっぱり、何かあるんだろうな、
わたしは咄嗟に叫んでしまった。
ハッと気づいたように宵崎さんは目を見開く
なんでだろう、こんな、状況なのに……
すごい、温かい気持ちになってる。
お互いがお互いを想い合うってこんなに素敵なことなんだ。
だからこそ……宵崎さんには生きててほしい。
わたしは宵崎さんの腕を振り払う。
宵崎さんがその場に倒れ込む。
その隙にわたしは銃を手に取って自分の頭に突きつける。
やっぱり怖い……ッ、でも、それでも!!
宵崎さんには、生きててほしいから……!
わたしはニコッと笑って指に力を込める。
バンッ!!という音が空間に響く。
宵崎さんがずっと何かを叫んでいる。
世界がスローモーションみたいに見える。
あぁ……わたし死ぬんだ。
まだみんなと一緒にバンド、したかったな……
……一歌ちゃん達には、生きててほしいな、、
色んな想いが脳をぐるぐるしながら、わたしは重たい瞼を下ろした。
【 勝者 : 宵崎奏 】













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!