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第1話

1本目
133
2025/06/20 14:53 更新
センボンザクラ
ヨルニマギレ
キミノコエモ
トドカナイヨ
この丘で、貴方をずっとまっているよ。
男主:戸瀬倭(とせ やまと)
ずっと、待っている___
坂本勇人
なぁ、知っとる?
最近、東京郊外の丘に出るんやと。
山田哲人
えぇ?何言ってるんですか。
坂本勇人
いや!幽霊や。幽霊!
ある日の試合終わり、山田哲人と坂本勇人は久しぶりに飲みに行こうと、球場の入り口で待ち合わせをした。予定よりも早く集まった2人だったが、特に用事もないと、早速飲みにいくことにした。

車に向かって歩き始め、少しした頃。
突然坂本が言った。
山田哲人
幽霊なんてそんな笑
冗談でしょ。
坂本勇人
秋広が言っとったんよな、、、。
今度大城と行く予定やってん。
車に乗り込み、荷物も下ろしていざ出発というとき。

バンッ!!
山田哲人
うおっ!?
坂本勇人
なんや、何かぶつかったんか?
車の後ろから大きな音がした。
一旦車を降り、ドクドクと脈打つ心臓の音を無視し、車の後方に回ると、トランク取手近くに手形があるのが見つかった。
坂本勇人
なんや、、、周りに誰もおらんのに、、、。
予定よりも早かった、とは言えど、彼らが球場を出たのは10時ごろ。
飲み屋も開いている場所は限られてくる時間帯だ。
それに、出待ちするファンも今日は珍しく居なかった。何より、暗闇とはいえど彼らの車に近づいて、手形を残し、早々に去って行くのは難しいだろう。
山田哲人
この手形、、、子供のサイズですかね?
加え、車に残った手形は小さな子供としか思えないサイズ。彼ら野球選手の手、、、いや、一般的な成人男性と比べても小さすぎた。
坂本勇人
まさか幽霊の話したから、、、なんてな。
山田哲人
辞めてくださいよ笑
そんなわけ無いでしょ、ホントに、、、。
苦笑いをして運転席に戻ろうとしたその時。
バンッ!バンバンッ!!
坂本勇人
うわぁ!?
坂本勇人
なんや、マジでどうなっとん!
今度は運転席側から音が鳴った。
急いで駆け寄ったが、誰も居ない、そして今回は手形が多かった。
山田哲人
なんで、、、何の音も聞こえんかったのに。無茶苦茶や、、、。
まだ球場に人がいたからよかっただろう。
彼らには『戻る』という選択肢があった。
坂本勇人
一旦戻ろうや。これ以上ここおっても何もならん。
山田哲人
そうですね、、、。一回戻りましょう。
飲みに行くのは今度にしますか。
荷物を車に積んだまま、球場に戻った彼らは、残っていた選手達に駐車場での事を話した。





大城卓三
それホンマですか?
山崎伊織
流石に何も無い駐車場でってのは、、、考えづらいですよね。
村上宗隆
妄想じゃないっすか?
西川遥輝
有り得へんって笑
疲れてるんや。
ロッカールームに居た選手達は口を揃えて『嘘だ』と言ったが、余程の必死さだと思ったのか、それとも先輩だったからか、一度車を見ることにした。
山田哲人
こっちや。
同タイミングで出てきた本来敵対するはずの彼らは、駐車場に置かれた一台の車を見て戦慄した。
大城卓三
なに、、、これ、、、?
山崎伊織
そんな、、、!聞いた話じゃこんな数じゃ、、、!
驚くのも無理はないだろう。
なぜなら、、、。


















夥しい数の手形が、車に残されていたからだ。
一つや二つでは無い。
無数につけられた手形は、クッキリとその輪郭を残し、車に付いていた。
人がいる気配など一つもなく、静けさと寒さが残るだけの駐車場で、一体誰がこんな手形をつけられるだろうか。いや、つけられるはずがない。
山田哲人
ムネ、、、悪いんやけど、今日送ってってくれん?
真っ青な顔ををして、車の所有者である山田が頼んだ。村上は黙って頷くしか無かった。


青い顔をして帰ってきた彼らを見た選手達は、“ソレ”が実際にあったのだと察した。
見に行った彼ら以上に、状況を知る者はロッカールームには居ない。
それが明確な事実であったからであろう。
西川遥輝
ホンマに、、、あるとは思わんやん。
山田哲人
あんな数、、、付いてなかった。
血色が戻らないままに、帰り支度を再開させた彼らを見て、選手達は彼らを落ち着かせようとした。
中村悠平
ムネ。見ちゃったんでしょ?今日は送ってくよ。
村上宗隆
あ、、、でも哲人さんが。
中村悠平
ん、纏めて送ってく。
気が利くまとめ役のおかげで安心したのか、少し落ち着きを取り戻した。
無事に帰り支度を済ませた彼らは、全員で球場を出ることにし、ジャイアンツの面々とも話を付けて同時に球場を出た。
其々の球団で「送って行く」と言った選手が居たのか、反対方向に車がある者だけ歩みを進めて行った。
山田哲人
あの車、、、どうしよ。
村上宗隆
お祓い、行った方がいいんじゃ無いですかね。
そんな会話をするほどには、悍ましい光景だったのだろう、一瞬で唇の色が消えた。
中村悠平
ん、お待たせ。
乗っていいよ。
車を回して戻ってきた中村の言葉で顔をあげ、車に乗り込んだ山田は、自身の車がある駐車場に顔を向けて、また俯いた。
しかし、送ってくれる人間がいることに安心したのか、直ぐに顔をあげた。
西川遥輝
お疲れさん。哲人。
、、、気にすんなよ。
別の選手に送ってもらうのだろう西川は、優しさを含んだ声でそう言った。
山田哲人
、、、おう。
山田が短く返事を返したところで、車は発進した。
戸瀬倭
あれ。驚かせちゃったの?
ただ忘れ物がある事を知らせたかった、、、。
そっか。優しいね。
サクラが咲き乱れる此処は何処だろうか。
戸瀬倭
はは、怖がらせちゃったんだね。
でもダメだよ?勝手な事しちゃ。
戸瀬倭
言われてるデショ?ホタルビ先生に。
ヒトを無闇矢鱈に怖がらせるなって。
「ーーー。ーーーー!」
戸瀬倭
あぁ、そっかそっか。
ホタルビ先生に許可を貰ったんだね。
戸瀬倭
だけどダメ。
僕の大切なヒトなんだから。
戸瀬倭
さぁて、あと999日かな?


















堕ちておいで。サクラの元に。


『第一章 機械仕掛けの人形』

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