「きみは、ユメを抱いた」
寒くなってきましたね。我が家ではもうこたつを出しました。
・BL
・おぱKUN
・シェアハウス世界とは別です
・主神が人外
「惑星列車」の中。
空の世界に俺はまた一人。
他に乗っている人は少なく、ただゆらゆらと列車に身を委ねるだけ。
いつか、俺も人間になれたらいいな、と幻想を見る。
空は世界の果てまで広がる。
声は、唯一つだけ...
ふと、天井を見上げると、「次は天の川銀河」という文字が浮かんでいた。
次に瞬きをするとき。俺は外に放り出されていた。
眼の前で輝く星々は、形も何もなくて。
ただ輝いているだけだった。
ゆらゆら、と地上に向かう道を下っていく。彼は自分のことを待ってくれているのだろうか。
初めて、人と話したから、どうすればいいのか分からなかったけど。
...いや、他の精霊とは話しているか。と思い直し。空から落ちていく。
暖かい家の連なりが、また強く輝くと
次に目を開けた時、そこにはメガネをした青年がいた。
青年は...おぱいちは、「こんばんは」と俺に語りかける。
そうやって彼に言葉を返すと、彼は目線を落とす。
自分の返し方が気に食わなかったかな?と少し心配をする。
...が、
そうやって、少し大人びた綺麗な笑顔で、ふら、と俺の前に立った。
そういった仕草をすると、彼の手のホットミルクがゆらゆらと揺れる。
別に、ホットミルクをなんて言ったわけじゃないが...
と、思ったが、彼は俺がホットミルクを頼んだことに喜んでいるのか、家をぱたぱた歩き回っている。
これについては、話すのをやめよう...取り敢えず彼が普段何をしているのか聞いてみようと
歩き回っているおぱいちの手を、とった。
おぱいちは、呆れたような目をして俺のことを見る。
もう知っていて話しかけたと感じていたのだろうか。
おぱいちは、歩き回るのを一度止めた。
「はぁ___」と空気を吐き出すかのような声を出す。
おぱいちは、俺のことを超能力者だと思っているのか?
ん〜...とッどう説明すれば...
なんて独り言を繰り返すおぱいち。ついに決心がついたのか。俺の方に体を向けた。
...俺は普通の反応をしただけなんだがなんかおかしなことでもしてたか?
と、おぱいちが心配になる。
が、この反応が普通じゃないんだろう。
静かな島で過ごしている俺にとっては、新しい子が出てきたな、とちょっと感動するだけだった。
...いや、違うな。
俺は、このおぱいちって人に一目惚れをしたらしい。
いつもなら、少し留まるだけなのにここに2日も来ているのだから。
そういって、おぱいちはまたぱたぱたと周りを歩き始める。
不思議そうで、でもちょっと嬉しそうな表情で
...一つ気になったことがある。それが、なぜ俺に対してそんな歓迎してくれるのか。
本人に聞いたほうが早いだろう、とおぱいちに対して口を開いた。
また、動きを止める。
そして、棚から何かマグカップのようなものを取り出すと、机に丁寧に置いていった。
彼の家に、暖かな空気が広がる。
まるで、俺を狙う密猟者みたいだった。
...確かに俺を狙っているみたいだけど、まぁ、銃で襲っては来ないだろうし。彼らとは別だと思う。
そう答えると、おぱいちは「はぇ〜ッ」とちょっと間抜けな声を出して、
...当たり前のことを言ってきた。
月は、俺らよりも遥かに綺麗なのに。
そう言うと、おぱいちは鼻で笑う。
すると、彼はホットミルクを一口啜った。
どうやら彼は少し恥ずかしくなると飲み物を飲むらしい。
家は、また空気が暖かくなる。
「まだ、夜は終わらない。」おぱいちがそう呟いた気がした。
家の中では、俺のお気に入りの曲がオルゴールから流れていた。
その音楽が気に入ってるのだろうか。おぱいちはその曲を変えたりしなかった。
と、俺はオルゴールを持ってテーブルまで近づく。
よほどこの曲が気にってるのか?
...まぁ、多分俺のほうがこの曲好きなんだろうけど。
にこ、...とふんわりとした彼の笑みが溢れる。
オルゴールは、まだ俺の手の中で音楽を流している。
...「気に入ってるんですね」、とおぱいちは自分用のホットミルクを準備しに台所へ向かった。
俺は、「あち、あち」と言いながらホットミルクを飲み干した。
そう言うと、おぱいちは微笑しながらホットミルクを取りにいった。
と小さな声で聞こえてきた。
やっぱり、大人みたいだな。
と思いつつホットミルクをちびちび飲んだ。
朝の3時40分。
そろそろ俺も起きる時間だ、と重い体を無理やりにでも起こす。
と、隣で寝ているおぱいちのことを思い出した。
朝の四時くらいというと日がちょうど登り始める時期。
星の精霊である俺にとっては「朝日」が駄目なのだ。
もうちょっと、彼といたかったなと思うが...
とりあえずおぱいちの目の前にちょっとした手紙を置いておいた。
...さて、そろそろ目覚めるか
と自分の体よりも一回り大きいベッドから体を離す。
ふとオルゴールの音楽を聞くと、「MADE BY ME」が流れていた。地の精霊が、作った曲だと言う。
彼が歌っていたのもいいが、音楽でしか味わえないものもある。
ふと、おぱいちのことを思い出した。
ベッドから出ようとした時だった。
そうして、二人分の目玉焼きを用意している、おぱいちに羽を使ってこっそり近づく。
真っ白な目玉焼きを更に乗せているおぱいちに飛びついた。
たった少しのいたずら。
なのに、そんなに驚いてくれるとは...俺も嬉しい。なんっちゃって。
っと、そんなこと思ってる場合じゃないよな。
なんて思いながら、倒れているおぱいちに目を向ける。彼は少し時間を置くと何事もなかったかのように立ち上がって。
なんて言った。
ふらっと宙に浮いて、おぱいちの目の前のクッションに座る。
むぐむぐと俺はめだまやきを頬張った。
と、俺はおぱいちのめだまやきが目に入る。
そうだ!とめだまやきにまよね〜ずをかけて食べてみた。
まだ眠気が覚めなくて、目の前がふわふわする。
そろそろ空に引っ張られそうで...
ふと、時間を見る。そこには「3時50分」と針が示していた。
ゆらゆら、と立ち上がり、おぱいちが用意してくれたのだろうホットミルク入りの水筒を持って窓を開ける。
おぱいちの部屋に、朝の涼しい風が入ってきた。
空では、月の精霊の命の灯が光っている。
おぱいちと俺の間で沈黙が波のように流れる。
あと1分で今日の猶予がなくなると思うと、...
そう思うと、少し寂しくなった。
そう言う彼に、驚きを隠せない。
昨日までは、白々しかったのに。デレてくれるんだ...
ホットミルクを持ちながら立つ彼の服は、クリーム色の服だった。
俺が消える前に。
ぱいちが世界に囚われる前に。
この思いを、伝えなきゃ。
...
その、一言を聞いて今日の俺は空に還っていった。
雲に吸い取られている時、ふと思った。
ぱいちって、大人っぽいんだよなぁ...なんて。...結構長寿な俺さえもそう思うんだもん、な...w
暖かい家の中____
と、人間が白い息を吐く。
彼が入った部屋にあったのは、大きなパソコンのモニター。
そこの画面には、とある会話が写っていた。
画面の中から声が聞こえてくる。その声は、どこかで聞き覚えのある。
そんな特徴的な声だった。
隣からもう一つの声が聞こえてくる。
...こいつらさぁ...w
とおぱいちは深いため息をつく。
しかし、彼らが会話を弾ませてくれているのなら、と止めるのをやめた。
そう言って画面の中のアバターが話を切り出す。
こいつ話しそらしやがったw、と彼らはまた笑い出した。
俺等にもちゃんとした名前があるのに〜、と。
話を振られたことに喜んだのか。これまた上機嫌で。
...なんてどこからその文字列を生み出したのか、なんとも奇天烈な名前がそこにはすでにあった。
何だよそりゃッ!!www
と、彼らは少し野太い声で笑う。
そろそろ仕事の時間だと、ひまじんとDDはグループからそれぞれ抜けていった。
...
は〜、さむ。と独り言を言う。
喋る相手がいなくなった途端に、もっと寒くなる。
一人なので尚更だ。
ぶわっと少しでも暖かくなるように、布団を敷く。
しかしあまり暖まらない。
ふと、彼が言った最後の言葉を思い出す。
俺よりも好きの限度が違う...つまりお前よりも上ってことだ。
たしかに、あなたは友情の好きなのだろうが...こっちの好きは全くの別物だ。
自分を...社会の片隅にいる"俺"を見つけてくれた、救世主がいたのだ。
明日もホットミルクを用意しておこうと俺は鼻を鳴らした。
空では、太陽が登っている。
今では、空の上は「夜」なのかな。
そう言って、少し背伸びをして自室へと戻った。
夜。
昨日KUNと約束した10分前。
つい仕事に熱中しすぎてしまった。と反省をしながら部屋から出る。
「時間は大切に!」なんて過去の俺がメモしてるけど今はゆっくりしてられない。
そうして、俺はホットミルクの準備をし始めるのであった。
いつも長いですね、すいません。
まぁ、こちら長編ですので...
今回の物語はいかがでしたか?良かったですかね?
前回のと読み比べてください。なぜ2つ目にこんなに時間かけてるのかわかると思います。
あとでまたリクエスト箱作りますね。