第5話

星の輝く、とある夜に 2
327
2024/06/09 00:25
「きみは、ユメを抱いた」
寒くなってきましたね。我が家ではもうこたつを出しました。

・BL

・おぱKUN

・シェアハウス世界とは別です

・主神が人外
「惑星列車」の中。
空の世界に俺はまた一人。
KUN
...
他に乗っている人は少なく、ただゆらゆらと列車に身を委ねるだけ。
いつか、俺も人間になれたらいいな、と幻想を見る。
空は世界の果てまで広がる。
声は、唯一つだけ...
ふと、天井を見上げると、「次は天の川銀河」という文字が浮かんでいた。
次に瞬きをするとき。俺は外に放り出されていた。
KUN
あッ。もう終点か
眼の前で輝く星々は、形も何もなくて。
ただ輝いているだけだった。
ゆらゆら、と地上に向かう道を下っていく。彼は自分のことを待ってくれているのだろうか。
初めて、人と話したから、どうすればいいのか分からなかったけど。
...いや、他の精霊とは話しているか。と思い直し。空から落ちていく。
KUN
...よし、ここか。
暖かい家の連なりが、また強く輝くと
次に目を開けた時、そこにはメガネをした青年がいた。
青年は...おぱいちは、「こんばんは」と俺に語りかける。
KUN
こんばんは。昨日ぶりだね!
そうやって彼に言葉を返すと、彼は目線を落とす。
自分の返し方が気に食わなかったかな?と少し心配をする。
...が、
おぱいち
ははwまたあえて嬉しいっすよ
そうやって、少し大人びた綺麗な笑顔で、ふら、と俺の前に立った。
そういった仕草をすると、彼の手のホットミルクがゆらゆらと揺れる。
KUN
家、入っていい?
おぱいち
ええ、いいですよ。ホットミルク用意しときますね。
別に、ホットミルクをなんて言ったわけじゃないが...
と、思ったが、彼は俺がホットミルクを頼んだことに喜んでいるのか、家をぱたぱた歩き回っている。

これについては、話すのをやめよう...取り敢えず彼が普段何をしているのか聞いてみようと
歩き回っているおぱいちの手を、とった。
KUN
ねぇ、おぱいちって普段何してるの?
おぱいちは、呆れたような目をして俺のことを見る。
もう知っていて話しかけたと感じていたのだろうか。
おぱいちは、歩き回るのを一度止めた。
おぱいち
言ってませんでしたっけ...?
KUN
うん。
「はぁ___」と空気を吐き出すかのような声を出す。
おぱいちは、俺のことを超能力者だと思っているのか?
ん〜...とッどう説明すれば...
なんて独り言を繰り返すおぱいち。ついに決心がついたのか。俺の方に体を向けた。
おぱいち
ん、っとな。...俺、精霊のことを調べるUUMA研究員?みたいなもので...
KUN
へー!そうなんだ!!
おぱいち
えッ?!
...俺は普通の反応をしただけなんだがなんかおかしなことでもしてたか?
と、おぱいちが心配になる。
が、この反応が普通じゃないんだろう。
静かな島で過ごしている俺にとっては、新しい子が出てきたな、とちょっと感動するだけだった。

...いや、違うな。
俺は、このおぱいちって人に一目惚れをしたらしい。
いつもなら、少し留まるだけなのにここに2日も来ているのだから。
おぱいち
そんなに珍しくないのか...?
そういって、おぱいちはまたぱたぱたと周りを歩き始める。
不思議そうで、でもちょっと嬉しそうな表情で
...一つ気になったことがある。それが、なぜ俺に対してそんな歓迎してくれるのか。
本人に聞いたほうが早いだろう、とおぱいちに対して口を開いた。
KUN
ねぇ、なんで俺を歓迎してくれるの?
おぱいち
はい?
また、動きを止める。
そして、棚から何かマグカップのようなものを取り出すと、机に丁寧に置いていった。
彼の家に、暖かな空気が広がる。
おぱいち
えーッと、あなたが、綺麗だからですかね。あと、精霊だから。
KUN
...へぇ〜
まるで、俺を狙う密猟者みたいだった。
...確かに俺を狙っているみたいだけど、まぁ、銃で襲っては来ないだろうし。彼らとは別だと思う。
おぱいち
すいません、空って綺麗ですか?昨日、聞きそびれて。
KUN
んっとね。綺麗だよ!すごい!
そう答えると、おぱいちは「はぇ〜ッ」とちょっと間抜けな声を出して、
おぱいち
じゃあ、月も綺麗なんですね。
...当たり前のことを言ってきた。
月は、俺らよりも遥かに綺麗なのに。
KUN
月は、当たり前に綺麗だよ。
おぱいち
...wそうですね、
そう言うと、おぱいちは鼻で笑う。
すると、彼はホットミルクを一口啜った。
どうやら彼は少し恥ずかしくなると飲み物を飲むらしい。
おぱいち
...へへ///
家は、また空気が暖かくなる。
「まだ、夜は終わらない。」おぱいちがそう呟いた気がした。
おぱいち
...ホットミルク、おかわりいります?
KUN
あ、いいの?
家の中では、俺のお気に入りの曲がオルゴールから流れていた。
その音楽が気に入ってるのだろうか。おぱいちはその曲を変えたりしなかった。
おぱいち
KUNさん、おかわりです。
KUN
あ、ありがとう。
と、俺はオルゴールを持ってテーブルまで近づく。
よほどこの曲が気にってるのか?
...まぁ、多分俺のほうがこの曲好きなんだろうけど。
KUN
...やっぱり、美味しい。
おぱいち
良かったです。
にこ、...とふんわりとした彼の笑みが溢れる。
おぱいち
音楽、変えますか?
KUN
ううん。だいじょーぶ。ずっと変えなくてもいいよw
オルゴールは、まだ俺の手の中で音楽を流している。
...「気に入ってるんですね」、とおぱいちは自分用のホットミルクを準備しに台所へ向かった。
俺は、「あち、あち」と言いながらホットミルクを飲み干した。
おぱいち
...wやっぱり猫舌なんですね。
KUN
ね、ほんとなんで空に暖かいものがないんだろう。
おぱいち
ふふwいっぱい飲んでくださいね。
そう言うと、おぱいちは微笑しながらホットミルクを取りにいった。
おぱいち
かわいいな
と小さな声で聞こえてきた。
やっぱり、大人みたいだな。
と思いつつホットミルクをちびちび飲んだ。

朝の3時40分。
そろそろ俺も起きる時間だ、と重い体を無理やりにでも起こす。
と、隣で寝ているおぱいちのことを思い出した。
おぱいち
「あぁ、そういえば朝の四時くらいになるといなくなるんですよね。ミルク置いておきます」
朝の四時くらいというと日がちょうど登り始める時期。
星の精霊である俺にとっては「朝日」が駄目なのだ。
もうちょっと、彼といたかったなと思うが...
とりあえずおぱいちの目の前にちょっとした手紙を置いておいた。
...さて、そろそろ目覚めるか
と自分の体よりも一回り大きいベッドから体を離す。
ふとオルゴールの音楽を聞くと、「MADE BY ME」が流れていた。地の精霊が、作った曲だと言う。
KUN
これ、好きなんだよな〜。
彼が歌っていたのもいいが、音楽でしか味わえないものもある。
ふと、おぱいちのことを思い出した。
ベッドから出ようとした時だった。
KUN
そういえば、ご飯...なんか用意してくれるって言ってたな。
KUN
...そうだ!
そうして、二人分の目玉焼きを用意している、おぱいちに羽を使ってこっそり近づく。
真っ白な目玉焼きを更に乗せているおぱいちに飛びついた。
おぱいち
うわぁッッ!
たった少しのいたずら。
なのに、そんなに驚いてくれるとは...俺も嬉しい。なんっちゃって。
っと、そんなこと思ってる場合じゃないよな。
なんて思いながら、倒れているおぱいちに目を向ける。彼は少し時間を置くと何事もなかったかのように立ち上がって。
おぱいち
も〜、やめてくださいよ...
KUN
www
なんて言った。
ふらっと宙に浮いて、おぱいちの目の前のクッションに座る。
むぐむぐと俺はめだまやきを頬張った。
KUN
おぱいちのめだまやき美味しいね。
おぱいち
でしょ?w
KUN
んふふw
と、俺はおぱいちのめだまやきが目に入る。
そうだ!とめだまやきにまよね〜ずをかけて食べてみた。
おぱいち
あ、ちょちょ、またかけ過ぎですよ?!
KUN
えッ!?あ、ホントだ...
まだ眠気が覚めなくて、目の前がふわふわする。
そろそろ空に引っ張られそうで...
ふと、時間を見る。そこには「3時50分」と針が示していた。
おぱいち
あ、KUNさん。時間です。
KUN
ぅん...しってる。
ゆらゆら、と立ち上がり、おぱいちが用意してくれたのだろうホットミルク入りの水筒を持って窓を開ける。
おぱいちの部屋に、朝の涼しい風が入ってきた。
空では、月の精霊の命の灯が光っている。
KUN
...おぱいち、好きだよ。
おぱいち
俺もっす。
おぱいちと俺の間で沈黙が波のように流れる。
あと1分で今日の猶予がなくなると思うと、...
そう思うと、少し寂しくなった。
おぱいち
...KUNさん、
KUN
なぁに?
おぱいち
また会いに来てくださいね...?
そう言う彼に、驚きを隠せない。
昨日までは、白々しかったのに。デレてくれるんだ...
ホットミルクを持ちながら立つ彼の服は、クリーム色の服だった。
俺が消える前に。
KUN
うん!
ぱいちが世界に囚われる前に。
おぱいち
約束、ですよ...
この思いを、伝えなきゃ。
KUN
ぱいちの俺に対しての「すき」より、俺の方が強いから!!
...
おぱいち
そうですねw
その、一言を聞いて今日の俺は空に還っていった。
雲に吸い取られている時、ふと思った。
ぱいちって、大人っぽいんだよなぁ...なんて。...結構長寿な俺さえもそう思うんだもん、な...w
暖かい家の中____
おぱいち
は〜ッ、さむ...
と、人間が白い息を吐く。
彼が入った部屋にあったのは、大きなパソコンのモニター。
そこの画面には、とある会話が写っていた。
???
「...で、やっぱりその子美人なん?w」
おぱいち
美人だよ。すっごくね。
画面の中から声が聞こえてくる。その声は、どこかで聞き覚えのある。
そんな特徴的な声だった。
隣からもう一つの声が聞こえてくる。
???
「いや〜、彼女持ちはいいね〜」
???
「俺も彼女、ほしいわ〜(笑)」
おぱいち
俺のことバカにしてね?
...こいつらさぁ...w
とおぱいちは深いため息をつく。
しかし、彼らが会話を弾ませてくれているのなら、と止めるのをやめた。
???
「あ、そういやさ。」
???
「なんや?」
そう言って画面の中のアバターが話を切り出す。
???
「俺らの名前って、どう言ってるの?」
おぱいち
あー、ね。
こいつ話しそらしやがったw、と彼らはまた笑い出した。
俺等にもちゃんとした名前があるのに〜、と。
おぱいち
...じゃあ教えてくれない?
話を振られたことに喜んだのか。これまた上機嫌で。
ひまじん
「俺がひまじんや!」
DD
「で、俺がDD。」
...なんてどこからその文字列を生み出したのか、なんとも奇天烈な名前がそこにはすでにあった。
おぱいち
...なんでその名前にしたの...?w
ひまじん
「ん〜?俺は暇人だからやな。」
DD
「俺は、てきと〜www」
何だよそりゃッ!!www
と、彼らは少し野太い声で笑う。
ひまじん
「ま〜、それはそれとして。」
ひまじん
「またそのKUNさんって人の話聞かせてな」
DD
「あ、俺もそろそろ仕事じゃ〜ん。じゃあまた!」
そろそろ仕事の時間だと、ひまじんとDDはグループからそれぞれ抜けていった。
...
は〜、さむ。と独り言を言う。
おぱいち
全く、秋は何処にやら... 
喋る相手がいなくなった途端に、もっと寒くなる。
一人なので尚更だ。
ぶわっと少しでも暖かくなるように、布団を敷く。
しかしあまり暖まらない。
おぱいち
は〜〜〜ッ_____
おぱいち
また明日...ね。
ふと、彼が言った最後の言葉を思い出す。
俺よりも好きの限度が違う...つまりお前よりも上ってことだ。
たしかに、あなたは友情の好きなのだろうが...こっちの好きは全くの別物だ。
自分を...社会の片隅にいる"俺"を見つけてくれた、救世主がいたのだ。
おぱいち
...ふッ
明日もホットミルクを用意しておこうと俺は鼻を鳴らした。
空では、太陽が登っている。
今では、空の上は「夜」なのかな。
おぱいち
さて、仕事しますか。
そう言って、少し背伸びをして自室へと戻った。
夜。
おぱいち
あ、ホットミルク作るの忘れてた。
昨日KUNと約束した10分前。
つい仕事に熱中しすぎてしまった。と反省をしながら部屋から出る。
「時間は大切に!」なんて過去の俺がメモしてるけど今はゆっくりしてられない。
おぱいち
材料は、これでいいかな。
そうして、俺はホットミルクの準備をし始めるのであった。
いつも長いですね、すいません。
まぁ、こちら長編ですので...

今回の物語はいかがでしたか?良かったですかね?
前回のと読み比べてください。なぜ2つ目にこんなに時間かけてるのかわかると思います。
あとでまたリクエスト箱作りますね。

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