その後、スンミナはコーヒーを飲んだら自分の宿舎に帰った
ハニはというと、まだ寝ていたらしく今頃起きてきた
ハニに聞いてみても家に来た理由やどうやって入ったのかは分からなかったけれど、まぁあのスンミナの事だしと丸く収めることにした
こうでも思っていないと自分が何をしでかすか分からなくて
また、前みたいになってしまいそうで怖くて
ハニと他愛もない話をしたかったんだけど、俺が下手くそだったみたい
相談なんてしたら、俺が未だにそう思ってますって言ってるようなものになってしまう
俺はそんな甘ったるい覚悟をしたんじゃない
我ながらいい弟を持ったなと誇らしく感じる
けれど、ずっと前に自分の中で決めた決意はそうそう許してくれなくて
弟達を頼るということを受け入れられていないことは間違いなかった
俺自身も皆を信用していない訳では無い
けれど、一回心の蓋を開けてしまったら今まで我慢していた事が全てポロリと出てきてしまいそうで
決意が歪みそうで、あいつの温かさを、愛おしさを、全てを思い出してしまいそうで
それを思い出してしまったら辛いのは自分だと分かっているから怖くて
出来ないんだ
それを許せないのは紛れもなく、俺自身だから
さっきまで少し暗い気持ちだったのにハニのおかげで気分が軽くなった
そういうところがハニの良いところなんだよな
「大好きで頼れるヒョン」
それが、今の俺を救ってくれる言葉なんて思っても見なかった
大好きな大切だったヒョンがメンバーじゃなくなって
まだデビューして時間が経ってなかったから、皆どうすればいいか分からなかった
俺だって、辛かったし、苦しかった
でも、俺より長く一緒に居た他のメンバーは俺よりも、もっと辛いと思うから
俺が弱音を吐いてしまったら、皆も崩れていってしまいそうなくらい脆くて弱い事が見て分かってたから
皆の前で明るくいようと誓った
俺は頼れるヒョンになるんだ
皆が弱音を吐ける場所になるんだって
涙を拭く側になるんだって、そう決めた
だから、俺が弱音なんて吐いてちゃいけない
そう思うことにした
それがあの頃の俺には最善策で、そうでも思って熱中してないと今にも自分が崩れてしまう気がしたから
でもハニは、弱音を吐くような弱い俺でも大好きだと言ってくれた
俺も皆と同じ、脆くて弱いことを認めていいんだと思わせてくれた
なら、いいのかな
俺は、……………おれは…
ゆっくり近づいて、背中を撫でてくれるハニ
ゆっくり顔を上げれば、今まで見てきたような、人懐こい癒されるような顔ではなかった
大人になって、少しシャープになった顔
側に居ると安心する優しい顔
そのままハニの目を見つめながらボロボロ零れてくる涙
止めたいのに止められなくて、拭っても拭っても溢れてくる
俺はそんなに弱っていたのだと今になって気づいた
今、この時だけは大泣きしよう
そう思った
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。