聖哉side
ダンス大会は成功した
まるで、本当にあの時に戻ったような気分で、俺は涙を抑えるのに必死でろくなコメントを話すことが出来なかった
ダンスを終えた拓也は早々にスタッフ職に戻ってしまって、ろくにありがとうも言えなかった
3人の反応に、違和感を覚えた
3人だけじゃない
他のメンバーもどこか違う世界に行ってしまったみたいに、虚ろな目をしていた
けど、このあとすぐに結果発表しますなんて言われて、俺は急いで持ち場に着いた
そんなこんなで、収録も終わった
終わってすぐに、俺は拓也に声をかけた
何とかして拓也を誘うことに成功
そして俺は急いでメンバーの元へ向かう
相変わらずみんな心ここに在らずな感じで、少し不気味だと思ってしまった
勇馬は黙って俺の顔を見てくる
そう言って、勇馬は俺の元から離れていった
勇馬の言ったことが理解出来ない
なんで、勇馬はあんなこと…
『この世界をどう思う?』
『俺達はお前を待ってるよ』
仕事終わりの拓也は、ダンスを披露した時の髪型のままだった
俺の知っている、拓也の姿
そう言って拓也は俺の顔を心配そうに見てくる
違う
違うよ拓也
そう言って、俺たちは有名な夜景スポットの所に来た
平日で時間も時間だから、人は全然いなかった
俺の言葉に、拓也は驚いていた
当たり前だろう、なんせ俺は告白みたいなことを言ったのだから
そして俺は拓也の手を握る
拓也の手は、少し冷たかった
拓也を抱きしめる
______けど、抱きしめられなかった
俺は夜とは程遠い、真っ白い天井が視界を埋めつくしていた
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ
独特な消毒の匂いに、機械音
そして手元には______
どうやら俺は、俺が本来いるべき____本当の世界に戻ってきたようだった


















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。