奏side
遠距離恋愛をしていた彼氏から別れを告げられた。
彼氏とはネットで知り合った。
名前は俊
俊介は東北に住んでいて、俺は四国に住んでいた。
俊は大学1年生で、俺は高校1年生だった。
金銭的にデートの約束をすることは難しかった。
アルバイトが校則で禁止されてたため、到底俺のお小遣いでは交通費すら確保出来なかった。
少しでも俊に近づきたくて、東北にある大学に通いたいと両親に言ったが、当然反対された。
結局四国の大学を受験する事になった。
そんなときに俊から「別れよう」とLINEがきた。
電話をかけて理由をきいた
俊は言った
「好きだけじゃ恋愛は続けられないよ」
俺は聞いた
「恋愛って好きだけで充分じゃないの?」
恋愛経験が大してない俺には、好きなのに別れなければならない理由がわからなかった。
いや嘘だ。
本当は俊が別れたくなる理由もわかっていたけど、そんなに俺たちの関係は脆かったのかと悲しくなった。
認めたくなかった。
運命の人だと信じていたかった。
「ごめん」
「俺がネットで出会った男だから?」
涙が溢れてきた。
「え?」
「俺がずっとずっと遠くに住んでるから?」
俊は黙っている。
「俺が大学になるまで待っててよ。大学になったら沢山バイトして俺がそっち行くから。大学卒業したら引っ越すから。だから。絶対…不安にさせないから」
涙が溢れて止まらなくなった。
俊は長い長い沈黙の後言った。
「好きな人出来た。だから。ごめん」
「え、どういうこと?」
「ごめん」
「同じ大学の人?」
「うん」
「女の子?」
「うん、」
「可愛い人?」
「うん」
「優しい人?」
「うん」
頭では分かっている。
もう何を言っても意味がないことは、わかっている。
それでもそんな簡単に、気持ちは割り切れなかった。
確かに俺たちは遠い距離にいた。
それでも心の距離だけはずっとずっと近くにあったはずだった。
隣に感じてた。
そう思っていたのは俺だけだったの?
沈黙の後、俊は再び言った。
「ごめん」
俺から何を言われようとも謝罪に徹しようとしているようだ。
その姿勢から、もう本当に終わりなのだと悟った。
「最後に一言だけ」
「うん」
「俺の事好きだった?」
「うん」
うん、じゃなくてさ。
欲張りは言わないから一言だけでいいからちょうだいよ
「そうじゃなくてさ」
たった一言、言ってよ
「ごめん」
俺が欲しいのは、その言葉じゃない
「わかったよ。もういいよ。切るよ。わかったから。好きな人と付き合えるといいね」
「うん、ありがと、ごめん」
電話を切った瞬間、堰が切れたように涙が溢れ出した
声をあげて泣いた。
とても耐えられる自信がない。
「今までありがとう」
最後に送ったメッセージには既読すらつかない。
もしかしたらブロックされてるのかもしれない。
スタンプ機能で確認したら、やっぱりブロックされてた
本当に終わったんだ。
俺たち。
こんなに呆気無いんだ。
昨日まで1番近くて遠かった人と、取り返しのつかない距離まで離れてしまった。
俺たちはどうしたらずっと一緒にいられたんだろう。
俺はどこで何を間違えたんだろう。
生まれてくる場所?
それとももっと早く生まれるべきだったのかな。
俺がもっとかっこよかったら良かったのかな。
俺、失恋したんだ。
失恋ってこんなきついんだ。
知らなかったな












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。