園に足を踏み入れ、扉の前に立った時…私は独り言のように小さい声だったけれど…感謝を口にした…
そういうと、柚音が扉を開ける…
真っ先に私に声をかけてくれたのはロゼだった…
ほんのり薔薇の香りを漂わせながら深紅の髪を揺らして軽く頭を下げる…美しい立ち振舞いが目に留まる…
3人が嬉しそうに手を振ってこちらに駆け寄ってくる…
3人とも元気そうで良かった…
いつも視線の圧が強い2人が居ないからか…なんだか違和感を感じる…。どうしたのだろう、と周囲を軽く見渡してみる…
軽く首を傾げるようにして私に確認するロゼ…。
それは、何から何までを分かりきったような顔をしている…
私は…少し気になっていたことがある…
ロゼが少し焦っているように見えることだ…人差し指で机の上を軽くトントン…と叩くその姿は何かを待っているような…いつもの落ち着きが感じられない…
彼女のモノクルの反射であまり見えなかったが…一瞬だけ彼女の目が見開かれたような気がした…気の所為だろうか…
でも…
そんな気の所為を放っておくのは駄目な気がした…
少しだけ踏み入った質問をしようとした時…
トントン…
来訪者によるノックで…この会話は打ち切られることになったのだった…


















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!