帰って、今日買ってきた絵本を
ソファに座って読んでみる。
すると、思っていたよりも
内容が重く、切なかった。
主人公の少女が幼い頃、よく
一緒に遊んでいた猫がいた。
その猫が、ある日突然姿を消す。
そして少女は泣いた。
今後一切目の前に現れないと思ったのだ。
そしてたくさんの月日が流れ、
あっという間にその少女が二十歳になった、誕生日の日。
その日に突然、女性の目の前に幼い頃
一緒に遊んだ猫が現れたのだ。
そしてそれを見た女性は
たくさん涙を流した。
「もう会えないかと思った。」
そんな言葉を何度も繰り返しては
猫に抱きつき泣いた。
そして次の日、もうすでに社会人の
女性は家を出て働きに行かなくちゃいけなかった。
心苦しいが、猫を置いて
支度をし家を出た。
そして数時間が経ち、仕事を終えて
スーツ姿の女性が家に帰る。
女性は帰ってきてもまだやらなくちゃいけない
仕事が残っており、ノートパソコンを
開き再び仕事を再開する。
すると、猫が女性の足元に擦り寄ってきた。
「かわいいね。」
もう何歳になったのかもわからない、
何年もの時間が経ったのだから。
それでも、何歳になっても人懐っこいところは
変わりなくて。
女性は笑った。
「変わらないね。」
そして、女性は
言いたくて、ずっと、ずっと
言えなかった言葉をやっと口に出す。
「だいすきだよ。」
その言葉を猫に言った瞬間、猫は
倒れるように眠りについた─永遠の
それがその猫の最期だったのだ。
猫は、あの世へ逝く前に
その前に女性の元へ行って、だいすきと
そう伝えたかったんだと。
女性はそれを瞬時に察し、また涙を流す。
「がんばったね。えらいね。お疲れ様。」
そして女性は少し安心をする。
最期に、君に「だいすき」と
言っておいてよかった。
最後に伝えられてよかった。
「ずっと忘れない。ずっと大好きだよ。」
そう言って、女性は体が冷え切った
猫を優しく抱きしめた。
俺は、この猫が…羨ましい…と、思ってしまった。
だって、こんなにも主人公に愛されている。
一度いなくなってしまったって、
帰ってきたら「だいすき」
そんな一言をかけてもらえるんだ。
翌日、本の感想を伝えに、
今日もまた本屋に行く。
店内へ入ると、フィリックスが
花の世話をしていた。
…かわいい、な
そう言いながら、様子を伺うように
眉を八の字にし笑いながら上目遣いをしてきた。
…ずるすぎる、
…やべ…
そうして、話すことがなくなってしまい
少し寂しいな、と思っていると…
フィリックスの方から
俺の方に話しかけてきた。
まさかの言葉に、俺は呆然とする。
どうして俺なんだろう、俺でいいのか…?
驚きを隠せなくて、少しの沈黙してしまった。
フィリックスは不思議そうな顔でこちらをみている。
少し恥ずかしかったが、なんとか言葉を口にする。
すると、フィリックスはパァッと笑顔になって…
よほど嬉しかったのか、ぴょんぴょん跳ねていた。
あー、かわい ㅎ
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スポットライトありがとうございます😊













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!