第4話

4話 嘘
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2019/03/30 07:59
「和くんに酷いこと言っちゃった…」

私の頭の中は自分を責めるばかりだった。


恋愛禁止だし、和くんと私なんかが…と思うと、胸が締め付けられる。


「まだ、和くんの事全部は知らないし、自分の気持ちもわかんない。」


私は焦りと不安でいっぱいだった。


「私、なんでこんな所に来ちゃったんだろ。」


ため息をつくと、部屋をノックする音が聞こえた。


メイド 失礼します。

「どうされましたか?」

メイド お母様からの伝言です。

「ありがとうございます。」

そういうとメイドは軽い足取りで部屋を出て行った。

紙を見てみると

「今日の夜7時からパーティーがあるから参加しなさい。」


パーティー!?!?
なんで、私達がそんな所へ?

働く為に来たんじゃないの?

何かがおかしい。



私はお母さんの部屋に向かった。


「お母さん、働く為に来たんじゃないんでしょ?」

お母さん 何を言ってるの?

「だいたい、住み込みで働くっていってたけど、何にも仕事してないし、あんなに豪華な部屋に料理に学校だなんて、嘘なんでしょ?」

お母さん 誰から聞いたの、

「誰からも聞いてないよ。自分で気づいて、自分で言いに来た。」


お母さん 仕方ないわね。説明してあげる。

お母さんは再婚したの。

「!?」

この屋敷の支配人とね。
つまり、ここに住む5人の父親とね。


「再婚?なんでそんなことを?」

お母さん 許せなかったのよ。あんなに貧しい暮らしをさせて、あんなに辛い思いをしたのになにもしてくれなかった。だから、幸せになろうと思ったの。それだけ。


「お母さん?それ、お父さんの事言ってるの?」

お母さん 思い出させないで。

「お父さんは、優しくてなんでもしてくれる頼りになる人じゃなかったの?そう言ってたじゃん。」

お母さん 違う。あの人が死んだ理由知ってるの?

「急性心不全じゃないの?」


お母さん 違う。睡眠薬の多量摂取よ。


「なんで…。なんで嘘ついたの?」

お母さん あなたを悲しませたくなかったの。

「じゃあ、夜に聞こえてたあの激しい音は、お父さんなの?」

お母さん そうよ。本当は夕方に終わる仕事も、キャバクラやパチンコに行ってから帰って来てた。家に帰って来てからさ、酒にくれて、女癖も悪い。浮気もしてたのよ。


「私、嘘なんかついて欲しくなかった。」
「お母さんは今幸せ?」

お母さん ええ、こんなに豪華な屋敷にも住めて、豪華なお食事もでて、素敵な旦那もいて。
息子もいる。なに不自由ないでしょ?

「私、幸せがこういう事なら出ていくよ。」

「母親に嘘つかれるなんて。」

私は必死で走った。どうなっているかも分からない屋敷で。でも、周りは部屋だらけ。

自分の部屋が分からなくなった。

涙で前が見えない。我慢しようとしても余計に涙が溢れる。

「もう、だめだ。」


そう思って私は泣き崩れた。
屋敷に響き渡るぐらいの大声で。



すると、優しい声が聞こえた。





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