第11話

十一夜
39
2025/07/15 14:21 更新
ぉ、まぇ⁉



表情に遅れて声が漏れるスマイルの頭上に!と?が浮かんでいるのが見える気がする。
笑いが腹の底から湧き出てくるのを感じる。我慢ならず口をわっと開ける。


あなた
あはははっ!!
あなた
すまの顔……っあはは!!



笑いが私の中に収まるまで存分に玄関で笑い飛ばした。その間もスマイルはわたわたとしていて、さらに私の笑いを引き起こした。


ようやく、笑いが腹の奥へ収まると潤んだ瞳の涙を指で拭き取り靴を脱いだ。荷物を雑に落とすと疲れた身体をベッドの上へ投げた。


う、動けるのか?
あなた
うん、なんでか知らないけど!
……あれ、今日って何日だ?
あなた
今日?
あなた
今日はーー……一日!
あなた
九月一日!!



スマホのロック画面に表示されている日にちをそのまま口に出す。


たしか最後に動けてたのは八月の中旬くらいだった記憶だ。半月も動いていなかったのか……。



そう、実際の時間を知って改めて現実と向き合っているとスマイルは顎に手を置き何かを考えている様相だった。


ーーー、ーー……
あなた
ん、なんて?
……あぁ、いやなんでもない
あなた
……?



そのときは疑問に思いつつも誰にでも秘密はあるものだと片付け、強い光を放つ月の空に目を向けた。


あなた
こんな綺麗な月久しぶりに見た……
あぁ……たしかに綺麗だな
あなた
……っあ、そうだ!



鞄のなかをごそごそと探り、手に取る。


あなた
スマ、これしない?
マリカ?
あなた
そー、今日買ってみた!



テレビの台に置かれているスイッチを取り、カセットを入れてコントローラーを取り本体を充電器に差し込む。するとテレビにゲーム画面が映る。



片方のコントローラーをスマイルに渡し、画面に目を向ける。


操作方法はわかるか?
あなた
わかるよ、ずっと憧れててやり方だけ覚えてたから!



と、謎に胸を張っていると優しく微笑まれた。

その顔には、寂しさも伺えたが今の私がその理由を知る由もなく、再度ゲームに集中した。


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