あなたside
何度も死のうとしたけど死ねなかったのは、きっとこの人たちに会うためなんだって思っている。
みんな天然で、ツッコミが大変だったけど、一生懸命私のことを笑顔にしようとしてくれた。
私の苦しみを優しく包み込んでくれた。
私の大好きな人たち。
離れたって結局この人たちのことを考えてて、気づかないうちに頭の中はその人たちだらけになっていた。
私が笑顔でそう言うと、鬼門はガックリと膝から崩れ落ちた。
声をあげて泣く鬼門が、私の目には羨ましく映った。
私は子供の頃から泣きたくても涙が出なかった。
出そうとすると演技になってしまった。
だから私にとっては、自分の気持ちに正直になってそれを表現できることが幸せなんだ。
そう呟きながら目を擦る鬼門は、心做しか微笑んでいるように見えた。
赤くなった目で私を睨みつける鬼門。
その言葉が、鬼門なりの謝罪なんだと勝手に受け取って返事をする。
鬼門が病室を出ていく。
これでもう私たちは、赤の他人だ。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。