亮平が家に来てくれた日から2日後。
蓮の腹痛はすっかり治っていた。
久しぶりに制服を整える。
今日は塾に行ける。
そして、
亮平にも会える。
そう思うだけで少し嬉しかった。
塾に着く。
いつもの自習室。
扉を開けた瞬間。
聞き慣れた声。
亮平だった。
蓮の姿を見つけた瞬間、
目を大きくして立ち上がる。
次の瞬間。
亮平は本気で安心したような顔をした。
即答だった。
亮平は真面目な顔で言う。
そのせいで蓮は少し照れてしまった。
席に座る。
もちろん隣同士。
2日空いただけなのに、
妙に落ち着く。
亮平が聞く。
質問攻めだった。
蓮が笑う。
すると亮平は少しむくれた。
そこで亮平が言葉を止める。
言えない。
好きだから、なんて。
まだ言えない。
そう答えた。
しかし、
その言葉に蓮は少しだけ引っかかった。
友達。
確かにそうだ。
今の関係は友達。
それ以上じゃない。
そう思うと少しだけ寂しくなる。
休憩時間
2人で自販機へ向かう。
亮平が言う。
亮平は笑う。
その言葉に蓮の胸が少し温かくなった。
その時。
後ろから声が聞こえた。
亮平が振り返る。
以前見た大学の女性だった。
蓮の表情が少し固くなる。
女性はそのまま去っていった。
沈黙。
数秒後。
亮平が首を傾げる。
亮平はしばらく考える。
そして気付いた。
蓮は固まった。
図星だった。
亮平は少し笑う。
前にもしたやり取りだった。
だけど今日は違う。
亮平は優しく言った。
その言葉を聞いた瞬間。
蓮の胸のモヤモヤが少し消えた。
一方。
亮平は思う。
そんなに気になるの?
俺のこと。
少し期待してしまう。
でも、
期待して傷つくのも怖い。
だからそれ以上は聞けなかった。
帰り道
2人はいつものように駅へ向かう。
前よりもずっと自然だった。
笑いながら歩いて。
くだらない話をして。
それだけなのに楽しい。
そして別れ際。
2人は笑う。
改札へ向かう蓮の背中を見ながら、
亮平は小さく呟いた。
本人にも聞こえないほど小さな声。
そして蓮も。
改札を通りながら思っていた。
次体調崩したら、
最初に亮平に連絡しよう。
それが自然に思えるほど、
亮平は特別な存在になっていた。
だけどまだ、
2人とも決定的な1歩を踏み出せない。
あと少し。
本当にあと少しなのに……。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。