第35話

夫婦喧嘩
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2026/01/08 08:23 更新
朝、リビングの空気は最初からおかしかった。
亮平
亮平
だから、なんで勝手に決めたのって聞いてる
低く、でもはっきりとした亮平の声。
蓮
蓮
勝手じゃない。必要だと思ったから言っただけだろ
それに返す蓮の声もいつもより硬い。
ガチャ、とマグカップかテーブルに置かれる音がやけに響いた。
その頃、廊下の奥。
康二
康二
……なんか、声せーへん?
制服に着替えながら、康二が顔を上げる。
照
照
してるな
照が短く答える。
一番最初にリビングへ向かったのは、辰哉だった。
辰哉
辰哉
……おはよー、って……
扉を開けた瞬間、言葉が喉で止まった。
亮平と蓮が向かい合って立っていた。
テーブルの上には作りかけの朝ごはん。
トーストは焼き途中、スクランブルエッグもまだ半分。
辰哉
辰哉
……お母さん
辰哉が声をかけようとした、その瞬間。
亮平
亮平
辰哉、今は入らないで
亮平がきっぱりと言った。
その声にいつもの柔らかさはなかった。
辰哉
辰哉
……
辰哉は何も言えず一歩下がる。
蓮
蓮
俺は、家族のために言っただけ
蓮が言う。
亮平
亮平
それが家族のためならどうして相談してくれなかったの?
亮平の眉がきつく寄る。
蓮
蓮
俺が海外の仕事を受けるって話し
亮平
亮平
受けるかもじゃなくてもう決まったって言い方だった
蓮
蓮
急だったんだよ!
亮平
亮平
だからって、子供たちの生活を置いていく前庭で話す?
空気が張り詰める。
その時。
真都
真都
ママ……?
まいがパジャマのままリビングに立っていた。
後ろには眠そうな大介。
大介
大介
……けんか?
まいの不安そうな目が2人を見上げる。
亮平ははっとして膝をついた。
亮平
亮平
違うよ、まい。ちょっと話してただけ
でも、蓮は目を逸らした。
その仕草に亮平の表情が一瞬だけ曇る。
亮平
亮平
……目、逸らさないで
蓮
蓮
……
亮平
亮平
その癖、昔から変わらない
その言葉に蓮の眉がぴくっと動いた。
蓮
蓮
それ、今言う必要ある?
亮平
亮平
今だから言ってるの
次々と家族が集まってくる。
高校の制服を着た翔太と涼太。
全員が異常な空気を感じ取っていた。
涼太
涼太
お母さん……?
涼太恐る恐る声を出す。
亮平
亮平
朝ごはん、食べよう
亮平はそう言ったが声は震えていた。
蓮
蓮
亮平
蓮が呼ぶ。
蓮
蓮
話は終わってない
亮平
亮平
……
亮平は一瞬黙り込み、そして静かに言った。
亮平
亮平
家族より仕事を優先するって言われた気がした
その言葉にリビングが凍る。
蓮
蓮
そんなつもりじゃない!
亮平
亮平
じゃあ、どういうつもりだったの!?
声が大きくなる。
大介
大介
ぼく……こわい……
大介がぎゅっと翔太の服を掴む。
目からぽろっと涙が落ちた。
まいともつられて目を潤ませる。
真都
真都
ママ……パパ……
翔太がすっと立ち上がり2人の前に出た。
翔太
翔太
大丈夫だよ
優しく、でもはっきり言う。
翔太
翔太
2人とも落ち着こ
その言葉に一瞬だけ間が生まれる。
でも…
亮平
亮平
……今日はこれ以上話せない
亮平が背を向けた。
蓮
蓮
俺も
蓮もそう言って椅子を引く。
亮平
亮平
もういい。今日は口、きかないから
亮平の声は冷たかった。
蓮
蓮
……分かった
蓮も同じ温度で返す。
その瞬間。
家族の中にはっきりと線が引かれた。
誰も動けなかった。
涼太は止めたかった。
でも、いつ声を出せばいいか分からなかった。
涼太
涼太
……今じゃない
そう思った自分を少し責めながら。
辰哉は黙って2人の背中を見つめていた。
辰哉
辰哉
……これは、珍しいどころじゃない
普段、怒鳴ることもない2人の本気の衝突。
まいと大介は涙を拭けずに立ち尽くしていた。
翔太
翔太
……大丈夫
翔太がもう一度言う。
翔太
翔太
絶対、ちゃんと元に戻るから
その言葉が救いになるかどうかはわからなかった。
こうして1日目の朝から完全に壊れた。
朝しか書いてないんですけど長文なんで一旦きります。

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