第8話

第六話「人魚姫と魔法局員」
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2025/10/07 22:15 更新
本なんてものをまともに読んだのはいつぶりだっただろうか?
特に恋愛小説。
いつからか毛嫌いしてたそれに最後に手を伸ばしたのはいつでしたっけ?
思い出せないや。
幼い頃の記憶というものはもうもう靄がかってほとんど思い出せない。
(なまえ)・セイレーン
あなた・セイレーン
意外に面白かった
本を閉じながら私はそう口にした。
紡がれていた言葉たちは美しく、そしてこの物語にはちゃんと人間味があった。
そんな気がする。
気のせいかもしれない。ただ、そんな気が少しだけした。
ただ、一つだけ思ったのは、どこか懐かしい話だった。
そんな経験はないはずなのに、体験したこともないはずなのに、懐かしいと思ってしまった私がいた。
なんでなのかはさっぱり理解できない。
ただ、あの泡はもしかして夢に出てきた泡なんじゃないか。って少し考えてしまった私がいる。
そうだったとして、なんでそんなことになったのか、私にはわからないし、わかるつもりもない。そもそも私如きでわかると思ってない。
それでも、この違和感と既視感の正体を知りたくなってしまうのはきっと、人間の性というものだろう。
(なまえ)・セイレーン
あなた・セイレーン
ま、考えても仕方がないか
簡単にわかるものじゃない。
すぐにわかるものだったらこんなに考えずともきっと私は気づいているはず。
私はそう眠りに落ちた。
どこか引っ掛かりがある気がしたけど、そんなものなかったふりをした。
結局私はそういう生き方しかできないから。
瞼はだんだん閉じていき、私は夢へ誘われた。
人魚姫と王子様の夢を見たのはそんな時だった。
美しい人魚姫。それは私と瓜二つのそっくりぶりで、いつから私にそんな欲望があったのだろう?
別に悲劇のヒロインになりたいと言う夢はもったこともなかったはずだけど。
そして、王子様も問題で、この王子様はカルド様と瓜二つだった。
ここまで似ていることはあり得るんだろうか?
何度も見た、あわの夢が私の中で一つの線に繋がった気がした。

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