ギリギリにして間に合って始まった式典は、今までの私の焦りようさえ忘れてしまうほど厳かで、息がつまった。
今まで見たことのないほど高い天井、きらめくシャンデリア。
流石元王朝の城を使っているだけある。
ちなみに、その元王朝はエンペラー王朝だったような気がしなくもない。
とはいえこんな立派な場所で今日から働くことになるのかと思うと、正直緊張どころじゃない。
落ち着くために、深く息を吸い、そのあと制服の襟を正した。
あの夢の余韻が今もどこか頭の中に漂っているような気がしたけれど、振り払うように前を向いた。
前には神覚者たちが立っている。
そんな口に出したら侮辱罪で締めあげられそうなことを心の中で思った。
口に出していないからセーフなはず。
そんなことを思いながら再び壇上に視線を戻す。
そのとき。
一人の神覚者と、目が合った。
一時の静寂。
まるで、水の中に落ちたかのように、世界の音が消えた。
泡の向こう側から覗き込むような、そのまなざし。
銀色の髪が、微かな光を受けてゆらぎ、
胸の奥に、忘れていた波紋が広がる。
私は、知らず、息を止めていた。
目を逸らそうとするのに、逸らせない。
手のひらがじんわりと汗ばんでいくのを、ただ、感じるしかなかった。
私はこの人を知っている。
見たことがある。
絶対に知り合い以上の関係だった
そんな確証のないことをふと思った。
理由も記憶も証拠もない。
ただ、私の本能が、心が、そう訴えかけていた。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。