この掛け声は私たちが活動をし始めたときにつくったものだ。
みんなで、楽屋らしき部屋を出て、ライブをする部屋に向かう。
みんなで、ステージ裏に待機する。
この時間はいつも変わらないぐらい緊張する。
楽曲は全3曲だ。
たいして、長いライブではないのに、毎回欠かさず来てくれているファンがいる。
ライブはほとんどそのファンと数人だ。
その声を聞いて、私が先頭でステージに出る。
みんながスタンバイが終わったところで私が少ない観客に向かって声を発する。
ここのライブ会場では、私たちを含め、たくさんの地下アイドルが活動している。
そのため、たまに前後のライブを見ていて、そのまま私たちシリウスのライブを見てくれるお客さんもいる。
だから、たまに多くのお客さんが集まるときもある。
進行をマネージャーや司会を雇って任せているグループもあるんだろうが、私たちはそんな余裕はない。
マネージャーは前に出るのが苦手な引っ込み思案なので無理だ。そして司会を雇うお金もないので、進行はすべてグループで行う。
もう手慣れたこの自己紹介。
最初は花音もいたのに・・・
最近はこんな声が毎回のように聞こえる。
このままでは、シリウスを推してくれているファンがどんどん減ってしまう。
そして、そのファンの近くにシリウスには珍しい、女性のお客さんがいた。
ハードを被っていて顔が見えない。
進行が進み、イントロが流れ始めた。
フォーメーションを変えるときのイントロで、雫とすれ違うとき、小声でそっと何かを囁かれた。
やっぱりそうだった。
でも、なんで花音が観客席にいるんだろう?
来たのなら、こっちの楽屋に来ればよかったのに・・・
考えれば考えるほど、謎は深まるばかりだ。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。