晴れた夏の日の午後。
僕はスケッチブックを静かに閉じて、太い木の幹にもたれかかる。
もう何百年も前の、僕と、若い6人の研究員との出会い。
あの日、全て壊れ始めたあの日から、僕は…
彼らを、身を挺してでも守りたいと思って
神様に成ったことを利用して、生まれ変わる彼らの近くに、いる。
だいぶ前に廃墟の図書館を去っていった6人。
「今回は」、普通の人として生まれ変わった様だ。
また、彼らを
守ラナキャ。
この手で
殺めぬように。
蝉の鳴く声
誰かの笑い声
草葉が揺れて騒ぐ音。
今では慣れてしまったこのサイクル。
がらんとした目の前の廃墟の図書館を見て
1つ、ため息をついた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。