お母さんとお父さんにブラックさんを紹介した、その数週間後
「え…?」
お母さんとお父さんが海外に出張する事になった。何の前触れも無く、突然。
内容はあまり詳しく知らないのだが暫く会えないという。
前までの出張は県内や国内だけだった、なのに…何で…
「ごめんな、あなた…」
「でもお母さん達も急な出来事だったから…」
「…全然大丈夫だよ!お仕事頑張って来てね!」
嘘。本当はそんな事思ってない。
寂しいし、辛いよ…
お父さん達が行ってしまった家は凄く静かだった、耳鳴りがする程に。
何もする事が無い…いや何もできない私は自分の部屋に戻り、崩れるように座り込んだ。
外はいつものように子供達がはしゃいでる音がする、でも中は何も音がしなく静寂だった。
「これじゃあ…ほんとに一人じゃん…」
「どうしたんですか?」
ハッとした。見上げるといつも見る、優しく微笑む悪魔さんがいた。
「ブラッ、クさん…」
すると何故か頬に冷たい雫が伝った。
そして、それはどんどん量を増していく。
「っ……すみ、ません…こんな見苦しい、姿っ…」
止めようと手で顔を拭こうとした、しかし。
ギュッと温かくそして優しい感触が私を包んだ。
「ッ…!」
「あなたさん…何か辛い事があったんですね」
「大丈夫です、俺ちゃんが側にいます。」
「…ぅっ…あり、がとう…ございますっ……」
あ〜今のあなたさん、最っ高に可愛い♡
ずっと、永遠に抱きしめてたい。
もっといっぱい、泣いてて欲しい。
「っ、うぅ…」
「落ち着くまでこのままでいいですよ。」
「は、いっ……ぁッ…」
何も音がしない家。
それは私の消えそうな声で満たされた。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。