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第1話

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2024/04/14 15:46 更新
十六夜 竜也
こぉぅうらあざみぃぃぃぃぃいい
十六夜薊
十六夜薊
ひぇぇえええ
ものすごく怒鳴り声が大きな屋敷に響く。

ここは払い屋の名家十六夜家。
怒鳴り声の主の男は十六夜家の当主十六夜竜也だ。
十六夜 竜也
何故こんな低級鬼ですら倒せんのだ!!!
お前はワシの娘だろう!?
十六夜薊
十六夜薊
出来ないもんは出来ないんだもんーーー!
十六夜 竜也
出来ないんだもん☆じゃない!!
お前はわしの娘だ!やれば出来る!!
十六夜薊
十六夜薊
とか言って16年間1匹も倒せたことないんだもん!!!私には無理だもんーーー!
薊はそう言うとバタバタと逃げだして行ってしまった。
十六夜 竜也
おい待て…
竜也が引き留めようとするがその時にはもう薊は居なかった。
十六夜 竜也
はぁ全く…一体誰に似たのやら
十六夜 竜也
兄は…雨月うげつは優秀な払い屋だと言うのにあの子は何故…
薊はバタバタと屋敷の中を駆け回っていた。
十六夜家の人
おい見ろ!
十六夜家の落ちこぼれが通るぞ!
十六夜家の人
16にもなるのに低級鬼1匹も倒せないとか…本当にあの雨月の妹かよww
十六夜薊
十六夜薊
うるさい…うるさいうるさい!!
十六夜薊
十六夜薊
私だって…もっと…








人間を恨みながら死んだ者は鬼となる。
鬼はその恨みから人を恨み、殺し喰らう。

元人であって人の敵である鬼。
そんな鬼を払うことを生業としている一族十六夜家。

霊力を利用し鬼を殺し滅ぼす。
何百年もの間そうして日本を支えてきた。



そんな十六夜家の投手の娘十六夜薊。
薊の兄・雨月は100年に一度の天才と呼ばれる払い屋で薊はとても期待されて育った。

だが薊の霊力は微弱。
間違いなく十六夜家で最弱であった。
十六夜薊
十六夜薊
十六夜家の落ちこぼれ…
薊は十六夜家本殿の裏にある裏山をのぼりながら1人でため息をついた。



この山は十六夜家の敷地で幼い子供達が練習場としてよく利用している。
十六夜薊
十六夜薊
分かってるよ私だって…もっと強くなりたいよ…でもどれだけ頑張ってもできないものは出来ないんだよ…
薊はブツブツと呟きながら山の裏側へと向かった。
裏側まで来るとさすがに修行する子供達もおらず薊は気分が落ち込んど時によくひとりで散歩に来ていたのだ。
十六夜薊
十六夜薊
もー!だいたい父様も家のみんなも雨月雨月って…私は兄様じゃないよ!!!!
そう言って思い切り地団駄をふむ。
すると突然足場が崩れはじめた。
十六夜薊
十六夜薊
(しまった…この辺雨で地盤が緩んでたんだった…!)
十六夜薊
十六夜薊
わぁぁぁぁああ!!
大きな悲鳴と共に薊は影の下まで真っ逆さまに落ちてしまった。

十六夜薊
十六夜薊
いたた…
薊が半身を起こす。
幸い大きな怪我は無いようだ。
十六夜薊
十六夜薊
結構落ちちゃったな…
薊が落ちた場所は今まで訪れたことの無い大きな洞窟の前であった。
上を見ても先程の道は無い。
十六夜薊
十六夜薊
どうしよう…帰れるかな…
????
おい
すると突然洞窟の方から人の声がした。
????
誰か…そこにいるのか?
十六夜薊
十六夜薊
え、人?
なんでこんなところに…
薊は不審に思いながらも声がした方へと向かう。
洞窟の奥は真っ暗でほとんど何も見えなかった。
十六夜薊
十六夜薊
あのぉ〜誰かいますかぁ〜?
薊が問いかけるが返事は無い。
十六夜薊
十六夜薊
気のせい…かな
そうだよね!こんなところに人が居るわけないよね!!帰ろ帰ろ
ある程度進んだところで引き返そうと方向を変える。
すると薊の足になにかが引っかかった。


ビリッ
十六夜薊
十六夜薊
うわっ
嫌な音と共に薊がひっくり返る。

どうやらなにかに足を引っ掛けたらしい。
十六夜薊
十六夜薊
いたた…なにこれ?
薊がひっかけたものを掴む。
それは縄のようなもので等間隔に札が貼ってある。
そう、十六夜家の封印の札が。

その札のついた縄は先程薊が引っかけたことにより引きちぎれたようだった。
十六夜薊
十六夜薊
は…ははは
まさか何か封印していた〜なんて、ないよね!ないない!
だがそんなに薊の願いも虚しく洞窟の奥の方から禍々しい妖気が流れてきた。
????
ふ、ふふふふ
礼を言うぞ娘…こんな場所に封印されて退屈していたんだ
十六夜薊
十六夜薊
(あ…これヤバいやつ…)
ザッザッと誰かが近づいてくる。

逃げようとしたが足が震えて立つことができない。
????
なんだ、お前十六夜の者か
2つの火の玉と共に現れた白髪の男。

赤い目、2本の長い角、美しい顔立ち。
そして意思疎通できる知力。
十六夜薊
十六夜薊
上級…いや特級!?
目の前の男は明らかに強い鬼であった。
その顔は人間とは思えないほどとても美しかった。
????
女数百年何も喰っていなくてな…腹が減っているんだ
????
喰ってやろうか、女
ニヤリと笑って薊の顔を強引に掴む。
薊は抵抗するすべがなかった。
十六夜薊
十六夜薊
だ、誰があんたなんかに食われるもんですか…
????
…?
お前もしかして…
男鬼はそうつぶやくと笑って薊から手を伸ばした。
????
ふ、ふふふふっ…あはハハハハッ
すると男は突然大笑いをしだした。
????
これはいいwまさかお前が俺の封印を解くなど…これほどまでに滑稽な話はなかろうww
クックッと笑うと男は再び薊の顔を掴むと今度は自身に寄せて口付けをした。
十六夜薊
十六夜薊
んんっ!?
ちょっと何をするのよ!?
突然の事でテンパった薊が男を突き飛ばす。
だが時すでに遅し、男の額には赤い紋様が浮かんでいた。
十六夜薊
十六夜薊
そっそれって…
????
十六夜家の者が鬼と口付けをすると式神の契約を結べる…さすがのお前も知っているだろう?
そうなのだ。
これは十六夜家の払い技術の一つ、鬼を自身の式神として従えさせ戦わせる。だがその為には殺さず、殺されず相手に口付けをする必要があり基本的には上級の払い屋が使う技だ。

それを今男は自ら無理やり薊にさせたのだ。
朧
俺の名はおぼろ
十六夜薊
十六夜薊
朧ってあんたまさか…
朧…かつて最強の鬼と言われ突如その名を歴史から消した歴代最強の鬼。

嘘かと思われたがその圧倒的な鬼力がそれを嘘ではないと物語っている。
朧
俺を、お前の式神にしろ
十六夜薊
十六夜薊
は、はァァぁぁぁあああああ!?!?
こうして、最強の鬼×最弱の払い屋の世にも不思議な主従関係が始まったのであった。
十六夜薊
十六夜薊
何がどうなってるのーーー!?

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