そう言って、流河くんの背中について行く。
カフェを出ると、そこには信じられないものが。
そう言って流河くんは私の顔をのぞき込む。
車の名前こそ忘れてしまったが、凄く高級車だ。
車体は黒色に輝いていて、鏡のように周りの建物などを反射して映し出す。
私が呆然としていると、中から老紳士が出てきた。
どうやら私に向けて言っているようだった。
困惑していたが、流河くんに後で説明をしますと言われ、流河くんと2人で乗り込んだ。
移動中
流河くんから一通り説明を受け、ワタリさんの存在について知った。
保護者的立ち位置とはなんだろう、と思ったが、あえて聞くのはやめておくことにした。
到着
車から降り、私が目にしたのはタワマン…ではなく明らかに高級そうなホテル。私は不思議に思い、流河くんに尋ねる。
住むって、高級ホテルなのに?!とも思ったが、きっと相当なお金持ちなのだろう。さっきも理由は言えないと言っていたし、間違いなく普通の大学生ではないと、なんとなく察した。
Lとワタリの住んでいる部屋
広めの玄関に、奥には革張りのソファが置いてあるのが見える。若干入るのを躊躇うが、せっかく招待してもらったので、上がらせてもらう。
そう言って、ワタリさんは恐らくキッチンへと向かっていった。なにか手伝おうかとも思ったが、そんなことを言う隙もなく、ワタリさんは行ってしまった。
そして、私は気になっていた事を流河くんに問う。
私がそう問うと、流河くんは少しだけ固まって、答えてくれた。
そう言いかけると、ワタリさんが紅茶2杯とロールケーキ2人分を持ってきてくれた。
私がワタリさんにお礼を告げると、ワタリさんは私に温かな笑顔を向けて、リビングの方へと戻って行った。
さっきから私はこんな風に平然を装って会話をしているけれど、本当は凄く焦っている。
流河くんと2人でお茶会、、なんて考えていると、みるみるうちに顔が赤くなってしまう。
そう思い、両手で顔を覆い隠す。
すると、流河くんが心配の言葉をかけてくれた。
流河くんにその事を言われ、更に答えられなくなる。
すると、流河くんは急にロールケーキを食べている手を止めて、こちらに向かってくる。
すると、流河くんは私の前でピタリと止まり、私の心臓のある位置に手を触れてきた。
なにか喋ろうと頭の中で脳をフル回転させていると、急に流河くんが喋りだした。
思わず敬語になってしまう。
そして次に流河くんから発せられた言葉は、衝撃的だった。
バレてしまった。
「終わり」
これだけが、この言葉だけが頭に響く。
下手に嘘をついてもダメだろう。私と流河くんの関係はもうこれで終わってしまうのか。正直に私が好きと言ったら嫌われてしまわないだろうか。
そう言って流河くんは少し悪戯げに微笑む。
嫌われているのではと思ったが、流河くんの態度を見る限り、違いそうだ。
私がそう言い放った瞬間、甘い香りと共に唇に柔らかい感触がした。
何が起きたのか理解するのに、そう時間はかからなかった。柔らかい感触が唇から離れると、流河くんはこう言った。
あまりの衝撃で、再度聞き直す。
今の話で完全にすっ飛んでいたけど、そういえば私は流河くんにキスをされていたのだった。
キスされた事を思い出し、また顔が赤くなる。
そう言った瞬間、流河くんの唇で私の口を塞がれる。
3時間後
今は帰宅して、大学の準備をしているところだ。
あの後何があったかと言うと、流河くんから色々秘密を聞いた。もちろん、なにがあっても周りには決して言わぬように言われている。
色々と言っても、
流河旱樹は偽名
実は探偵で、ワタリさんは仕事のパートナー
という事ぐらいなのだが、それでも私にとっては凄く驚く事だった。それともう一つ、これからは流河くんではなくプライベートの時はLと呼んで欲しいとの事。
私は未だに夢ではないのかと疑っている。
Lと恋人になれたことも。
思い出すだけで頭がクラクラする。
私はまだ彼のことを全然知らないだろう。
だから、これからは恋人としての彼の事をもっとたくさん知っていきたい。
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ここまでお読み頂き、ありがとうございます!
これにて番外編最終回、終わりです!
タイトル、無事に結ばれたので、両思いにしてみました…!ちなみに、番外編はこれからもたまーに書いていこうかなって思ってます!!
次回からは本編に戻ります!それではお楽しみに!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。