不破さんがキスしたって言ったのは本当だったんだな
そう言うと彼は無邪気に笑った
きっといつも大人びているけどこういう年相応な瞬間が垣間見える彼に私は惚れたのだろう
そう言い彼はホテルへと走っていった
でも、そんなところも可愛いと思ってしまうのが恋なんだろう
__________________________________________
この日はそのまま帰り、一夜が過ぎた
数秒の沈黙の後僕は口を開いた
渋々甲斐田くんが拍手をすると驚く程に部屋は静まり返り音が反響する気配は全くしなかった
昨日あんなことがあったのにこんなに普通に接することが出来るなんて思ってもなかった
甲斐田くんは覚えているのかな……
__________________________________________
加賀美side
ここ数年は自分の気持ちを抑えることなんて容易にできていたのに、剣持さんが他の人の名前を出し楽しそうに笑っているところを見ると
どうしようもなく胸が締め付けられるように苦しい
ああ、本当に「好き」という感情は自覚すればするほど自分を嫌いになる
『欲をすべて出していいのなら
剣持さんの玻璃玉のような目に他の男を入れたくない
私だけの剣持さんでいて欲しい』
そんな汚いエゴイズムばかり溢れて自分が醜く思える
__________________________________________












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。