金城碧海side
祥生を呼び出した翔也が、すごい焦ってリビングに戻ってきた。
過呼吸を起こしかけてる翔也を見て、みんなが翔也に駆け寄った。
……は?
蓮くんが戻ってきてやっとひと段落ついたんに……。
みんなからの視線が集まることで話せなくなる翔也。
そういうの、苦手なんやろうな。
汐恩が一旦座らせて呼吸を落ち着ける。
今日は外出て疲れもあるやろうし、多少長引くかもしれんけど。
みんなで顔を見合わせる。
蓮くんが戻ってきたタイミングで、そんなことあるんかな。
……ってことは、そこまでしてでも逃げ出したかったってことで。
まだ祥生はトラウマから抜け出せとらんし。
嫌な記憶もまだ新しいもんで。
また前の精神状態に戻る可能性やって、十分にあり得る。
豆の目が本気やった。
……もしまたどこかで自殺を図っていたら。
いくら蓮くんを助けて疲れてるとはいえ、黙って待つ理由はない。
でも、そんなにすぐ外に出られる気はせん。
瑠姫くんに手を握られる。
……正直、迷った。
行ってやりたい気持ちはある。
どっかで助けられるかもしれんし。
でも、もしなんにもしてやれん上に俺が余計な迷惑かけたらどうしようって。
外は怖い。
ましてやもう暗くなって危ないことが増えとるわけやから。
そういう細かい気遣いが、どうしようもなくありがたかった。
全部受け入れてくれるみんなが、ここにいる。
瑠姫くんと蓮くんは迎えには行けへんくても、待っとる。
蓮くんにあんなこと言った祥生やけど、祥生にも逃げたい現実がどっかにある。
みんなそういうもんちょっとずつ抱えて、なんとか命を繋いで生きとるんや。
みんなが探しに行っている間、なんの連絡もないことにそわそわしていた。
蓮くんもずっとスマホ握って、瑠姫くんの顔も険しい。
このままここにいたら……祥生に、何もしてやれへんのかな。
ドラマ観よ、アニメ観よって話しかけてくれる祥生の笑顔を思い出す。
俺がこんなにコミュニケーション下手くそでも、祥生は何にも嫌な顔せん。
不審がることも、遠ざけることもなく、ただ一緒に居てくれる。
祥生の言葉に、何回幸せにしてもらったんやろう。
なんも恩返しせんかったら、どこで祥生に恩返しすればええんやろう。
祥生になんかせな……。
祥生に、嫌われたくない。
焦りもあって、拓実くんの手を引っ張った。
拓実くんの言葉に、手にぐっと力を込める。
怖い。
確かに、怖いけど……。
それでも行かなあかんって思うんや。
どこかから祥生が呼んできとるような気がしたんや。
だから、拓実くんの目を見つめた。
人と顔合わせるんは苦手やけど。
そんなの関係なくなるほど、俺の心が強く訴えるんや。
拓実くんも一緒にいてくれる。
じゃあ、危ないことなんてきっとない。
ただの可能性に怯えて、目の前の恐怖に怯える祥生を放っておくことなんてできへん。
祥生、待ってて。
助けたるから。
一人やないから、頑張れるから。
こんな俺やって、できることあんねん。
Next 祥生のことやって大事にする人、ここにおんねん













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。