突然抱きついてきた
パフォーマーの私の、
絶対的王子には程遠いボーカル兼彼氏。
みんなには変態だとか、王子ではない、
とかいわれるけど、
私からしたら、龍友くんは
涼太くんよりも王子だと思う。
この人の良さをわかるのは、私だけでいいもん。
頭の上に?マークがどんどん湧いてくる龍友くんをよそに、
私はひたすらシールを吟味する。
龍友くんが見つけたのは、
自分の首にある刺青と同じデザインのもの。
今日は少年クロニクルの千秋楽
メモリアルな今日のこの日のために、
私は特注でこれを作ってもらった。
でもいざ出来上がったものを見ると、
小っ恥ずかしくなって、
違うものを選んでるフリをしていた。
そう言って、既に首筋に吸い付いている龍友くん
そう言って、私の頭を撫でて
ふんふん鼻歌を歌いながらどこかへ行った。
そして始まった最後のライブ
きっと、私が1番頑張らないといけないのは、
ワンミリだろうな。
そりゃ全部頑張ってるんだよ?
私がこんなにも気張る理由はただ一つ。
玲於とか、隼とか、他のパフォーマーは
女性のペアの人がいるんだけど、
女である私は、男性がパートナー。
…のはずだったんだけど、
なんとうちの彼氏がそれを断固拒否!←
私のペアは龍友くんになってしまったのである。
皆さんご存知のとおり、
ワンミリは
まぁ女子にはとても過激な振りとなっております。←
それをさ?今からさ?私はさ?←
ただでさえ心臓がはち切れそうなのにさ?
それをさ?
自分の彼氏にやられるんだよ?←
いや、新手のいじめですか?←
酷くない?ねぇ、←
そうは思ってても、
いつかはやってくる地獄の時間。(
最後の涼太のこの歌詞で
傘を傾けるのが本当の振り。
だから私は忠実に
普通に傘を傾けようと思ったら…
傘を放り投げて
彼の腕はそのまま私の後頭部へ。
頭を抱えられながら強く唇を押し当てられた。
観客のみんなは悲鳴に近い声を上げている。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。