カフェの窓際、午後の柔らかな光が差し込む席
私は、目の前で楽しそうにスマホを眺める
彼氏のゆうしくんを、
じっと、それはもう「じーっ」という効果音が
自分にも聞こえそうなほど凝視していた
カフェのテーブルを挟んで、
ゆうしくんはまだスマホをいじってる
通知が鳴るたびに胸の奥がチリチリして、
せっかくのキャラメルラテの味はしなくなった
なるべく冷静を装ったつもりだったけど
声のトーンは自分でも驚くほど低くなってしまった
ゆうしくんは悪気なく笑って、画面をスワイプする
私は知ってる
その「後輩」の中には、以前ゆうしくんのことを
「頼りがいがあって素敵」と言っていた、
明るくて可愛い女の子が含まれていることを
ゆうしさんって、本当に頼りになりますよね!
なんて笑いかける彼女の姿を思い出して、
勝手に心がかき乱される
打ち合わせなんて、大学でやればいいじゃん
今は、私との時間なのに……
モヤモヤとした霧のような感情が、胸の奥で広がる
私は普段、
物分かりの良い彼女であろうと努めているつもり
束縛なんて格好悪いし、ゆうしくんを困らせたくない
でも、今日ばかりはどうしても
その「余裕」がどこかへ、家出してしまったようだ
つい、トゲのある言葉がこぼれた
私はハッとして、慌ててカップに口をつけた
言っちゃった...
重いって思われたかな
嫌われたかもしれない
そう思って俯く私の視界に、
不意にゆうしくんの大きな手が入り込んできた
ポン、と優しく頭を撫でられて
恐る恐る顔を上げると、そこには困ったような、
でもどこかキラキラした目をしたゆうしくんがいた
ゆうしくんはスマホを裏返してテーブルに置いた
身を乗り出して私の顔を覗き込む
いつもはクールなゆうしくんが、
今は耳のあたりを少し赤くして、
堪えきれないといった様子で口角を上げている
私は恥ずかしさで、顔が真っ赤なはずだ
見つめられているけど、不思議と目は逸らせなかった
少し意地悪そうに笑うゆうしくんの瞳には、
私しか映っていない
さっきまでのモヤモヤが嘘みたいに消えて、
代わりに顔が火照って仕方ない
ストレートすぎる言葉に、私はもう、
嫉妬していた理由すら思い出せなくなってしまった
結局「もう、勝てないな」と小さく笑うしか出来なかった
end













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。