注意⚠️
こちらは映画 デットアップルのネタバレを含みます。
それでもいいよと言う方はぜひ見ていってください♪
ここからしばらくデットアップル続きます🍎
やわらかい声だった。
遠いはずなのに、すぐそばで聞こえる。
まぶたが重い。
ああ、朝か。
小さく返すと、くすりと笑う気配。
懐かしい。
胸の奥が、きゅっとする。
危ない?
なにが。
問い返そうとした瞬間、世界が白くなった。
視界いっぱいに、白。
霧。
今度ははっきり、強く。
肩を揺さぶられる感覚。
――がば、と目を開ける。
自分の部屋。
天井。
カーテン。
静か。
荒い呼吸だけが響く。
呟いてから、違和感に気づく。
部屋が、やけに暗い。
いや、暗いんじゃない。
白い。
カーテンの隙間から、光じゃない“白”が差し込んでいる。
ゆっくり起き上がって、窓に近づく。
カーテンを少しだけ開く。
外が、真っ白だった。
霧。
ただの霧じゃない。
濃すぎる。
向かいの家が見えない。
道路も、電柱も、全部飲み込まれている。
ぞわり、と背筋が冷える。
さっきの夢が、頭をよぎる。
――危ないから。
スマホを見る。
圏外。
テレビをつける。
砂嵐。
情報がない。
でも、嫌な予感だけがある。
こういうとき、どうする?
一瞬迷って、すぐに答えが出る。
じっとしてる方が落ち着かない。
霧の正体も分からないまま家にいるのは、もっと嫌だ。
着替えて、靴を履く。
玄関のドアを開けた瞬間、冷たい空気が流れ込んできた。
白。
音が吸い込まれているみたいに、静か。
一歩、外へ。
足音だけがやけに響く。
なんとなく。
こういう“おかしいこと”は、あそこに行けば何か分かる気がする。
霧の中を、歩き出す。
視界は悪い。
でも、進めないほどじゃない。
角を曲がる。
誰もいない。
車も止まっている。
世界が止まったみたいだ。
そのとき。
遠くで、何かがぶつかる音。
――ドンッ!
思わず立ち止まる。
霧の向こうから、影が飛んできた。
人影。
地面に転がる。
見覚えがある。
黒い外套。
思わず駆け寄る。
同時に、別の気配。
白い虎。
いや、虎“だったもの”。
低く唸り声が響く。
少し離れた場所に、敦と鏡花がいる。
緊張が走る空気。
私は、その真ん中に、普通に立っていた。
三人の視線が、一斉に向く。
敦が目を見開く。
自分でも場違いだと思う。
でも、来ちゃったものは仕方ない。
次の瞬間。
虎が、咆哮した。
空気が震える。
本能的に、やばいと分かる。
霧の奥で、もう一つの影が動いた。
それは――
私と同じ姿をしていた。
私は、まだ気づいていない。
ただ、白い霧の中で、
何かが始まったことだけは、分かった。
次回 どうする!あなた!!














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!