第71話

霧の朝
72
2026/02/23 21:00 更新
注意⚠️

こちらは映画 デットアップルのネタバレを含みます。

それでもいいよと言う方はぜひ見ていってください♪

ここからしばらくデットアップル続きます🍎
???
――起きて
やわらかい声だった。

遠いはずなのに、すぐそばで聞こえる。
???
起きて。だめだよ、こんなところで
まぶたが重い。

ああ、朝か。
あなた
……あと、五分
小さく返すと、くすりと笑う気配。
???
もう五分って、いつもそれ
懐かしい。

胸の奥が、きゅっとする。
???
起きて。危ないから
危ない?

なにが。

問い返そうとした瞬間、世界が白くなった。

視界いっぱいに、白。

霧。
???
起きて!
今度ははっきり、強く。

肩を揺さぶられる感覚。

――がば、と目を開ける。

自分の部屋。

天井。

カーテン。

静か。

荒い呼吸だけが響く。
あなた
……夢
呟いてから、違和感に気づく。

部屋が、やけに暗い。

いや、暗いんじゃない。

白い。

カーテンの隙間から、光じゃない“白”が差し込んでいる。

ゆっくり起き上がって、窓に近づく。

カーテンを少しだけ開く。
あなた
……え?
外が、真っ白だった。

霧。

ただの霧じゃない。

濃すぎる。

向かいの家が見えない。

道路も、電柱も、全部飲み込まれている。

ぞわり、と背筋が冷える。

さっきの夢が、頭をよぎる。

――危ないから。
あなた
……なにこれ
スマホを見る。

圏外。

テレビをつける。

砂嵐。

情報がない。

でも、嫌な予感だけがある。

こういうとき、どうする?

一瞬迷って、すぐに答えが出る。
あなた
……外、出よう
じっとしてる方が落ち着かない。

霧の正体も分からないまま家にいるのは、もっと嫌だ。

着替えて、靴を履く。

玄関のドアを開けた瞬間、冷たい空気が流れ込んできた。

白。

音が吸い込まれているみたいに、静か。

一歩、外へ。

足音だけがやけに響く。
あなた
……探偵社、行ってみよっかな
なんとなく。

こういう“おかしいこと”は、あそこに行けば何か分かる気がする。

霧の中を、歩き出す。

視界は悪い。

でも、進めないほどじゃない。

角を曲がる。

誰もいない。

車も止まっている。

世界が止まったみたいだ。

そのとき。

遠くで、何かがぶつかる音。

――ドンッ!
あなた
!?
思わず立ち止まる。

霧の向こうから、影が飛んできた。

人影。

地面に転がる。
芥川龍之介
芥川龍之介
……っ
見覚えがある。

黒い外套。
あなた
芥川さん!?
思わず駆け寄る。

同時に、別の気配。

白い虎。

いや、虎“だったもの”。

低く唸り声が響く。

少し離れた場所に、敦と鏡花がいる。

緊張が走る空気。

私は、その真ん中に、普通に立っていた。
あなた
……えっと
三人の視線が、一斉に向く。

敦が目を見開く。
中島敦
中島敦
なんでここに!?
あなた
いや、霧がすごくて……探偵社行こうかなって……
自分でも場違いだと思う。

でも、来ちゃったものは仕方ない。

次の瞬間。

虎が、咆哮した。

空気が震える。

本能的に、やばいと分かる。

霧の奥で、もう一つの影が動いた。

それは――

私と同じ姿をしていた。

私は、まだ気づいていない。

ただ、白い霧の中で、

何かが始まったことだけは、分かった。
次回 どうする!あなた!!

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