朝から憂鬱です。

目の前には驫木先輩が居た。
しかも、家の前に…。

先輩は眠そうに、というか不機嫌そうに声を出した。
あ？っていいたいのはこっちなんだよ！
まぁ、口に出しては言わないけど…

昨日…それは私が頭にきてついついあんたを私の虜にする。と宣言してしまった事だ。
そして先輩も負けないと言った。

ラブ…トラップ対決？！？

私が反論している口を先輩の大きな手が塞ぐ。

先輩は嫌なほどいじわるな笑みを浮かべた。

たしかに、言葉として言ったのは確かだが、私は…私は…

私は恋には切実であった。
好きになったらそりゃもう一途にその人の事を思う。
両思いだって分かったらそれだけでとても舞い上がる。
そこにラブトラップなんて存在しない。
好きでもない男を落とすなんて、ましてや好かれてない男に落とされるなんて絶対に嫌なのだ。

先輩の言ってることはあっている。
私は清純でありたい。
それの、何がわるいの？

ついつい涙が出てしまう。
ここまで熱く語っていた自分が恥ずかしい。

すると腰にふわっとした感覚を感じた。
かと思えば私の顔の前に先輩の胸があった。

そして気づく、今抱きしめられているんだ。
私はまたかと怒りも覚えてた。
私が追い払おうと手に力を入れるけど、先輩の力には勝てなかった。

ドキン

私の胸がまた鳴り響く。
思わず先輩の方を見てしまう。

先輩と目があってしまう。
先輩は一瞬あっと声を出してまた普段の無表情に戻る。

まさか、私にドキってしたのかな？

そういって先輩は私をやっと離してくれた。

少し戸惑う先輩を見ると少しこころが軽くなった。
この感覚は少し、いいかもしれない。

先輩はそっぽを向いて歩き出す。私は頑張ってついて行く。すると小さな声で先輩が言った。

私はふふふと笑っていた。

私は少し先輩に近づけた気がした。