「なに。」
冷たい声が出る。
「冷たっ!・・・まぁ、話したいなぁ って」
そう言って細める目の奥にあるものは読み取ることができない。
「はぁ、分かったからその話し方やめない?気持ち悪い。」
そう言えば顔の表情はすべて取り払ったかのように無表情になる。いや、目はまだ細めたまんまでも口元は無 だ。
「ああ、分かってたんだ?じゃあいっか。それで告白OKする気になった?それ程俺を見てたんでしょ?」
「いや、ない。無理って言ったし、見てないから。
ていうかアンタ私のことが好きなわけじゃないでしょ?」
そういえば鳩に豆鉄砲という言葉を使うくらい
目を丸くさせ驚いている
その後「っハハハ、」笑う。
ホントにコイツは理解できない。
「なに、笑って__」
「ーーハァ、好きなんてものじゃないよ。そんなもんと同じにしないでよ、あんなすぐに崩れる脆いものと……
俺は紗季ちゃんのことを愛しているから。」
「は、」
"愛してる"がこんな怖いと思ったことない…。
すぐに笑顔から能面のような顔に戻る。
それは一種の狂気さえ含んでいるように見える
頭に鈍器が振り下ろされたように痛い。
もう、無理。ここに居るのは、こいつと二人きりなのは "危ない。"
「っ、そう。じゃあ帰るから」
そう言って 図書室の扉に手をかけようとすれば
ーーーひんやりとした冷たい手が上から覆いかぶさる
カタッと小さく鳴った扉は次に
ダン!と大きな音を響かせる
「っ、」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。